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お母様

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「あら可愛いお嬢さんね?クッキーは食べてくれたかしら?アンジェの得意なクッキーですもの。
私も大好きなのよ」

またアンジェの名前が出たが、ニッコリ会話を楽しまねば。

「美味しくいただいてます。お茶とも合って。私の持ってきたお菓子も気に入っていただけると良いんですけど。」

女性から見て、あのチョイスは小賢しかったかしら?人気店だし、男性向けのボリュームじゃないけど。
(未来の)お母様には、気に入ってもらいたい。


「ミリアムが持ってきてくれたお菓子も出してもらうから、母さんも座って。」

「あらあら?2人の間に入っちゃお邪魔でしょう?早々に退散するわよ?」

「いいよ座って」

ケイン様が席に案内し、座っていただいた。
今日は挨拶がメインなので、お母様とお話ししなければ。


穏やかそうな雰囲気に、まずは当たり障りのない挨拶。
その感触から、まずまずの成果を期待できた。

お相手の、豹変はあるまで。

私の手土産が運ばれると、先ほどまでとは違った目をかっぴろぎ
ワナワナと握られた扇が振動している。
そして激昂する様に捲し立てた。

「ちょっと、これは占いで大丈夫なお菓子だったの?ねえ、ちゃんと聴いた?
私が直接聴いてこようかしら!だって、とっても頼りになるから。」



「お母様?」

まだ“未来の”とつけねばならないか、親愛を込めて嫁姑の争いは回避よ!
その心意気が落ち込むように、呼びかけも萎んでしまったけど。

「母さん。マドレーヌは

ピンクは良いのよ?でもグリーンよ!グリーンのお菓子は大丈夫だったのかしら?
どうなの、ねえ。」

「落ち着いて、座って。ピンクだけ食べれば良いじゃない。」

「そ、うね。一緒に入ってても口にしなければ良いんだって教えてくれたわ。」


その落ち着いた様子に、ドン引きだ。

なんか、怖い。これ、日常なのかしら?

お母様、占いにどっぷりハマっていらっしゃるようで。


ほほほっ私は笑ったけど。
(距離をとった方が良い人かも。)

そんな、結婚後に大変かどうか考えていると喫茶室に壮年の男性が現れた。



「邪魔するよ」

「あら、貴方。お仕事は終わったの?」

「なーに、少し休憩の時間が取れたんだ。やあ、お嬢さん。ケイン、紹介してくれるか?」

「わかったよ、父さん。ミリアム、突然だけど僕の父だ。」

お仕事でいらっしゃらないお父様とお会いした!今日は時間が取れないかもしれないと聴いてたのにー!
抜き打ちね?
(息子のお相手を見にきたのかしら。)

緊張しながら、淑女の礼をして挨拶を筒がなくする私だった。
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