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夢1

1. あぁ、小学生のオレだ。

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「おーい!ボール取ってくれよ!!」


あぁ、小学生のオレだ。

そう言えば…本当はこの時、ハヤと最初に会ってたんだったっけ?
あー……あんま記憶が無いんだよなぁ。

小学2年生、オレが近所の川原で友達とサッカーをしている時だった。
小柄でひ弱そうな男の子が草むらで座ってる。

「なんでお前、泣いてんの?」

オレはなんとなく気になって声をかけた。

……そういえば、こんな子に会ったことあるなぁ。

「家出してきたんだ……。
でも、やっぱりどうしていいか解んなくて……ぐすっ、
親の言うとおりの事をやっておけばいいのか……
でも、俺だってしたいことがあって……」

「ふーん、
……で、親に言ったけど反対されて家出てきたのか?」

「…………ううん。言ってない」

「はぁーーーーー????」

うん…こんな会話したような、しなかったような……。


「言いもしないで、なんでどうしていいか解んなくなんだよ。」

「だって、言って反対されたら絶対出来ないじゃん」

「何言ってんだよ、言わなきゃ出来ないんだから一緒じゃん!」

「………、、、怖いんだ」

「………」


しかし、これ本当にハヤか?
こんな弱かったかなぁ?



「そんじゃぁさ!! まずは自分が強くなりゃいいんじゃん!!
テレビのゴーレムレンジャーみたいにさぁ!!」

「強く……?」

「そう! 超カッコいいんだ!!
敵が現れたら、そいつの弱点とか調べて、そんでそいつ倒すために鍛えるんだぜ!!
それにはさ、すごくしんどかったり、時には自分も犠牲にするんだけど、正義のためには愛のためには、惜しくないって。
どーよ!! 正解じゃねぇ??」


うわーーーーっバカなこと言ってらぁ……。

こん時ハマってたヒーローもののアニメ。
この歳になってハヤと再放送見たっけ……。

他の奴らは同じ世代のはずなのに誰も知らなくて、ハヤとオレだけ知ってて、盛り上がったっけなぁ。
実はあんま人気無くて、1クールで終わってたんだ。

「自分を強く、相手の弱点を調べて……。
……うん、やってみるよ」

「おぅ!! オレたちもゴーレムレンジャーになろう!!」

「うん!」

なんだそりゃ、このやり取りのどこに将来オレを好きになる要素があったんだよ……。



「俺のこと覚えてる?」

あぁ、これは覚えてるぞ。
小学5年生の時、私立の進学校からハヤが転校してきて、初めてオレと交わした会話。

こん時はもうすでにあいつは160cmも身長があって、女子に「カッコいい転校生」ともてはやされてた。
そのひがみもあって、

「はぁー、しらねぇーよ」

なんて、つっけんどんな返事したんだよな。


それからなんとなくオレの後ばかりついてくる様になって、でも…それでわかったんだ。
女子にモテてた一方で、陰口を叩かれていたことも……。

(アイツ、私立のガッコで頭悪すぎて退学になったらしいぜ)
(いや……親が借金抱えたから学費払えなくなったんじゃねぇーの?)
(体デカいけど、あのチビの夏斗の言いなりじゃん、実はすげー弱かったりして……)


「なんで、言い返さないんだよ」

「……べつに、俺自身困らないから……」

「そういう問題じゃねーんだよ! 
お前ら!! こいつはすげー頭いいし、親父は一流企業の社長だし、空手はたった3年で黒帯なんだぞ!!!
オレの親友をコソコソ悪く言うんじゃねー!!」

あー……、あん時は流石に皆びっくりしてたな。
まぁ、普段からオレあんな感じだったし、すぐ陰口も無くなって無口なあいつも少しずつ打ち解けていけたっけか。

「ナツはすごいね。
初めて会った時もそう思ったけど、ナツにはいつでも翼が生えてるんじゃないかって。

自分の好きなところへ飛んで行ける翼を持ってる。」

翼……?
それはいいねぇー。かっこいい!

ハヤ……そんな風に俺のこと見てたんだ。


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