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聖レスク学園

学生の本分 (※キース視点)

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※キース視点

久しぶりにミレーネの微笑みを見た。あの瞼の重い頃に、彼女だけを見ていた気がする。
動きの鈍い自分に、飽きずに話しかけた女の子。



この気持ちはなんだろう?これが、そうなのか検討はつくものの、確信はない。

貴族の派閥争い、面倒だけど続くんだろうとクサクサした気持ちになっていた。
それが、少し心が軽くなっている。

父さんに幼い頃、聞いた事がある。

「運命の人が母さんだと、どうやって出会ったのか?そうだと分かったか?」

『胃袋をつかまれた』と答えは自分にはまだ難しいので母に聞いた。

比喩だったらしい。


第三王子と公爵令嬢が、テストの結果で競い合っている様子も見えた。
学生の本分は勉強だから、別に張り合うのはいいんだけど。

なんだかミレーネが少し、巻き込まれているのが気になる。

(自分には関係ない。)
けど、彼女は目をつけられたかもしれない。


そう思うと、胸が騒いだ。

(なんとかしないと。)


そう思ったのが不思議だった。

自称友人の惚気は、熱に浮かれたように。
ただ下手な劇を見せられているかのようなマイキーの一人芝居。

(本人は大真面目なのがまた。)


獣人の性、運命に相手。その本能に近い感覚に抗えないなら。

「いっそ溺れてしまえ」


相手に受け入れられているなら、それもできるだろう。

羨ましいという感情はない。ただまだ理解できないと本心で思うだけ。





「彼女に告白してくる!」

うるさい奴が、より一層煩くなるって未来の自分に伝えたくなる。
余計に図書館へ逃げ込む事になる。

けして、ミレーネに会いに行っているわけじゃない。
だって会う約束はしていないし。


絶対に会わなきゃいけないというわけでもないんだ。
その時点で意識している、待っているという事に自分はしばらく気づかなかった。
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