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062 今後の予定
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Aランクダンジョン【天獣《てんじゅう》の住処《すみか》】にて出会ったハーフエルフの少女、イネス。
これからしばらくの間、行動を共にすることになった彼女を連れて、まずは滞在している宿へと向かう。
その間もイネスは身元がバレぬよう、フード付きのローブで耳を隠し続けていた。
宿に到着すると、看板娘である12歳前後の女の子――確か宿主からはミアと呼ばれていた――が、俺たちを出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、お客様。あれ、お連れの方は……?」
「こいつも泊まりたいらしい。空いている部屋はあるか?」
さすがに同室というわけにはいかない。
ミアは手元の紙を見ながら、宿泊状況を確認する。
「空いている部屋ですか? えーっと、あっ、一つだけあります! お客様の隣の部屋になるんですが……」
隣、か。
イネスを守るという意味でも、そこに泊まってもらうのがベストだろう。
イネスに視線を向けると、彼女は同意するようにこくりと頷いた。
彼女も同じことを考えていたらしい。
「……じゃあ、それで頼む」
俺の返事に、ミアは小さく会釈をする。
「かしこまりました。それじゃ、ご案内いたしますね!」
意気揚々と、部屋へと案内してくれるミア。
俺が借りている隣の部屋なのだから、鍵だけ渡してくれればとも思うのだが、わざわざ呼び止めるのも面倒だ。
「こちらになります! それでは、どうぞごゆっくりお過ごしください!」
「うん、ありがと」
案内を終えたミアに対し、イネスは柔らかい笑みを浮かべながら感謝を告げるのだった。
その後、宿主が振舞ってくれた夕食を片付けた後。
俺の部屋で、イネスと今後の予定について話し合うことにした。
議題は幾つかあるが……まずはこれか。
「イネス、お前は冒険者カードを持っているのか?」
この町で過ごすには、ダンジョンを攻略して資源を売却するのが最も効率的だ。
そして売却には、冒険者カードという身分証明書があった方がいい。
そう思っての問いだったが、イネスは首を横に振った。
「ううん、持ってないよ。やっぱり実力者が集まる所には、なかなか顔を出しにくくて……」
「なら、これまではどうやって生活していたんだ? 冒険者じゃなければ、魔物の素材を一つ売るだけでも一苦労だろう」
「一応、それでも買い取ってくれる人はいたりしたから……まあ、合法かどうだったかは分からないし、相場よりも低かったりはしたんだけどね……」
まとめると、闇市のようなところを利用していたのだろう。
俺もトレードヘブンでは、盗賊から奪った金品を売るのに利用した。
それなら確かに、身分証がなくても生活できる。
もっとも今のイネスの言い方的に、ある程度は足元を見られていたみたいだが。
それならやっぱり――
「冒険者カードは持っておいた方が色々と融通が利く。明日はまず、お前の冒険者登録からだな」
「……言いたいことは分かるけど、本当に大丈夫なのかな? もし、わたしがハーフエルフだってことがバレたら……」
「そこは心配するな。さっきも言った通り、お前はれっきとした差別禁止の対象だ。人目のあるところで、分かりやすい襲撃はないだろう」
そう言ったものの、イネスの表情からは不安が消えない。
だが俺には、それ以上フォローする言葉も見当たらなかった。
「……万が一のことがあっても、俺がいる。最悪の事態にだけはならないはずだ」
せめてこれが、精一杯の配慮だ。
彼女の安全を力強く保証するような言葉でもない。
しかし、そんな俺の言葉に対し、イネスは安堵したような笑みを浮かべた。
「うん、そうだね。なら、シモンを信じるよ」
随分と信頼されているようだと思いつつ、こうして明日の予定が決まるのだった。
◇◆◇
そして翌日。
俺とイネスは予定通り、冒険者ギルドにやってきていた。
イネスは当然、フードを被りハーフエルフであることを隠している。
昨日、宿屋での会話にて。
『昨日の奴ら以外に、この国に来てから顔を見られてはないんだよな?』
『うん。だから耳さえ見られなければ、バレないと思うよ』
とのことだったので、よっぽどのことがない限り面倒ごとにはならないだろう。
そう思いながら、俺たちはギルドの中に足を踏み入れるのだった。
これからしばらくの間、行動を共にすることになった彼女を連れて、まずは滞在している宿へと向かう。
その間もイネスは身元がバレぬよう、フード付きのローブで耳を隠し続けていた。
宿に到着すると、看板娘である12歳前後の女の子――確か宿主からはミアと呼ばれていた――が、俺たちを出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、お客様。あれ、お連れの方は……?」
「こいつも泊まりたいらしい。空いている部屋はあるか?」
さすがに同室というわけにはいかない。
ミアは手元の紙を見ながら、宿泊状況を確認する。
「空いている部屋ですか? えーっと、あっ、一つだけあります! お客様の隣の部屋になるんですが……」
隣、か。
イネスを守るという意味でも、そこに泊まってもらうのがベストだろう。
イネスに視線を向けると、彼女は同意するようにこくりと頷いた。
彼女も同じことを考えていたらしい。
「……じゃあ、それで頼む」
俺の返事に、ミアは小さく会釈をする。
「かしこまりました。それじゃ、ご案内いたしますね!」
意気揚々と、部屋へと案内してくれるミア。
俺が借りている隣の部屋なのだから、鍵だけ渡してくれればとも思うのだが、わざわざ呼び止めるのも面倒だ。
「こちらになります! それでは、どうぞごゆっくりお過ごしください!」
「うん、ありがと」
案内を終えたミアに対し、イネスは柔らかい笑みを浮かべながら感謝を告げるのだった。
その後、宿主が振舞ってくれた夕食を片付けた後。
俺の部屋で、イネスと今後の予定について話し合うことにした。
議題は幾つかあるが……まずはこれか。
「イネス、お前は冒険者カードを持っているのか?」
この町で過ごすには、ダンジョンを攻略して資源を売却するのが最も効率的だ。
そして売却には、冒険者カードという身分証明書があった方がいい。
そう思っての問いだったが、イネスは首を横に振った。
「ううん、持ってないよ。やっぱり実力者が集まる所には、なかなか顔を出しにくくて……」
「なら、これまではどうやって生活していたんだ? 冒険者じゃなければ、魔物の素材を一つ売るだけでも一苦労だろう」
「一応、それでも買い取ってくれる人はいたりしたから……まあ、合法かどうだったかは分からないし、相場よりも低かったりはしたんだけどね……」
まとめると、闇市のようなところを利用していたのだろう。
俺もトレードヘブンでは、盗賊から奪った金品を売るのに利用した。
それなら確かに、身分証がなくても生活できる。
もっとも今のイネスの言い方的に、ある程度は足元を見られていたみたいだが。
それならやっぱり――
「冒険者カードは持っておいた方が色々と融通が利く。明日はまず、お前の冒険者登録からだな」
「……言いたいことは分かるけど、本当に大丈夫なのかな? もし、わたしがハーフエルフだってことがバレたら……」
「そこは心配するな。さっきも言った通り、お前はれっきとした差別禁止の対象だ。人目のあるところで、分かりやすい襲撃はないだろう」
そう言ったものの、イネスの表情からは不安が消えない。
だが俺には、それ以上フォローする言葉も見当たらなかった。
「……万が一のことがあっても、俺がいる。最悪の事態にだけはならないはずだ」
せめてこれが、精一杯の配慮だ。
彼女の安全を力強く保証するような言葉でもない。
しかし、そんな俺の言葉に対し、イネスは安堵したような笑みを浮かべた。
「うん、そうだね。なら、シモンを信じるよ」
随分と信頼されているようだと思いつつ、こうして明日の予定が決まるのだった。
◇◆◇
そして翌日。
俺とイネスは予定通り、冒険者ギルドにやってきていた。
イネスは当然、フードを被りハーフエルフであることを隠している。
昨日、宿屋での会話にて。
『昨日の奴ら以外に、この国に来てから顔を見られてはないんだよな?』
『うん。だから耳さえ見られなければ、バレないと思うよ』
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そう思いながら、俺たちはギルドの中に足を踏み入れるのだった。
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