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III 貿易都市

② 店内の様子

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周囲の温度が下がっている。
雪が降りそうなくらい。

目の前の男たちは固まっていた。

感じる寒さだけではなく、殺気に足が竦んでいるのだがそんなこと眼中になく。
セリは動揺していた。

(え、なんで怒っているの?)

怒っているのは初めて見た。
静かに、凍てつくような怒りに

恐いというより戸惑いがあった。
何がそんなに、この男を怒らせたのだろう?

知り合ってそんなに時間は立っていないが、ロードと言う男が
すぐに怒りや怒気を出す様が想像できなかった。

挑発にはいなすこともでき、わざと乗って楽しむ余裕が見えるのが常だったのに?


「ハァア。セリ、手。」
隣に来たキースに手を取られた、小さな傷がついた方。

いや、ついていた方だった。

「あれ?傷がない。」スススっと指で確認されたところに痛みは感じず。
不思議に思っていたセリだったが、

キースに手首を持ち上げられる。


「チョット、ロードォ~。これ見てー」

瞬時に近づいてきたロードだが、殺気はそのまま男たちに向けられるという
器用なことをしている。

セリの手首を取ると、怪我とも言えない傷があった場所を見る。

べろりっ

………舐められた。

???

驚いたてロードを見ていると、
キースは、ささっと男たちを追い払う。

ちょと周辺の温度が戻っている。
と考えながら目の前で見つめている男を見つめ返した。

どうしたんだろう?

「あー。入ろうか。」

キースの声で店に向かったが、
手が握られたままだった。

店に入れば、
並べられたチョコレートをみる。
店内は満席らしく、待ち時間もあるようだ。

ロードは後ろから抱きついて、離れる気はないらしい。

「「「キャ~ァ♡」」」

外の騒ぎも見られていたのだろう。
黄色い悲鳴とやらが店の奥から聞こえるが、

緊急の悲鳴ではないので無視する。

キースはすでに、我関せずとばかりに真剣にチョコレートをみる。
ウィッグのロングの髪が邪魔そうだ。

キースの髪をまとめ、セリもチョコレートを見る。

ラインナップは変わらないが、あまり持ちが良くない素材が使われているものは
避けるべきだろうか?

「食べればいいじゃない!」と隣のお嬢様に言われた。
今更ながら、似合うと思う。

誰も男性とは思わないのか。

ロードは相変わらず、セリのウエストをホールドしている。
頬擦りもしだした。

本当にどうした??

キースが店に交渉をしている。
ケーキも持ち帰るものがあるだろうか。

持ち帰えりは受け付けているようだが、
大量注文は大丈夫だろうか。


最初に来た時は運が良かったんだな。
すんなり入れたから、心配していなかったけど。

席数が増えていても、お客が上回ったらしい。


ロードを見上げる。

少し、しょげているようで元気がない。

頬に手を当て、目を覗き込む。
ぎゅーっと抱きつかれた。

何か不安なのだろうか。

ヨシヨシといつもと逆に、
ロードの背中を撫でて、宥めたのだった。
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