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新生活
17.
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「なんか…… 今まさに玄関先にいるみたいな言い方だな」
「その時になったら俺、緊張して何も言えないかもしれないので」
「自分の育った家だろ?」
津田は自分の実家に行くのに緊張はしない。ただ、気が塞ぐだけだ。そう思って水を向けると乾は、うーんと唸ってから独り言のように呟いた。
「好きな人を連れていくのは、初めてなんですよ」
その時の乾の顔を思い出し、津田は手で口を覆って顔を伏せた。目を上げると、カラーリングの色見本を持ってきた嶋本と鏡越しに視線がぶつかる。津田の緩んだ口元に気づいているだろう彼は、素知らぬ顔で台紙を広げて見せた。
「じゃあ、地毛と今の色の中間で、このくらいの色でどう?これなら、雰囲気そんなに暗くならずに、年配の方にも軽薄に見られない」
番の両親に与える心証を気にしているのだと、分かってくれたらしい。津田が頷くと、数歩離れたところで待機していたアシスタントの女性に指示を出し、嶋本は腰に差していたハサミを取り出した。
「それで?この三ヶ月の間に何があったわけ?」
津田が最後に嶋本と話したのは、昨年の11月。河野に監禁され骨折した指の包帯が取れ、見た目には異常がなくなった頃合いで店を訪れたのだった。
乾に好きだと言われてはいたが、まだ関係が進展するのかは分からない時期だったこともあり、嶋本には彼のことを何も話していない。感じの悪い上司がいる、という話くらいはしたかもしれないが、津田に色恋沙汰が発生しているなんて、嶋本は想像もしていなかっただろう。
「三ヶ月でってわけじゃねぇけど、まぁ、縁があって、先週番になったんだ」
「まだホヤホヤって感じだもんね。それにしても、噛みすぎだと思うけど…… ワイルド系な人?」
うなじの噛み跡をに視線を落とし、嶋本は眉をひそめた。
「その時になったら俺、緊張して何も言えないかもしれないので」
「自分の育った家だろ?」
津田は自分の実家に行くのに緊張はしない。ただ、気が塞ぐだけだ。そう思って水を向けると乾は、うーんと唸ってから独り言のように呟いた。
「好きな人を連れていくのは、初めてなんですよ」
その時の乾の顔を思い出し、津田は手で口を覆って顔を伏せた。目を上げると、カラーリングの色見本を持ってきた嶋本と鏡越しに視線がぶつかる。津田の緩んだ口元に気づいているだろう彼は、素知らぬ顔で台紙を広げて見せた。
「じゃあ、地毛と今の色の中間で、このくらいの色でどう?これなら、雰囲気そんなに暗くならずに、年配の方にも軽薄に見られない」
番の両親に与える心証を気にしているのだと、分かってくれたらしい。津田が頷くと、数歩離れたところで待機していたアシスタントの女性に指示を出し、嶋本は腰に差していたハサミを取り出した。
「それで?この三ヶ月の間に何があったわけ?」
津田が最後に嶋本と話したのは、昨年の11月。河野に監禁され骨折した指の包帯が取れ、見た目には異常がなくなった頃合いで店を訪れたのだった。
乾に好きだと言われてはいたが、まだ関係が進展するのかは分からない時期だったこともあり、嶋本には彼のことを何も話していない。感じの悪い上司がいる、という話くらいはしたかもしれないが、津田に色恋沙汰が発生しているなんて、嶋本は想像もしていなかっただろう。
「三ヶ月でってわけじゃねぇけど、まぁ、縁があって、先週番になったんだ」
「まだホヤホヤって感じだもんね。それにしても、噛みすぎだと思うけど…… ワイルド系な人?」
うなじの噛み跡をに視線を落とし、嶋本は眉をひそめた。
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