上 下
43 / 59
異世界ダイブ

11-③

しおりを挟む
<中間位置の許可とポータルの利用権利>

カイナの端末に来た書類、その注意事項の文章の上にはそう書かれている。

「何故ポータルも?」
「行ってみればわかる」

チームに所属、顔馴染みにまで慣れた技術屋さんが近くに居た。最近、結構な古株らしいと知る。
若手研究者さんは、違う仕事場のようで姿は見当たらない。

「アイツなら、仕事しろって連れてかれたぞ。」

同チームの仕事が残っていたらしく、今日はそちらに行くようだ。
2人とカプセルの管理人さんとで準備をした。

「ダイブの準備は良いか?」
「はい」

仮想空間、白い空間の利用は感覚オフモードなので、VRゲームと同じようなものだ。それと比べると、あの世界は食事も感覚もリアルだった。

(夢見心地はあったけど)

蓋が閉じられ、目を瞑った。機会の駆動音を聞きながら待つ。

『カイナ、入室を許可します。』

音声ガイドで目を開けると…。
「スタン!」


スピリッツアでの案内人が待っていた。
「元気そうだ」

微笑みと共に迎え入れられ、中間位置で再会した。

座って、近況の報告をする。机には飲み物があるが、飲めない飾りだ。

「うん、デザインの仕事。企画も通ったし、他の職業の人達とも仲良くなったの。」
「へえ、仲良く?」

スタンが意味深に繰り返したのは気にしていなかった。

考えていたデザインの再現が楽しみでしょうがなく、でも最初にやっておく事はある。
「下着の生産から!」

カイナが生産を試す、スタンが相談役と補佐の配置で進んだ。
作業は触れる感覚はない、VRゲームの空間のように空中で作業する。

「ここではあちらの世界への通信はできるのか?」
「会話できるよ、情報の共有もね。」

端末は空中に浮く形式だけど、機能は全部使える。スタンと雑談をしながら手を動かした。

「冒険者ギルドって行ったことないんだけど、定番な絡まれるがあるの?」

「(定番?)全然ないな。」
「お客になりそうな人へ絡まないって聞いたんだけど、喧嘩も盛られた話?」

理由はスタンだった。イケメンは絡まれそうという独断と偏見だ。
彼は“敵に回してはいけない男”として有名であるため、表向き友好的な冒険者のが多い。

カイナは楽しそうにスタンに今の仕事場について話している。
「男が多そうだな。」
“邪魔な”とついているのに、カイナに気づかせるわけはない。


2人はそれぞれの専門分野の事を考えていたせいか。鈍いかもしれない。


「どんな下着を作るんです?」
「普段着ているものをタイプ別で」

ちらりとスタンを見つめる。

「見せても良いんですが、同じタイプですね。」

カイナは、さらりと自身がセクハラしたのが気になって“見せても良い”をスルーした。
「そっちは、詳しく聞ける人に頼もうかと。」

カイナは、下着の入力をして自身で試す。ブラジャーの設定で展開する。

格好は魔導師のフードだったが、その下は…。ブラと下着のとんだ変態になってしまった。
一瞬、服が消えた事に固まったが出来上がりをチェックする。

(サイズ、デザイン、うんオッケー)

「ジャンプ!」
その場で飛び上がるとズレない、採寸でやわらかとかで微調整も可能だった。

スタンがカイナの挙動を微笑みながら見ているのに、オッケーを出しサンプル作成を続ける。

このデータを基にアンダーシャツと下着がデータ調整される。素材の変化を試すために、最強のビキニアーマーまで作られているのをカイナが知るのは、もっと後だった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,038pt お気に入り:6,130

限界集落で暮らす専業主婦のお仕事は『今も』あやかし退治なのです

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:454pt お気に入り:1

なんで元婚約者が私に執着してくるの?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:13,867pt お気に入り:1,875

【完結】魔女の庭で待つ、恋人達の庭は今日も花でいっぱいです。

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:3

【完結】天使がくれた259日の時間

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:10

わたしたち、いまさら恋ができますか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:839pt お気に入り:378

処理中です...