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「イデオロギーの衝突の先にまだ続きがあって、彼等未来人類の世界の全体的な枠組の話に繋がるんですけど、その前に少し遡ってアンドロイド開発の話しをしておきますね。」
Iさんは淹れなおしたコーヒーで少し口を湿らせるように含んでから、「それにしても人に伝えると頭の中が整理できて良いですね。」と言った後に、3つめの話としてアンドロイドの開発について語ってくれた。
――――――――――――
時系列でいうと管理型民主国家と考えられる状態になるまえから、アンドロイド開発は進んでいたそうだ。
アンドロイドは今でいうならスマホの延長として開発が進み、初期は秘書のような役目を果たし、徐々にアイドルとしての要素が加わり、後に個人の肉体の代替するものへと役目の幅が広がっていった。
特に秘書からアイドルへの移行はすぐにおこり「アイドルの最終形態」と呼ばれるものへ発展した。
それは、かつて多くの人ために存在した少数のアイドルが、ネットの普及で一人ひとりが誰かのアイドルになるアイドル多様化の時代となり、アンドロイドにより一人のためのたった一つのアイドルが作られる時代が到達することを意味した。
アンドロイドの開発は思考や自我の研究を一足飛びに発展させ、普及し始めていた量子コンピューターにより旧来のディープラーニングや機械学習とは異なる管理型民主国家を支える人工知能の開発へと繋がり、後の宇宙船のような円盤に脳機能を移行するシステム開発の土台となった。
4つめは脳へのチップ埋め込みの流行だった。
今まで聞いた中で、人工知能に政権をゆだね管理型民主国家が生まれる一番関係性が深い事象はこれだと感じた。
初期は身体的不都合を是正するための手段として腕に埋め込むタイプやこめかみから脳へ達しているタイプの開発が勧められていたが、人工知能やアンドロイドとリンクできるようになることで身体能力向上・学習能力向上・合理的判断能力向上・感情の自制などの機能ができ、健常者の利用が散見されるようになった。
健常者の利用でチップ開発の経済規模が膨らみ、投資家による資金が流入、関連企業の株価が上昇した。
開発資金が増加することで開発速度の加速だけでなく、開発の方向性も多様化したことで脳内埋め込みタイプが開発され、機能性・汎用性の高さと効率の良さから利用者が一番多い分野になった。
当初は脳へ埋め込みにかなりの忌避があり、反対する団体も後を絶たないが、携帯電話やスマートフォンの普及と同じように最初は徐々に普及した脳内チップは10年も経たないうちに爆発的に普及していった。
これらの普及の理由は単純で、チップを埋め込むと能力の向上にともない収益が倍増し、収入が倍増し、税収が倍増したためだった。
5つめは自己の自由な選択が可能になったことだった。
脳内にチップを埋め込むことで、バーチャル空間を共有し、肉体とは異なるアバターをベースにした現実のような仮想空間でのコミュニケーションが可能になった。
それは肉体本来の外見や性別に左右されず自分で選べる理想の自分というコミュニケーションツールであり、ゲーム性の高さからゲーム産業で基礎が築かれ・・・彼女の口から聞きたくなかったが・・・性産業が後押ししたそうだ。
仮想空間での自己実現は脳内チップに反対する団体などのハッキングといった悲しい事件を重ねつつも順調に発展していったが、これらの事件は自己表現を仮想空間だけでなくアンドロイドで行う流れも生み出した。
自分が望む姿にデザインされたアンドロイドを生活上のインターフェイスとして利用し、肉体は自宅で別のアンドロイドに管理させるという生活スタイルだそうだ。
これは奇しくも現実世界で散発するパンデミックを押しとどめることに繋がったそうだ。
またアンドロイドを複数所持できない人たちの間で、アンドロイドから肉体を管理するシステムが作られ、後の脳を円盤へと移行するための心理的垣根を下げる役割になったそうだ。
Iさんはここまで話して、小さく「ふぅ」と息をはき、コーヒーに目を落として「冷めちゃった。」と独り言ちた。
内容がかなりぶっ飛んでいたので、私の頭では理解に時間がかかるかと思い録音していたが、彼女の誰に話すともしれない独り言を良く拾っていた。
私はここに至るまで、概ね相槌と小さな聞き返しくらいしかしていなかったが、大きな疑問が浮かんだ。
それは、これらの話しが真実(真実という表現が正確ではないと後々理解した)であるとして、やけに詳しすぎないか・・・ということだった。
まるで未来の視点から歴史の授業を受けているような感覚だ。
授業のような感覚を覚えるのは、ここに至るまでの内容も大分まとめて教えてもらっているようで、Iさんの優秀さに基づくものなのだろう。
気にはなるが話しの腰を折るように思えたので、この時点では口を噤むことにした。
Iさんから「Kさん、私ばっかり一方的に話してますけど大丈夫ですか?」と尋ねられ、私は「とても面白いですよ。」と答えた後、休憩のようにいくつか話しの大筋とは関係ないやり取りをして、彼女は6つめの話しを始めた。
Iさんは淹れなおしたコーヒーで少し口を湿らせるように含んでから、「それにしても人に伝えると頭の中が整理できて良いですね。」と言った後に、3つめの話としてアンドロイドの開発について語ってくれた。
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時系列でいうと管理型民主国家と考えられる状態になるまえから、アンドロイド開発は進んでいたそうだ。
アンドロイドは今でいうならスマホの延長として開発が進み、初期は秘書のような役目を果たし、徐々にアイドルとしての要素が加わり、後に個人の肉体の代替するものへと役目の幅が広がっていった。
特に秘書からアイドルへの移行はすぐにおこり「アイドルの最終形態」と呼ばれるものへ発展した。
それは、かつて多くの人ために存在した少数のアイドルが、ネットの普及で一人ひとりが誰かのアイドルになるアイドル多様化の時代となり、アンドロイドにより一人のためのたった一つのアイドルが作られる時代が到達することを意味した。
アンドロイドの開発は思考や自我の研究を一足飛びに発展させ、普及し始めていた量子コンピューターにより旧来のディープラーニングや機械学習とは異なる管理型民主国家を支える人工知能の開発へと繋がり、後の宇宙船のような円盤に脳機能を移行するシステム開発の土台となった。
4つめは脳へのチップ埋め込みの流行だった。
今まで聞いた中で、人工知能に政権をゆだね管理型民主国家が生まれる一番関係性が深い事象はこれだと感じた。
初期は身体的不都合を是正するための手段として腕に埋め込むタイプやこめかみから脳へ達しているタイプの開発が勧められていたが、人工知能やアンドロイドとリンクできるようになることで身体能力向上・学習能力向上・合理的判断能力向上・感情の自制などの機能ができ、健常者の利用が散見されるようになった。
健常者の利用でチップ開発の経済規模が膨らみ、投資家による資金が流入、関連企業の株価が上昇した。
開発資金が増加することで開発速度の加速だけでなく、開発の方向性も多様化したことで脳内埋め込みタイプが開発され、機能性・汎用性の高さと効率の良さから利用者が一番多い分野になった。
当初は脳へ埋め込みにかなりの忌避があり、反対する団体も後を絶たないが、携帯電話やスマートフォンの普及と同じように最初は徐々に普及した脳内チップは10年も経たないうちに爆発的に普及していった。
これらの普及の理由は単純で、チップを埋め込むと能力の向上にともない収益が倍増し、収入が倍増し、税収が倍増したためだった。
5つめは自己の自由な選択が可能になったことだった。
脳内にチップを埋め込むことで、バーチャル空間を共有し、肉体とは異なるアバターをベースにした現実のような仮想空間でのコミュニケーションが可能になった。
それは肉体本来の外見や性別に左右されず自分で選べる理想の自分というコミュニケーションツールであり、ゲーム性の高さからゲーム産業で基礎が築かれ・・・彼女の口から聞きたくなかったが・・・性産業が後押ししたそうだ。
仮想空間での自己実現は脳内チップに反対する団体などのハッキングといった悲しい事件を重ねつつも順調に発展していったが、これらの事件は自己表現を仮想空間だけでなくアンドロイドで行う流れも生み出した。
自分が望む姿にデザインされたアンドロイドを生活上のインターフェイスとして利用し、肉体は自宅で別のアンドロイドに管理させるという生活スタイルだそうだ。
これは奇しくも現実世界で散発するパンデミックを押しとどめることに繋がったそうだ。
またアンドロイドを複数所持できない人たちの間で、アンドロイドから肉体を管理するシステムが作られ、後の脳を円盤へと移行するための心理的垣根を下げる役割になったそうだ。
Iさんはここまで話して、小さく「ふぅ」と息をはき、コーヒーに目を落として「冷めちゃった。」と独り言ちた。
内容がかなりぶっ飛んでいたので、私の頭では理解に時間がかかるかと思い録音していたが、彼女の誰に話すともしれない独り言を良く拾っていた。
私はここに至るまで、概ね相槌と小さな聞き返しくらいしかしていなかったが、大きな疑問が浮かんだ。
それは、これらの話しが真実(真実という表現が正確ではないと後々理解した)であるとして、やけに詳しすぎないか・・・ということだった。
まるで未来の視点から歴史の授業を受けているような感覚だ。
授業のような感覚を覚えるのは、ここに至るまでの内容も大分まとめて教えてもらっているようで、Iさんの優秀さに基づくものなのだろう。
気にはなるが話しの腰を折るように思えたので、この時点では口を噤むことにした。
Iさんから「Kさん、私ばっかり一方的に話してますけど大丈夫ですか?」と尋ねられ、私は「とても面白いですよ。」と答えた後、休憩のようにいくつか話しの大筋とは関係ないやり取りをして、彼女は6つめの話しを始めた。
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