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新章
1-②
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けして、ファンタジーと地続きとは思わない私の日常がある。
名前 長谷川 海奈(みな)
年齢 28
所属 ウェブ企画・デザイナー部門
備考 3年勤めた会社から転職
「異動の届けにサインをお願いします。」
とても事務的な手続きの終わりに、端末の画面にサインをした。
「はい、これでここでの事務手続きは完了です。異動先で説明がありますのでよろしくお願いします。」
会社の事務の仕事は終わったと宣言されたのと同じだった。ついでとばかりに、質問をしてみる。
「他にもここへの異動ってあったんですか?」
「まあ~1年に1回?時期は決まってないけど。3人一緒にってこともあったよ。」
以前に異動した人がいると分かっただけで少しホッとする。踏襲というのが安心材料なのだろうか。
訳の分からないところへ行くのも待遇が良過ぎで怪しいよりも、あちらも必至の様子と明け透けな感じに毒気を抜かれたけど。ゲームと思って接していた異世界へ行くための異動って、すごい字面だよね。
(先輩がいるなら、相談できる人と会えれば良いけど。)
迎えが来てくれる。専用の送迎車に乗ってからゲームを起動してみる。経営しているお店の様子が気になって、これはもう習慣だ。生産材料を確認して少しいじってゲームをオフにした。
少し酔う、景色が街から出た風景を見回す。郊外で緑が多くても、真っ直ぐ道路が続いている。
「緑が多いですね」
運転手さんへ独り言の様に呟けば、話を拾ってくれた。
「ええ。緑のシンポジウム?があって森林の保護されている地域なんですよ。それでも、交通は便利でモーターカーが通っています。移動に送迎車を頼むこともできますので、ご利用くださいね」
さりげなく勧め上手だなと思った会話を終えて、外の景色を眺めた。
大きな店舗を通り、まだ先へ。
倉庫、研究所の様な建物。その近くにある社員寮。そこが、私の新しく住む場所で、ゲームの世界へ行く入り口。
ついに来たのだと、変な緊張が肩を力ませた。
タクシー代は会社持ちらしく、すんなり降りた先はホテルの受付を思わせた。
豪奢ではないけど、堅実で役割をふられて動いているような。組織的であり、お客様として迎えられた。
「ようこそいらっしゃいました。長谷川様ですねお部屋でお待ちいただけるよう伺っております。」
エレベーターに乗り込み、見慣れない制服の女性の後を
研究所が見える部屋に案内された。紅茶を頼み、1人部屋に残される。
(普段着で来ちゃったな)
大した服はないからこれだったと思うけど。紺のジャケットに、薄いグレーのパンツスタイル。地味という評価をもらっているが動きやすくて気に入っている格好だった。
会社への訪問にしてはカジュアル過ぎたが、これから住む場所も案内されるのでオシャレより移動に楽な格好を選んだ。そう、場違いではないと思いたい。
一応、磨かれた靴を見ながらそう念じた。
名前 長谷川 海奈(みな)
年齢 28
所属 ウェブ企画・デザイナー部門
備考 3年勤めた会社から転職
「異動の届けにサインをお願いします。」
とても事務的な手続きの終わりに、端末の画面にサインをした。
「はい、これでここでの事務手続きは完了です。異動先で説明がありますのでよろしくお願いします。」
会社の事務の仕事は終わったと宣言されたのと同じだった。ついでとばかりに、質問をしてみる。
「他にもここへの異動ってあったんですか?」
「まあ~1年に1回?時期は決まってないけど。3人一緒にってこともあったよ。」
以前に異動した人がいると分かっただけで少しホッとする。踏襲というのが安心材料なのだろうか。
訳の分からないところへ行くのも待遇が良過ぎで怪しいよりも、あちらも必至の様子と明け透けな感じに毒気を抜かれたけど。ゲームと思って接していた異世界へ行くための異動って、すごい字面だよね。
(先輩がいるなら、相談できる人と会えれば良いけど。)
迎えが来てくれる。専用の送迎車に乗ってからゲームを起動してみる。経営しているお店の様子が気になって、これはもう習慣だ。生産材料を確認して少しいじってゲームをオフにした。
少し酔う、景色が街から出た風景を見回す。郊外で緑が多くても、真っ直ぐ道路が続いている。
「緑が多いですね」
運転手さんへ独り言の様に呟けば、話を拾ってくれた。
「ええ。緑のシンポジウム?があって森林の保護されている地域なんですよ。それでも、交通は便利でモーターカーが通っています。移動に送迎車を頼むこともできますので、ご利用くださいね」
さりげなく勧め上手だなと思った会話を終えて、外の景色を眺めた。
大きな店舗を通り、まだ先へ。
倉庫、研究所の様な建物。その近くにある社員寮。そこが、私の新しく住む場所で、ゲームの世界へ行く入り口。
ついに来たのだと、変な緊張が肩を力ませた。
タクシー代は会社持ちらしく、すんなり降りた先はホテルの受付を思わせた。
豪奢ではないけど、堅実で役割をふられて動いているような。組織的であり、お客様として迎えられた。
「ようこそいらっしゃいました。長谷川様ですねお部屋でお待ちいただけるよう伺っております。」
エレベーターに乗り込み、見慣れない制服の女性の後を
研究所が見える部屋に案内された。紅茶を頼み、1人部屋に残される。
(普段着で来ちゃったな)
大した服はないからこれだったと思うけど。紺のジャケットに、薄いグレーのパンツスタイル。地味という評価をもらっているが動きやすくて気に入っている格好だった。
会社への訪問にしてはカジュアル過ぎたが、これから住む場所も案内されるのでオシャレより移動に楽な格好を選んだ。そう、場違いではないと思いたい。
一応、磨かれた靴を見ながらそう念じた。
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