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II-b 陸丘の森

ひと手間 <セリ視点>

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やっと少しは役に立てそう。
いつもより丁寧に紅茶を淹れる。

ちゃんと美味しかった。またなってしまったけど。
コレは隠しどおせるものじゃない。ツッコまれたら答えよう。
害はないんだ。


その後、料理の下拵え。
孤児院で慣れた野菜の扱いは、もう手慣れている領域だ。

サバイバル訓練でナイフは早々に使えるようになったけど
包丁はちょっと手こずった。

日々、薄く剥く方法、味が染みる形を覚えた。
お手伝いの免許皆伝。ってシスターが言っていた。料理屋さんの下働きができるレベルだわって。


当面、料理を手伝う方向かな。

このパーティ『竜の翼』での戦闘の連携は、少しずつ馴染んでいこう。
出してもらえるよう、魔法を鍛える。

このパーティに慣れれば、体力はついてく気がする。
ハイスペースだし、森に慣れている人が多い。基礎体量が違うけど。

風魔法、身体強化が必要。まず、役に立てそうな魔法は・・


「おい!黒いの!!」

ジロリとそいつらを仕方なく、視界におさめた。
またか。面倒な。

「お前がいるなんて、不吉だな!」
2人が寄ってきた。ギルドで絡んできた顔だ。一人減ってる。

構ってやる筋合いはない。
無視して、お湯を沸かしに行く。

「オイ!」

「何か用か?」ギルド長が帰ってきたので大人しく
2人は去っていった。


ギムナスに紅茶を出した。
「ありがとう」と受け取ったお茶をごくごくと飲む。
まだ商人同士の話しがあるようで書類を持って出ていった。


気になって、キースを見れば、
魔力をガンガン使っているなあ。

料理を冷凍しておけば、もちが良く、楽な調理ができる。

味が違うなどこだわりがあるほうだけど
一般的に魔法を使った調理は、できる人が少ない。
贅沢と言える。

これからの食事が楽しみだ。
お茶もできそう。

旅の常備食といえば干し肉。塩味で固い。
補給の意味合いが強いから味にこだわっていられない。
安価。

数々の味気ない食事だった。思い出すのをやめた。
なるべく料理のレシピを覚えよう。自分にはバリエーションというのがない。
知らない調理方法や食材の使い方も作れるようになるかも。

よし。下処理を再開。



「セリ~、香辛料もらってきてくれナイ?」
シュルトの指定した商人から、受け取りに行く。
お金と手紙を持って、お目当ての商人の馬車を探した。

「待て!」

ハァァァ。また、だな。

「いいか、黒いの!お前の存在は…」
絡まれた。

もういいよな。どうしてくれようか?

「テメェ!!聞いてんのか…」武器を手にした。




これは駄目だな。



バリリリッッ!!!
空気を裂く音が鳴った。
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