【完結済み】番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。

II-a 王都に向う旅

依頼の受領

「これほどとは…。」と呟いたのは商業ギルド長のギムナスだった。

以前にも依頼したことがある『竜の翼』は、
リーダーの竜人とその手綱を引く狼獣人を主力にバランスの取れた
冒険者パーティだ。優秀な回復役がいる事も心強いし、
森を進むのに狩人(グスタフ)の察知能力や判断も安心材料だ。

商人のことがわかる目の前の男、シュルトと打ち合わせできるのが
実は、かなり助かる。

冒険者は商人の体力を読みきれないことがある。
予定の変更が受け入れられない場合がもちろんあるとは、わかっている！

だが、商人の体力を鑑みられたり
依頼の商人を下に見る者、護衛として役回りが十分と感じられなくなる。

そこも仕事の範疇になると思うのだが。
いかんせん。考え方が根本的に違うのだ。


専門で受けてくれる高レベルのパーティは、引っ張りだこだ。
専属契約している事もあるだろう。

優秀で配慮ある冒険者たちとの道行きはリスクを減らせる。
好み定めは重要だ。

ーただ今回違うことは、
竜人のロードが番を見つけていた事。


セリか。教会の子だな。出生が伏せられている女の子だな。
(会った時からしばらくは、男の子だと思ってた。)

爺様が気に入っていたな。
この子のアイデアで少しだが商業ギルドの利益にもなっている。

若いし華奢だが、真面目な仕事ぶりだし
『竜の翼』が主体の依頼だ。

パーティでの判断もあるのなら、否はないと思ったが…

今回の大規模な移動で、ランクが低い冒険者にも依頼している商人もいる。
ランクや態度が問題にはならないが、これは…考えなおす必要があるだろうか？



「まあネェ。ロードがあんなんだけど
ワタシ達でフォローするわ」


確かに。討伐にはリーダーであるロードが主力になるが、
今回は“護衛の依頼”だ。

不利益の可能性より、
『竜の翼』に依頼をはねつけられる方が事だ。


今後の付き合いも深めたい。
ダンジョン専門と言われているが、移動の時に依頼を受けている。
懇ろになっておきたいところだ。


ならば、
番ができた後の働きも見る必要があるな。
今後にどう響くか。


今後のパーティ編成としては…
セリがロードの手綱をとることになるのカシラ？
カナンがやってくれてるけどぉ・・・自由な男だものね～。

勝手に
置いてかれる事もあるけど、最善の行動になる事が多い。

ひと言で言えば、野生の勘。
それについて行けるのは、カナンだけなんだけど。
・・セリもそっちに加える？

待機の方カシラ？いえ、ロードが離さないわヨネ～。
連携や動きが変わってくるカモ。


気をつけないと。
カナンと要相談ネ。


って買い物する気カシラ？
買うのは別に良いんだけど…
勘が働くから、変な物つかまされないのよねぇ。

…変でも偽物でも、役に立ったことが多々あったワ。


んー。プレゼント攻撃は、セリには逆効果かしらネ～。
止めなきゃ無闇矢鱈と買いだしそうだワ。



依頼の打ち合わせを終えて
ロード達の方へ向かっていった。