Gレポート

働かざること山の如し

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「あれは未来の人類ですよ。人類と言っていいか分かんないですけど。」

私はオカルトか何かで、そういう内容を聞いたことがあると思いIさんに聞き直した。

「つまりグレイタイプとか言われる宇宙人と思われている存在が未来の人類なんですか?」

「あ~。グレイタイプってのが話に関係あるんですけど、あれも未来人というか、いわないというか」

その私の問いに対する彼女の返答は、実に歯切れの悪いというか要領をえないものだった。

「ひょっとして・・・聞いちゃいけない内容ですか?」

「あ!いやいや、そういうのじゃないんです。さらに説明長くなるけど休憩終わっちゃうな、ってことです。隠したい国もあるんでしょうけど、この国ではたぶん大丈夫じゃないですか。別に隠してるわけでもないですし。」

そして彼女は「次の依頼品を届ける際に、また食事でもしましょう、その時に話しますよ。」と言って食器を片付けるため席を立った。


―――――――――――――


それから別の仕事をこなしつつ2週間経ったあたりで、また依頼品を届ける流れでIさんを訪ねた。

前回と同じく食事を済ませると、また彼女はコーヒーをもってきてくれた。

「えっと、どっからの話でしたっけ?」

「宇宙人と呼んでいたものが未来人だとか、そうでないとか、そういう説明を最後に聞いたと思います。」

「あ、そうそう、そうでしたね。あのグレイタイプ宇宙人とかいうのが今回の話に関わってくるんですけど・・・その他の宇宙人というのは良く分かりませんが創作とかもあると思います。」

「そのグレイタイプという存在が未来の人類とか、そうでないとか・・・というのが今一理解できなかったんですよね。」

「そうですよね。宇宙人ではないからグレイタイプと呼んでおきますけど、あのグレイタイプという人型のものが、肉体としては私達に直につながるものなんですけど、あの人型の部分は今の私達でいうと手とか目とかみたいなものですかね。あるいは外部デバイスといえるかもしれないです。」

「はい?」

「えっとですね。宇宙船と呼んでいるものが脳の機能を移行させたもので、思考とか自己とかを司っていて、人型の身体丸々一つを手や目の延長として利用している状態ですね。それも生体の脳より演算処理が早くなったので複数の人型生体を手や目として利用しているようです。」

「つまり宇宙船と呼んでいる部分も含めて未来人ということですか?」

「はい。そういうことです。さらに言うと、グレイタイプという人型の部分は、現在の女性性に該当し、多くは同一遺伝子のクローン体のようです。」

私は驚愕した、何があったらそうなるのだろう。少し嫌悪感を覚えた。
私の嫌悪を感じ取ったのだろう、彼女は「今の私達も日長一日何かにつけてスマホを眺めて機械の一部のように生きてますし、一昔前の人たちからすればずいぶん気持ち悪い存在かもしれませんよ。」と言われ、確かにそうだなと思った。

彼女の説明では、そこに至るまでの流れも解明されつつあるらしい。ただ最初の個体は事故で発見されたようで、回収された機器は我々の持つ技術の延長上にあることが分かっても機能など全く理解できないものだったようだ。

彼女曰く、たった100年前の人たちでもスマホや有機ELなどの現物を見せても仕組みが理解できないのと同じようなものだそうだ。

それでも人型の部分を解析することでDNAが遺伝子本体として機能している生物で、染色体数から人類の女性であることは分かったそうだ。

女性のクローンである理由は、現在男性の生殖機能が落ちていることに関わっているのではないか、と考えられているようだ。

この現象は当初環境ホルモンなどが原因と考えられていたが、先進国や発展途上国だけでなくアフリカなどの環境ホルモンなどに暴露されにくい地域でも起きているそうだ。

人類における男性というシステムが衰退し、結果女性のみになった人類がクローン技術を発展させたという話しだった。

そして私は、人類がそんな姿になってしまう流れが気になった。

「人類があの姿になるとして、宇宙船型のメタリックなフォルムやグレイタイプのあの姿にときめくことはできそうにないです。あの姿になるのは確定なんですか?どういう歴史を辿ったらああなっちゃうんですかね?」

「あっは。そうですよね。あの姿じゃオシャレもできない。宇宙船が本体ならお化粧というより、むしろ塗装ですよね。」

彼女はころころと笑いながら、時計を確認して「あらら残念、もう時間だ。」と言ったあと、次の時でも良いですか?と私に尋ね、私の疑問は次回に繰り越された。

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