【完結済み】俺たちと番の女のハネムーン[R-18]

BBやっこ

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旅の支度

逃避行?

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「逃げようか。」

そう言ったロードの瞳は真剣で、
セリに膝を突き合わせて密着し、両手で包んだセリの指に接吻キスをする。


キザな仕草の筈がその瞳の熱量で、ついっと視線をキスされたトコロに落とすセリ。
セリの耳が赤くなっているのは気のせいではない。


「おーい。帰って来いよお。」
呆れて声をかけたのは、伝言をぶった切られたカナンだった。

事の始まりは、カナンが1人で冒険者ギルドへ行った際に、
副ギルド長に捕まって要望という名の愚痴を聞いたことだ。

「使命依頼がたまってるのと~、王都にいるなら顔を出せってよ。」

高ランクの冒険者『竜の翼』はダンジョン専門と言われていても
有名冒険者のひとりだ。その名声から依頼も多く来る。

厄介なところからの依頼、貴族の面倒な付き合いを排除するための守りも
厚顔無恥に乗り越えてくる輩はいた。

嫌われるタイプな上、金払いも悪い。
面識がなくても、煩く迫っていくるという共通点があった。

時々であるそんな依頼が増えた理由は、王都の街にロードが行ったからで。
王都で見かければ、その名も分かる。

ロードは目立つ。

派手、華やかというわけじゃないが、存在感があり見目も良い。
翠色の髪と冒険者の体格で自ずと知れた。

きっと裏でも情報が流れている事だろう。
それより商業ギルドは飛竜の私用で把握されている事だろう。

つがいの、セリのことはまだ知られていないだろうが
それも時間の問題だ。

「まだ、早い。」
セリの都合上、誰と何処にいたか?を知られるのは避けたい。
名の知られているロードと一緒は、良い目印だ。

そんな理由を構えつつも、
“まだセリを独り占めしたい。”という欲のが大きい。

「邪魔だよな」“消したいくらいに”と続きそうな不穏な音をカナンが拾った。
伊達に狼の獣人の聴力だが、今は聞き取りたくなかった。


暴れるわけにもいかないというストレス。不穏なアイディアに付き合わされるか、
やらされるのはオレカナン

そこで
冒頭の台詞だ。


人気の高ランク冒険者の手が空いていると知れたら?
ロードは乗り気じゃない。


適当に依頼を受けて、王都から脱出が平穏な道だろう。
べったり甘々な2人に付き合うことが決定の、カナンの苦労がしのばれる。


「何処に行きたい?やっぱ暖かい南か。」
「出てきたばかりだし、まだ街を避けたい。」

「そうだな、飛竜も良いが他は川を下るルートとかな。」
「川なら船だね。海の航行は乗ったことないな。」

「川より揺れるが、でかい船のが船酔いしないらしいぞ。」
「今のところ酔ったことないかな。」

「酔い止め持って、ダメならちゃんと介抱するからな?」
「ちゃんと手を出さないでお願いね?」

2人がハネムーンの旅行を決めるように楽しそうな反面
面倒ごとに出会いそうだとひしひし感じるカナンだった。


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