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第15話 暖かさ
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全員がテーブルについたところで、さっそく食事を始める。
俺はまず、先ほど身をほぐした焼き魚の身を、ぱくりと口に運んだ。
「――――ッ、これは!」
少しだけ焦げ目の付いた皮を噛むと、パリッと心地よい音を鳴らす。ほくほくとした食感に、魚の味を引き立ててくれるわずかな塩味が舌の上を転がる。絶妙な焼き加減であることが、それらの魅力を何倍にも引き立てていた。
一言で言うと、めちゃくちゃうまかった。
続いて、つやつやとした真っ白な粒――白米に箸を向ける。
紫音たちのマネをするように皿を持ち上げ、ぱくり。
すると、不思議な食感が口のなかいっぱいに広がった。少しだけモチモチとした、それでいて呑み込みやすい。噛めば噛むほどほのかな甘みが広がっていく。焼き魚の塩味と非常に調和した味わいだった。
最後に目を向けたのは茶色いスープ――みそ汁だ。
スプーンではなく、直接皿を持ち上げて飲むらしい。
貴族との食事の場で同じことをすればマナー違反で処罰されるだろう。
けど、俺には野宿が基本だった勇者時代の経験がある。
そのおかげで、抵抗感はなかった。
ズズッという音を鳴らしながら、そのスープを口に含む。
その時、俺は不思議な感覚を覚えた。
焼き魚な白米とも調和する、ともすれば少し物足りないと思える味わい。
その味付けに、俺は人の温もりを感じたのだ。
ここまで食べた焼き魚や白米にも、似たものを感じた。
けど、このみそ汁は段違いだった。
まだ記憶もおぼろげな頃、俺は両親から捨てられた。
育てていくためのお金がないほど、貧しい家だったからだ。
安い報酬のために体を動かし、得られるのは冷めて硬いパンだけ。
聖剣に選ばれ勇者になってからは、温かい食事を食べられる機会があった。
だけどそれは勇者に召し上がってもらうために作られたものであり、決して俺――アルスを思い作ってくれたものじゃなかった。
だからだろうか。
食べ物に優しさを感じるという、初めての経験。
それによって、俺の胸は満たされた。
ポツリと、俺の目から水滴が流れていく。
ああ、恥ずかしい。まさか涙を流してしまうほど、感動してしまったのか。
そんな俺を見た紫音と千代が慌てふためく。
「……ア、アルスくん、どうなさいましたか!? もしかして、お口に会いませんでしたか?」
「……いや、そうじゃないんだ。美味しすぎたから、つい涙が出ただけだ」
「だと良いのですが……」
本当のことを伝えたのだが、紫音はまだ不安げな様子だった。
まだ伝えるべき内容が足りなかったということだろうか。
そう思った俺は、改めて告げる。
「ああ、本当に美味いよ。なんなら、毎日作って欲しいくらいだ」
「毎日……味噌汁をっ!?」
「んっ?」
どうしたんだろう。
不安げな表情から一転、紫音は顔を赤くしていた。
「どどどどうしましょう、いきなりそのようなことを言われても、心の準備が……」
「落ち着いてくださいお嬢様。恐らくアルス様は、その意味を知った上で言ったわけでは――」
「……? まあいいか」
わちゃわちゃとした2人を尻目に、俺は食事を続けた。
漬物のパリパリとした食感もまた美味だ。
箸を進めながら、俺は思った。
……菓子食べ放題につられて同居を受け入れたけど、こんなご飯を三食食べられる方が魅力的だったな――と。
それはそれとして、食後に菓子はいっぱい食べた。
俺はまず、先ほど身をほぐした焼き魚の身を、ぱくりと口に運んだ。
「――――ッ、これは!」
少しだけ焦げ目の付いた皮を噛むと、パリッと心地よい音を鳴らす。ほくほくとした食感に、魚の味を引き立ててくれるわずかな塩味が舌の上を転がる。絶妙な焼き加減であることが、それらの魅力を何倍にも引き立てていた。
一言で言うと、めちゃくちゃうまかった。
続いて、つやつやとした真っ白な粒――白米に箸を向ける。
紫音たちのマネをするように皿を持ち上げ、ぱくり。
すると、不思議な食感が口のなかいっぱいに広がった。少しだけモチモチとした、それでいて呑み込みやすい。噛めば噛むほどほのかな甘みが広がっていく。焼き魚の塩味と非常に調和した味わいだった。
最後に目を向けたのは茶色いスープ――みそ汁だ。
スプーンではなく、直接皿を持ち上げて飲むらしい。
貴族との食事の場で同じことをすればマナー違反で処罰されるだろう。
けど、俺には野宿が基本だった勇者時代の経験がある。
そのおかげで、抵抗感はなかった。
ズズッという音を鳴らしながら、そのスープを口に含む。
その時、俺は不思議な感覚を覚えた。
焼き魚な白米とも調和する、ともすれば少し物足りないと思える味わい。
その味付けに、俺は人の温もりを感じたのだ。
ここまで食べた焼き魚や白米にも、似たものを感じた。
けど、このみそ汁は段違いだった。
まだ記憶もおぼろげな頃、俺は両親から捨てられた。
育てていくためのお金がないほど、貧しい家だったからだ。
安い報酬のために体を動かし、得られるのは冷めて硬いパンだけ。
聖剣に選ばれ勇者になってからは、温かい食事を食べられる機会があった。
だけどそれは勇者に召し上がってもらうために作られたものであり、決して俺――アルスを思い作ってくれたものじゃなかった。
だからだろうか。
食べ物に優しさを感じるという、初めての経験。
それによって、俺の胸は満たされた。
ポツリと、俺の目から水滴が流れていく。
ああ、恥ずかしい。まさか涙を流してしまうほど、感動してしまったのか。
そんな俺を見た紫音と千代が慌てふためく。
「……ア、アルスくん、どうなさいましたか!? もしかして、お口に会いませんでしたか?」
「……いや、そうじゃないんだ。美味しすぎたから、つい涙が出ただけだ」
「だと良いのですが……」
本当のことを伝えたのだが、紫音はまだ不安げな様子だった。
まだ伝えるべき内容が足りなかったということだろうか。
そう思った俺は、改めて告げる。
「ああ、本当に美味いよ。なんなら、毎日作って欲しいくらいだ」
「毎日……味噌汁をっ!?」
「んっ?」
どうしたんだろう。
不安げな表情から一転、紫音は顔を赤くしていた。
「どどどどうしましょう、いきなりそのようなことを言われても、心の準備が……」
「落ち着いてくださいお嬢様。恐らくアルス様は、その意味を知った上で言ったわけでは――」
「……? まあいいか」
わちゃわちゃとした2人を尻目に、俺は食事を続けた。
漬物のパリパリとした食感もまた美味だ。
箸を進めながら、俺は思った。
……菓子食べ放題につられて同居を受け入れたけど、こんなご飯を三食食べられる方が魅力的だったな――と。
それはそれとして、食後に菓子はいっぱい食べた。
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