Gレポート

働かざること山の如し

文字の大きさ
3 / 7

012541756-6-2.2

しおりを挟む
今回の依頼分をIさんに届けて、食堂に移動した。彼女は今日午前で仕事が終わりだそうで、「何でも答えますよ!」と言ってくれた。

食堂に着くとIさんの同僚のITさんから挨拶を受けた。

「ミカ。今日はもう上がるんでしょ?書類どうする?机のところに置いておいた方がいい?・・・それと初めましてIの同僚のITと言います。Iとは別部署ですけど。」
「あ、はい。Kと申します。」

私は名刺を渡し、ITさんからも名刺を頂いた。名刺には「形而●●生物(生命?)●●研究科」といった感じの部署が書いてあった。うろ覚えだが、ずいぶん哲学的な感じがするが、なにを研究する部署か全くわからないな、と思ったのは覚えている。

「うんうん。机に置いといて。明日見とく。」
「はいはい。んじゃ乙乙~」

ITさんは手をひらひらしながら軽い調子で返事を返し、食堂を去っていった。Iさんは「あ、彼女に説明してもらった方が良かったかな。いや、ま、いっか仕事だろうし。」と呟いたあと、前回の話の続きをしてくれた。

「人類があの姿になるか、ならないか、でいうと、ならない可能性もあるんですが・・・現状ああなる可能性が高いことになってます。そのあたりが時間に関わることで、さっきのITの方が説明に向いてるんですけどね。最初の事故個体の登場により、あれに繋がる知見がもたらされたので不確定だった道筋が大きくその方向に傾いた、という感じですね。」

そして彼女はあの姿になるまでの流れでわかっていることをつらつらと語りだした。「いくつもの理由が重なってあんな感じになるので、話が結構前後しますし、わりとややこしいですよ。」と付け加えた。

最初の話は、いつ起きるかはわからないがSARSのような感染症が世界規模で大蔓延するということだった。

それは現在のパンデミックのことだろう。問題はパンデミック終息後に、全く別系統のウイルスによるパンデミックが不定期的に起きることになったことだった。

パンデミックをコントロールできれば特定の国家や企業に大きな利益が発生すると気付いてしまったためだった。つまり原因ウイルスとワクチンを同時に開発して行われる、世界中を巻き込んだマッチポンプである。

ウイルスは経済戦争における武力としてばら撒かれ、ワクチンが外交カードとして取引される状況だ。

2つ目は対立するイデオロギーの衝突についてだった。

―この内容については複雑だったので、今私がわかることを加えて補足したが、結果として正しい表現ではなくなったかもしれない。―

産業革命とともに資本家・労働者という階級ができ、後に資本主義と言われる思想(体制?)となった。

資本主義では経済は活発になるものの、富の偏在が貧しい人たちを生むため、富を共有するという思想が生まれ、富を共同体で管理する共産主義と国が管理する社会主義という思想が生まれた。

この二つのイデオロギーはそれぞれに長所と短所があり、資本主義では経済は活発になるものの資本家の搾取で貧富の差が生まれ、共産主義は平等の名のもとに貧富の差はないものの人々は平等に怠けて経済発展が遅れた。

それぞれのイデオロギーを標榜する国家間の競争は直接的な武力行使を伴わない冷戦とよばれる緊張状態を経て、経済規模で資本主義国家が優性になり、共産・社会主義国家は経済において資本主義を取り入れざるを得なくなった。

一方で資本主義は貧富の差を是正するため社会保障を充実させ、結果として資本主義は共産主義化し、共産主義は資本主義化することになった。

資本・共産のイデオロギーの差が縮まるとともに新たなイデオロギーともいえる国家体制が生まれた。

構造上独裁化しやすかった共産・社会主義国家は民主主義を謳う独裁政権国家となり、民主的に政権運営を行っていた資本主義国家は個人の自由を尊重する自由主義国家となり、それぞれの陣営での経済と情報を武器とした衝突が激化する。

おそらく今がこの状態になるのだろう。

民主自由主義国家の運営は、極力多くの人が賛同する選択ができるという長所はあるものの、選択したことの良し悪しは国民の平均的な能力に左右されるという短所を内包していた。

つまり全員で選んだものが最良とは限らないということであり、また優秀な人間が国家運営を行いにくいという欠点があった。

独裁政権国家は、優秀な人材がトップに立つことで非常時の統制のとれた運営と長期視点での国家運営が可能だったことから、急速な経済発展と民主国家の切り崩しに成功し、独裁政権国家が優勢となった。

かつて資本主義国家が優勢な時期が続いたように十数年間の独裁政権国家優性の状態が続く中で、発展途上中の民主自由主義国家で人工知能を国家運営の中枢に据えるという試みが行われ、長期視点に加え優秀なシステムによる国家運営が可能になり、著しく経済発展をとげ管理型民主国家が生まれた。

先に発展した経済規模の大きな独裁国家による妨害はあるものの、あらゆる面で合理的な対応が可能で人工知能による演算速度の速さを活かした運営で、独裁国家の経済内に泡のように発生し撤退する管理型民主国家の企業群は周囲の独裁政権国家から外貨を獲得し続けた。

一方独裁政権国家側は長らく人間による独裁を続けたために、自身を下ろし人工知能を上に据えるという判断が難しく、後手に回りつづけ結果として管理型民主国家が優性となった。

Iさんはそこで「ここで時間は少し遡るんですよぉ。と、その前に飲み物入れなおしてきます。Kさんはいります?」

一度話しを区切り飲み物を取りに行こうとしたが、話してもらっている手前「私が取りに行きます」と提案したが、何やらこだわりがあるらしく結局Iさんが取りに行くことになった。

3つめの話しはアンドロイドの開発だった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】限界離婚

仲 奈華 (nakanaka)
ミステリー
もう限界だ。 「離婚してください」 丸田広一は妻にそう告げた。妻は激怒し、言い争いになる。広一は頭に鈍器で殴られたような衝撃を受け床に倒れ伏せた。振り返るとそこには妻がいた。広一はそのまま意識を失った。 丸田広一の息子の嫁、鈴奈はもう耐える事ができなかった。体調を崩し病院へ行く。医師に告げられた言葉にショックを受け、夫に連絡しようとするが、SNSが既読にならず、電話も繋がらない。もう諦め離婚届だけを置いて実家に帰った。 丸田広一の妻、京香は手足の違和感を感じていた。自分が家族から嫌われている事は知っている。高齢な姑、離婚を仄めかす夫、可愛くない嫁、誰かが私を害そうとしている気がする。渡されていた離婚届に署名をして役所に提出した。もう私は自由の身だ。あの人の所へ向かった。 広一の母、文は途方にくれた。大事な物が無くなっていく。今日は通帳が無くなった。いくら探しても見つからない。まさかとは思うが最近様子が可笑しいあの女が盗んだのかもしれない。衰えた体を動かして、家の中を探し回った。 出張からかえってきた広一の息子、良は家につき愕然とした。信じていた安心できる場所がガラガラと崩れ落ちる。後始末に追われ、いなくなった妻の元へ向かう。妻に頭を下げて別れたくないと懇願した。 平和だった丸田家に襲い掛かる不幸。どんどん倒れる家族。 信じていた家族の形が崩れていく。 倒されたのは誰のせい? 倒れた達磨は再び起き上がる。 丸田家の危機と、それを克服するまでの物語。 丸田 広一…65歳。定年退職したばかり。 丸田 京香…66歳。半年前に退職した。 丸田 良…38歳。営業職。出張が多い。 丸田 鈴奈…33歳。 丸田 勇太…3歳。 丸田 文…82歳。専業主婦。 麗奈…広一が定期的に会っている女。 ※7月13日初回完結 ※7月14日深夜 忘れたはずの思い~エピローグまでを加筆修正して投稿しました。話数も増やしています。 ※7月15日【裏】登場人物紹介追記しました。 2026年1月ジャンルを大衆文学→ミステリーに変更しています。

処理中です...