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どした?ね、どした?

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「ケイン、様?」


「ああ。名前、ね。彼女は特別家で占いをやってくれているから。
外では占っていないよ。君は知らないさ。」

笑顔で教えてくれるけど。

お母様のお顔が、こわいこわいこわい!
表情落ちてしまって。何も言葉を発さないのに。


(え、どうすればいいの?何が気に障ったの
アンジェって占い師じゃないの?)


何枚目かのクッキーを食べた。

「このクッキー美味しいわあ。そうだ、作った方にお礼を言いたいんですけど
アンジェさん?お会いできるかしら。それともお邪魔か…」

「アンジェと会うの?」低い声のケイン様。


「いえ、忙しいなら別の機会に。」

「そう。別の機会ね。」


これもダメなの?何が怒りに触れたのかわからないわ。

占い師も、アンジェも大事なのね?


「ダメよ、他で占うなんて。うちのために、私の、ために占いしてくれなきゃ。
どうすればいいか、いいかわからないもの。」

ボソボソお母様が何か言ってるううう!


(もう、帰ろうかしら


会話がタイミングで、お暇を告げるタイミングを考える。

体調が急に、ではクッキーのせいにとか言いがかりになる?他にいいわけはあるかしら?



コンコン

「アンジェ様がご挨拶したいと来ていますが。」
「アンジェが?」

執事に追い返せと言いそうなケイン様に、

「是非お会いしたいわ!」と被せ気味に私は言った。


入ってきた人物は占い師、のお嬢さん。
17歳らしい。


おとなしそうな性格の、私と同じ茶色の髪。

「アンジェ!話合っただろう?」
「でも一方的で」


(恋人ですか~?手を握り込んでるんですけどお)


「あたしに、日陰者に慣れってこと!」
「そんなわけない!だって、君のためだよ?」

「どういうこと?」

密かな声でも男の声が聞こえた。
「君に似た女の子と付き合えば、全てうまくいくって占いに出たんだ!」


「似た、私?」

私の声に感情が消える。冷静に(茶い髪しか似ていない。)

「ミ、ミリアム」

狼狽えている様子のアンジェはケインの後ろに隠れる。性格は違うようね?
「占いで、私と決めたのね?愛しいアンジェとしたまま。」

「婚約を破棄する予定で!」


「婚、約?!」

晴天の霹靂って、こう言うことかと思うくらい
雷に打たれた気分になった私だった。



コイツ、それが、二股ってわかってないの?



「帰る!」
そう部屋から屋敷から、私は出て行った。

お礼を言うのも、令嬢らしさなんて知らない!
愚痴を、友人に話して解消しよう。


たとえ、噂が流れて
ケインって男とアンジェって女がくっついたって

知らない!



「甘いケーキ食べて、憂さ晴らししましょ!」


私に婚約相手はまだ居なくたって、巻き込まれるのは回避できたと思う。


後日きた謝罪の手紙にも興味がない。
「占いで決めたのかしら?」と皮肉を言うだけ。


勝手に結婚すればあ?私には関係ないのよ。
私なら、良い男を捕まえられる!


「次の相手は、占いが趣味でも良いけど。ちゃんと女の精算ができている相手ね!」


そして、お見合いをする。


「そうなんですか。占いに興味はおありかしら?」


とチェックを忘れていない。
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