11 / 32
第11話 盲信
しおりを挟む
フロンディア王国、王城。
玉座に腰掛けるガルフェンは、意地悪い笑みを浮かべていた。
勇者がこの世界から消えてから、一週間が経過した。
勇者が魔王と相打ちになったという話を聞き、一部の民衆は深く悲しんだ。
が、ほとんどの者は、こうして訪れた平和を心から歓喜していた。
最も利益を得たのはガルフェンだった。
勇者に向けられるはずだった羨望や感謝は、全てアルスを勇者に任命したガルフェンに向けられる。
周辺諸国からも感謝の言葉や品物が届く。
勇者に与えられるはずだった褒章や金品も含め、ガルフェンは贅沢の極みを尽くしていた。
「くはははは! 平民でありながら勇者になった奴を忌まわしく思っていたが、最後にこのような置き土産をしてくれるとは。少しは評価を変えてやっても良いかもしれんな」
既にアルスがいなくなった世界で、ガルフェンは高らかに告げる。
すると、謁見の場に側近がやってくる。
「陛下。王都の南方にて魔獣が出現し、幾つかの村に被害が出ているとの報告が上がりました」
「ふむ、であるならば、騎士団の中隊を一つ向かわせよ」
「お言葉ですが、今回の魔獣発生は、普段と少し様子が違うとのことですが――」
「ええい、我の決定に歯向かうというのか!?」
「い、いえ、そのようなつもりは一切ございません!」
「であるならば、さっさと動け」
「……はっ!」
側近が出て行ったあと、ガルフェンは深く息を吐いた。
「まったく、使えぬ部下を持ってしまうとこれほど大変だとはな。まあいい、騎士団ならば問題なく解決してくれるだろう」
勇者がいなくなったこの状況でも、我が国の戦力が健在であることを示すいい機会になる。
そう考え、ガルフェンはほくそ笑む。
魔獣討伐に向かわせた中隊の中には一人、神聖力の使用者がいる。
問題なく任務を遂行してくれるだろう。
――この時、ガルフェンは心の底からそう信じ切っていた。
玉座に腰掛けるガルフェンは、意地悪い笑みを浮かべていた。
勇者がこの世界から消えてから、一週間が経過した。
勇者が魔王と相打ちになったという話を聞き、一部の民衆は深く悲しんだ。
が、ほとんどの者は、こうして訪れた平和を心から歓喜していた。
最も利益を得たのはガルフェンだった。
勇者に向けられるはずだった羨望や感謝は、全てアルスを勇者に任命したガルフェンに向けられる。
周辺諸国からも感謝の言葉や品物が届く。
勇者に与えられるはずだった褒章や金品も含め、ガルフェンは贅沢の極みを尽くしていた。
「くはははは! 平民でありながら勇者になった奴を忌まわしく思っていたが、最後にこのような置き土産をしてくれるとは。少しは評価を変えてやっても良いかもしれんな」
既にアルスがいなくなった世界で、ガルフェンは高らかに告げる。
すると、謁見の場に側近がやってくる。
「陛下。王都の南方にて魔獣が出現し、幾つかの村に被害が出ているとの報告が上がりました」
「ふむ、であるならば、騎士団の中隊を一つ向かわせよ」
「お言葉ですが、今回の魔獣発生は、普段と少し様子が違うとのことですが――」
「ええい、我の決定に歯向かうというのか!?」
「い、いえ、そのようなつもりは一切ございません!」
「であるならば、さっさと動け」
「……はっ!」
側近が出て行ったあと、ガルフェンは深く息を吐いた。
「まったく、使えぬ部下を持ってしまうとこれほど大変だとはな。まあいい、騎士団ならば問題なく解決してくれるだろう」
勇者がいなくなったこの状況でも、我が国の戦力が健在であることを示すいい機会になる。
そう考え、ガルフェンはほくそ笑む。
魔獣討伐に向かわせた中隊の中には一人、神聖力の使用者がいる。
問題なく任務を遂行してくれるだろう。
――この時、ガルフェンは心の底からそう信じ切っていた。
1
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる