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改めてエミール様、ランス様の事をエマが紹介してくれる。
二人とも私達より二学年上の最終学年で、いまも学園に通っているらしい。
「学園はいま、どうなっていますか」
婚約破棄をきっかけに学園を休んでいるが、できるなら一日も早く復帰したい。
ユリアの脅威がある以上、おいそれと復帰するわけにはいかないが、だからこそ学園の様子が気になった。
「相変わらずだな」
「うん。ユリア嬢に篭絡された男子生徒と、我関せずのその他大勢って感じかな」
「ユリア嬢が狙うのは、顔がいいか金があるか地位がある男だけだからな。一般的な下級貴族や平民は遠巻きにしてる」
「ランス様達は大丈夫なのでしょうか」
彼ら独特の赤味がかったブラウンの髪やアースアイは目立つ。
それに魔法使いの家系というのは特別だ。
「魔法使い枠なら、魔法兵団団長の息子がいるから、大丈夫だろう」
「ランスは時々色目を使われてるけどな」
「おいっ!」
やっぱり。ランス様は長身で端正な顔をしている。エミール様だって負けず劣らず整った顔をしているのだ。
学年が違うとはいえ、ユリアの毒牙にかからないとは限らない。
「でもまぁ、俺たちは魔法耐性のあるアミュレットをしてるから大丈夫だよ」
「魔法耐性のアミュレット、ですか?」
「おい、エミール!」
ランス様が気色ばむ。聞いてはいけないことだったのかしら。
「彼女たちなら大丈夫だよ。な、エマ」
「当たり前でしょ」
「エマ?」
エマも知っていることなの?
「隠してたわけじゃないのよ。一応、極秘でうちに魔法耐性のあるアミュレットの依頼が来てたの。ユリア対策としてね」
極秘の仕事。
魔法耐性のアミュレット。
ユリア対策。
それって事は。
「彼女は、魔法を使っているの?」
「ええ。魅了魔法で男達を虜にしているんだって」
息を飲んだ。魅了魔法と言えば、禁呪に指定されている。それが本当ならただでは済まない。
「そんな顔しないで。だからいまは、対策している生徒達が学園に通ってるのよ。ユリアを罠にかけるためにね」
「おい、それ以上は」
「どの道、サマーパーティで決着でしょう。エミリーにも協力してもらおうよ」
「しかし」
「それは」
ランス様もエミール様もいい顔をしない。
でもエマが意味のない事をいう訳がない。
私は落ち着いて息を整えた。
「私が、お役に立つということでしょうか」
二人とも私達より二学年上の最終学年で、いまも学園に通っているらしい。
「学園はいま、どうなっていますか」
婚約破棄をきっかけに学園を休んでいるが、できるなら一日も早く復帰したい。
ユリアの脅威がある以上、おいそれと復帰するわけにはいかないが、だからこそ学園の様子が気になった。
「相変わらずだな」
「うん。ユリア嬢に篭絡された男子生徒と、我関せずのその他大勢って感じかな」
「ユリア嬢が狙うのは、顔がいいか金があるか地位がある男だけだからな。一般的な下級貴族や平民は遠巻きにしてる」
「ランス様達は大丈夫なのでしょうか」
彼ら独特の赤味がかったブラウンの髪やアースアイは目立つ。
それに魔法使いの家系というのは特別だ。
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「おいっ!」
やっぱり。ランス様は長身で端正な顔をしている。エミール様だって負けず劣らず整った顔をしているのだ。
学年が違うとはいえ、ユリアの毒牙にかからないとは限らない。
「でもまぁ、俺たちは魔法耐性のあるアミュレットをしてるから大丈夫だよ」
「魔法耐性のアミュレット、ですか?」
「おい、エミール!」
ランス様が気色ばむ。聞いてはいけないことだったのかしら。
「彼女たちなら大丈夫だよ。な、エマ」
「当たり前でしょ」
「エマ?」
エマも知っていることなの?
「隠してたわけじゃないのよ。一応、極秘でうちに魔法耐性のあるアミュレットの依頼が来てたの。ユリア対策としてね」
極秘の仕事。
魔法耐性のアミュレット。
ユリア対策。
それって事は。
「彼女は、魔法を使っているの?」
「ええ。魅了魔法で男達を虜にしているんだって」
息を飲んだ。魅了魔法と言えば、禁呪に指定されている。それが本当ならただでは済まない。
「そんな顔しないで。だからいまは、対策している生徒達が学園に通ってるのよ。ユリアを罠にかけるためにね」
「おい、それ以上は」
「どの道、サマーパーティで決着でしょう。エミリーにも協力してもらおうよ」
「しかし」
「それは」
ランス様もエミール様もいい顔をしない。
でもエマが意味のない事をいう訳がない。
私は落ち着いて息を整えた。
「私が、お役に立つということでしょうか」
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