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「ここが……端?」

 中央神殿の建物が途切れ途切れになって周囲には丈の低い草原が広がる場所に出た。

「はい。左様です。あちらに見えるのがルーチェリア様が来られた時に通られた大通りになります。こちらからは次の都市までかなり離れていますから畑地にしたり牧草地にしたりと活用方法は色々ですが。」
 
 端、と言うのだから神殿都市の様な物は無くなって当然の風景だ。けれどもこれはこれで気持ちの良い景色でもある。


 土の匂いが気持ちいい~~~


 寒くも無く灼熱した太陽が照りつけるわけでもない。今の気候がとても心地よくてしばらくぼうっとしていたいくらいだ。

「それでここには何があるのです?」

 この素晴らしい景色の他に、アールストが見せたいものとはなんだろう?聞いた瞬間、少し、アールストが困った様な表情をした様に見えた。

「少し歩きますよ?」

「ん?良いけど?」

 ゆっくりと散歩も悪くはないものだ。アールストと共に歩いていくと草原が途切れ途切れになっている所が見えてくる。

「あそこです。」

 
 ん?何々?

 
 アールストは何も草が生えていない剥き出しの地面を指差す。なんの変哲もない様なただの地面……

「…あれって…?」

 けれどもそこからルーチェリアが見知ったものが薄くではあるが湧き出す様に揺蕩っているのが見える。

「やはり見えますか?」

「う…うん…あれって…」

 そう、よく見知っている瘴気の靄によく似ている…

「人体に害はない様なのですが、ルーチェリア様が思われているものに間違えはないのです。」

「どうして?どうしてです?ここは中央神殿の側でしょう?どうして瘴気の靄が…?」

 瘴気は世界各国に行っている聖女達が浄化しているはずだし、こんなに広範囲に湧き出ているならば草原にもっと被害が出ていてもおかしくはないのではないのだろうか?

「現在の限界をルーチェリア様にも知って置いてもらいたいと思ったのです。」

「これを…どうすれば……」


 こんなに広範囲の靄を浄化した事などないから…


「いいえ、ルーチェリア様。何かをして欲しくてここに来たのではないのです。これが我がガルンドーラ聖騎士団を含む中央神殿の現在いる聖女様方の限界なんです。」










 
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