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近づく男

風呂の湯

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宿にある特別な風呂。
そこの予約が取れた。

明日宿を出るあたりでラッキーだ。
まあ、誰かの作為かもしれないが、ただ感謝しておこう。

宿の自慢の風呂は、薬効や内装にこだわっている自慢の場所だが、
表立って宣伝していない風呂もある。

その理由
専用の風呂は、プライベートな空間になり…
まあ、察してくれ。

男女、その数人で楽しめる広さの風変わりな浴場だと言っておく。

そんな洒落たところに俺の女と来た。

温暖な気候をイメージした浴室内、
広く、赤茶色のお湯がたっぷり使われている。
南の山で湧いた湯が送られてきているらしい。

女は、珍しくはしゃいだ様子で普段より子供のように元気だ。
喜び、俺に許可をとってから泳ぎ出した。
俺と女以外に誰もいないのだから、泳いでも構わないだろう。

楽しそうで何よりと嬉しくなる。
この後の予定もあり、そうのんびりできないが広々とした浴槽は開放感があった。

まだ、日がありその光も一役かっているかもしれない。

フゥと力を抜く。
お湯の温度は緩く、
じっくり入って、出て。ナニかできるのだが。

今回は、妄想だけに留めようと思う。
こんなに、はしゃいだ女の様子は初めてで。

ほっこり気分で眺めていた。

…尻がいいラインだな。
泳ぎに夢中な女は、腕や足が湯から度々出てきて。
扇情的だ。

潤う肌に、滑らかに動く肢体。
あれで誘っていないのが、悔しいものだ。

意識されていないのか、役得なのか。
両方か?

少々、自虐的な気分になるも、
ひととおり泳いだ女と湯から上がった。

肌に触れても嫌がっている様子はなく、じっと石鹸を見ている。
気に入ったのか。箱買い決定だな。

いつものように髪と身体を隅々まで洗い、再び湯に浸かりに行った。
今日は、仕度があるから気疲れしそうだな。

泳ぐのもほどほどに収めるように言い、
隣で手足伸ばす女を見る。

ここの湯は、色こそ変わっていても濁りはない。
透明度、つまり…


見える。

華奢な身体を組み伏せれば、
いやダメだ。負担が大きいだろう?

湯がきっと、いい感じで…待て待て。

体格差もあり、硬い床は可哀想だ。
このままベッドに…いやダメだ。今日は予定が入っている!

愉しみたい気持ちが、増してきた。

女のほつれる髪を耳にかけ直し、可愛い顔を見る。
紅くなるほどではないが、上気して普段とはまた違った雰囲気だ。

幼い感じになる。睫毛がしっかり見え、赤い唇に目が釘付けになる。
喰らいつきたくなる色香だが、風呂でナニかする訳にもいかないのだ。

先に上がり、一度
冷水を浴びて落ち着かせた俺だった。
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