【完結済み】俺たちと番の女のハネムーン[R-18]

BBやっこ

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旅の支度

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「今日はベッドで一日中 過ごさない!」

まるで寝て過ごしていたセリフだが、身体は何処も悪くない。
疲れは少々。


セリは昼夜ずっとベッドにいるの危惧していた。
日にちの感覚がないのと、ロードの世話に慣れてきた事に。

気づいたら、朝日が登って夜になり…あれ?何もしていないと思う、日々。

これではダメだ。
仕事をしないと。


王都で商人ギルドを使うとしても、少し慣らしをしないと。
そこで、キッチンを借りることにした。

調合の練習になる「料理をしたい」と相談したらすんなり通った。

シュルトに使って良いものを聞き、クッキーと夕食の一品を作ることにした。
スープなので材料を斬って、調味料を入れれば良いので簡単だ。

味見には、ロードが協力してくれる。

椅子に座ってこっちを見ているロード
(楽しそうだ。)とセリには見えた。

料理中もべったりされる気がしてたが、そうでもないらしい。
作業中は勘弁して欲しかったのでちょうど良い。


少し凝った肩を回して、気合をいれた。
その様子にロードの口元が緩みきっている。

つがいが俺の食事を作ってくれる。食べさせる給餌行動も愛しいが、
ああして作ってくれる姿も可愛い。

他のメンバーの分もあるがまあ、ついでだ。
(最初は俺が味わえる。)

その姿は、大人しくをしているようだった。



クッキー生地から作り、焼いている間にスープを作る。

久々の量の多さは、孤児院に居た頃馴染みがあるので慌てはしない。
ちょっと節々がいたい気がするけど、慣れた手つきで料理しているセリ。


ささっとゴマを入れたクッキーを焼きにいれ、
スープに取り掛かる。

「洗い物しとく。」

ロードの手伝いに「ありがとう」と感謝して、そのまま材料を斬った。

トントンとリズムの良い音と、水を流す音。
重い深鍋にロードが水を入れてくれ、すんなりスープ作りは終わった。

あとは火にかけておくのと、調味料を作る
トッピングに近い。辛味は自由に足せるように、ハーブも使えるようにしよう。

ロードは席に戻って、飽きずにセリの姿を見ていた。



「おー、いいにおいだな。」
クッキーが焼けた頃合いに、カナンが顔を出した。

「焼きたてだよ。何か飲む?」

ロードにコーヒーの淹れ方を教えてもらったセリが聴いた。

スティック上のゴマクッキーは甘さより、しょっぱさがあって食べやすい。
砂糖は高い。栄養をとるためゴマを入れて、孤児院でよく作っていたものだ。


甘さ抑えめ、香りも良いので獣人の冒険者に好まれた“胃袋を掴む”レシピで作った。
ロードもカナンも好みに合ったようだった。

『ピーナッツクリームをつけるとより良い』と贅沢な食べ方を聞いたけど、
そのままでも素朴な味。

ロードに自然と食べさせられながら、そう思った。

お返しに差し出したクッキーは棒状なので、“差し出すのが餌付けっぽい”とセリは思いながら
ロードに食べさせた。

柔らかい笑みを返され、ぱくっと指を食べられる。
びっくりして固まっているセリの指をペロリと舐めて、離してやったロードだった。


その近くで、
「………誰だよ、お前?」カナンの言葉は無視された。


ペロリと舌なめずりして俺のモノセリを見る

爽やかな笑顔のロードが、頭の中でベッドに
セリを据えて算段をしていた。


安定のロードに気づかず
日の光が入るダイニングでのんびり、楽しんでいるセリだった。







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