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実践

5. 《手島side》ああ…私にはもうどうすることもできないのか。

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《手島side》

夏斗くん……どうしているだろう。


もう始まっている。

社長も今日は昼から仕事を入れてない。
見てるんだ……。やっぱり先代みたいに……。

ああ…私にはもうどうすることもできないのか。


ベッドの上でうなだれた。

私は5階にある自室のベッドの木製の柱に鎖を通され、錠前付きの首輪をつけ繋がれていた。
服も髪も乱れ、メガネもどこへ行ったのやらわからない。
こんな姿、この家のメイド達には絶対見せられない。

そして、首に付けられた歯型。
触るだけで、また私の身体が熱くなるのを感じる。

所有物の証。
……逆らった。
でも、まだ私は彼のもので居ていいんだ。

妙な安心感を与えてくれた。


ガチャ……

「し…社長……」

私の部屋に入ってこられた社長は静かに私が繋がれているベッドへ腰をおろした。

「あの子は自分を失わないでいるよ、まだ……。
あれを使っても……」

「あれを使ったんですか!? ……ひどい……」

私は涙目になり、社長から視線を逸らした。


「彼にはちゃんと自分の立場を判らせる必要があるからな。
隼人と恋人同士になれるなどと叶わない夢を見るくらいなら、ちゃんと性奴隷として側で仕えるということを理解しなければ……。
それか、もうこの谷垣家に関わらないことだな」

「なぜです!?
私は……いえ、私の立場はわかっております。
しかし、夏斗くんは普通の男子学生です。なぜ、あそこまでの覚悟をさせなくてはいけないのですか? 普通に隼人さんのお友達ではいけないのですか?」

「アレは彼に夢中になり過ぎている」

「し……知ってらしたんですね。隼人さんがその……夏斗くんのことを……。
そ……それのどこがいけないのです!?」

「隼人が空手を習いだしたときの事を覚えているか?
家出から戻った直後だ。あれだけ私が言っても怖がってしなかったのにだ。
そして、黒帯を取ったとき、私に普通の小学校に入りたいと言ってきた。17歳になる時にはイギリス留学をし、後を継ぐこともすべてを条件にしてだ。それでお前に調べさせたよな」

「はい……通いたいとおっしゃった小学校は隼人さんが家出をして彷徨った地域の小学校で、その後浜崎夏斗くんという男の子とその家出のときに会話を交わしていたということがわかりました。
……それから隼人さんはずっと夏斗くんとお友達でいらっしゃいました」

「アレは彼しか見ていない。
いつか浜崎夏斗でアレは足元をすくわれることになる。
そして、それはこの谷垣家を脅かすこととなるんだ。

それは、許されないんだよ」

「……わかります。
しかし!
でしたらもう、夏斗くんを巻き込まないことだって出来たはずです。それなのにあなたは彼に声を掛けた」

私はベッドを這うように社長に近づき、シーツを握り締めて抗議した。

社長はそんな私の頭を掴んだ。


「私は、浜崎夏斗より、息子がかわいいんだ。
その意味はわかるか?

お前は今も、どうして私の側に居る!?」


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