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2日目1
1. なんてすがすがしい目覚めなんだろう。
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なんてすがすがしい目覚めなんだろう。
外の残暑なんか全く気にならない完全空調管理された柔らかなベッドの中
オレは、昔の夢を見て目が覚めた。
懐かしい香りと、夢の中での柔らかなハヤの笑顔。
そして、この満たされた、気だるい身体に
しばらく白くて高い天井を眺めていた。
「なんなんだよ。……これ」
昨日のことの方が夢であってほしかった。
しかし隣に寝ている男と、自分の身体中のアザと、首に繋がれた鎖でこちらが現実だと思い知らされた。
手足は自由になっていたが、首にはカギ付きの太い革のベルトが巻かれ、長い鎖がリビング中央のお洒落な柱に括り付けられていた。
30メートル? いやもっとあるかな……。
ここ(ハヤの部屋のベッド)から、かろうじてトイレやダイニングテーブルまでは行けるかな?
計算された鎖の長さに、ハヤの用意周到さが覗えた。
とりあえず何も着ていないので、部屋のソファーに置いてあったハヤのスウェットのズボンをはいた。丈が長いが仕方がない。
自分の服はどこを探しても無かった。
リビングをうろうろしてみる。
喉が渇いたが、キッチンや冷蔵庫までは届かなかった。
「くそっ」
キッチンにはいろいろ道具がある。
鎖や革ベルトを切るものだってあるだろう。
それを見越しての鎖の長さに、あいつすげーなってバカに感心してしまった。
リビングで考えあぐねていると、後ろからぎゅうっと抱きしめられた。
気配を感じなかったオレは、突然のことでビクッとなる。
「………怖がらないで……」
耳元で囁かれ、ぞくっと今度は震えた。
昨日のことがあってから、この低音ボイスはオレの身体の中で違う意味を持つようになったらしい。
「別に怖がってなんかねぇーよ」
「それより、喉渇いたんだけど……」
正直、喘ぎ過ぎだ。
体の水分もすっかり出されてしまっていた。
「スポーツドリンクがある。出すね」
なんだか普通のハヤの対応に、いろいろ言いたい気持ちも一旦閉まってしまった。
カチャ、カチャ
食器とフォークがぶつかる音、テレビからは残暑を知らせるニュースが流れていた。
なぜか普通に朝食を出され、食パンをかじるオレ。
あいつもオレが裸なのとか、首を鎖で繋がれてるとか、なんもつっこまねぇーの……。
「あのさ……この格好寒いんだけど……。服返してもらえるかな」
「ダメ」
はぁーーーー?
なんで切れ気味なんだよ?!
「すぐに熱くなるから……」
ん……漢字的にニュアンス違うくないか?
すっかり空になったお皿を前に、律儀に手を合わせ「ご馳走様」を言うと、リビングのソファーへ移動し、ごろっと横になった。
ハヤはその食器をキッチンへ運び後片付けをする。
これ(鎖)さえ無ければ、いつもここで居座ってる時と何も変わらない。
そう、昨日の事も無かったかのような錯覚さえした。
手を拭きながら戻ってきたハヤはおもむろにオレが寝転がっているソファーへ来て、オレの前に座る。
「な……なんだよ」
「これ、入れといて」
ハヤが手にしていたのは、なんだか妙にゆがんだTの形をした手のひらぐらいの器具だった。
「これ、エネマグラって言って、すごく気持ち良いから」
そう言いながら容赦なくオレが履いていたスウェットを脱がせた。
「ばっ!! やめろよ!! そんなん入れねぇーからな!!」
まったく朝っぱらからオレに何させるんだ!!
せっかく腹いっぱい満たされていたのに、でかいソファーでオレたちはプロレスをおっ始めなくちゃならなくなった。
しかし、ハヤの一言でオレの動きが止まる。
「また、縛るよ」
ああ、オレは今、こいつに飼われてるんだ……。
外の残暑なんか全く気にならない完全空調管理された柔らかなベッドの中
オレは、昔の夢を見て目が覚めた。
懐かしい香りと、夢の中での柔らかなハヤの笑顔。
そして、この満たされた、気だるい身体に
しばらく白くて高い天井を眺めていた。
「なんなんだよ。……これ」
昨日のことの方が夢であってほしかった。
しかし隣に寝ている男と、自分の身体中のアザと、首に繋がれた鎖でこちらが現実だと思い知らされた。
手足は自由になっていたが、首にはカギ付きの太い革のベルトが巻かれ、長い鎖がリビング中央のお洒落な柱に括り付けられていた。
30メートル? いやもっとあるかな……。
ここ(ハヤの部屋のベッド)から、かろうじてトイレやダイニングテーブルまでは行けるかな?
計算された鎖の長さに、ハヤの用意周到さが覗えた。
とりあえず何も着ていないので、部屋のソファーに置いてあったハヤのスウェットのズボンをはいた。丈が長いが仕方がない。
自分の服はどこを探しても無かった。
リビングをうろうろしてみる。
喉が渇いたが、キッチンや冷蔵庫までは届かなかった。
「くそっ」
キッチンにはいろいろ道具がある。
鎖や革ベルトを切るものだってあるだろう。
それを見越しての鎖の長さに、あいつすげーなってバカに感心してしまった。
リビングで考えあぐねていると、後ろからぎゅうっと抱きしめられた。
気配を感じなかったオレは、突然のことでビクッとなる。
「………怖がらないで……」
耳元で囁かれ、ぞくっと今度は震えた。
昨日のことがあってから、この低音ボイスはオレの身体の中で違う意味を持つようになったらしい。
「別に怖がってなんかねぇーよ」
「それより、喉渇いたんだけど……」
正直、喘ぎ過ぎだ。
体の水分もすっかり出されてしまっていた。
「スポーツドリンクがある。出すね」
なんだか普通のハヤの対応に、いろいろ言いたい気持ちも一旦閉まってしまった。
カチャ、カチャ
食器とフォークがぶつかる音、テレビからは残暑を知らせるニュースが流れていた。
なぜか普通に朝食を出され、食パンをかじるオレ。
あいつもオレが裸なのとか、首を鎖で繋がれてるとか、なんもつっこまねぇーの……。
「あのさ……この格好寒いんだけど……。服返してもらえるかな」
「ダメ」
はぁーーーー?
なんで切れ気味なんだよ?!
「すぐに熱くなるから……」
ん……漢字的にニュアンス違うくないか?
すっかり空になったお皿を前に、律儀に手を合わせ「ご馳走様」を言うと、リビングのソファーへ移動し、ごろっと横になった。
ハヤはその食器をキッチンへ運び後片付けをする。
これ(鎖)さえ無ければ、いつもここで居座ってる時と何も変わらない。
そう、昨日の事も無かったかのような錯覚さえした。
手を拭きながら戻ってきたハヤはおもむろにオレが寝転がっているソファーへ来て、オレの前に座る。
「な……なんだよ」
「これ、入れといて」
ハヤが手にしていたのは、なんだか妙にゆがんだTの形をした手のひらぐらいの器具だった。
「これ、エネマグラって言って、すごく気持ち良いから」
そう言いながら容赦なくオレが履いていたスウェットを脱がせた。
「ばっ!! やめろよ!! そんなん入れねぇーからな!!」
まったく朝っぱらからオレに何させるんだ!!
せっかく腹いっぱい満たされていたのに、でかいソファーでオレたちはプロレスをおっ始めなくちゃならなくなった。
しかし、ハヤの一言でオレの動きが止まる。
「また、縛るよ」
ああ、オレは今、こいつに飼われてるんだ……。
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