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065 共鳴の効果
しおりを挟む「ユニークスキル……【共鳴】?」
イネスの言葉を受け、俺は思わず驚きの声を上げていた。
何か特殊なスキルを保有しているとは予想していたが、それがユニークスキルとまでは考えていなかった。
……まさかそんなところまで、俺と同じ境遇だったとは。
どうやら俺と彼女の間には、不思議な縁があるようだ。
「うん、そうだよ。わたしは、対象の思考や感情を読み取ることができる【共鳴】の能力を持ってるの」
イネスは自分のスキルについて、ゆっくりと説明を始める。
「たとえば、向かってくる魔物の『この攻撃で仕留めてやる』みたいな考えが読めたら、その通りに動いて攻撃を避けることができるんだ。だから、わたしは魔物との戦闘で被弾することが少ないんだよ」
「……なるほどな」
納得がいった。
前に見た時の、イネスの回避力の高さは、この【共鳴】のおかげだったわけだ。
「あとは特定の相手じゃなくて、おおまかに周辺一帯の思考を読むこともできて……特にわたしに対する敵意なんかは、敏感に感知できたりもするんだ」
「……それはなかなか便利そうだな」
「うん! まあ、火力を出せるわけじゃないって欠点はあるんだけど……それでも、わたしからしたらこれ以上ないスキルかなって」
自信ありげな言葉とは裏腹に、その表情は少しだけ曇っているように見えた。
今の説明からして、イネスはこのスキルを戦闘だけでなく、追手から逃げるためにも活用していたはずだ。
……恐らく、彼女はそんな過去の日々を思い出してしまったのだろう。
いずれにせよ、イネスが持つユニークスキルについては理解した。
問題は、これからどうやって彼女を鍛えるかだが――
「ッ! シモン、あっち!」
――突如として、イネスが警戒するように横を向いた、その直後だった。
「ブルァァァアアアアア!」
「ゴォォォオオオオオオ!」
イネスが視線を向けた先から、2つの咆哮が聞こえてくる。
遅れて俺もそちらを見ると、遠くに何かの影が映った。
よく見ると、それは豚の人型をした魔物と、金属でできた巨人の姿だった。
――――――――――――――
【ハイオーク】
・レベル:450
――――――――――――――
【鉄の巨人】
・レベル:420
――――――――――――――
「……この距離で気付けるのか」
【共鳴】の優秀さがよく分かった。
まさかイネスの方が、俺より早く魔物の襲撃に気付くとは。
ちなみにレベルは浅層ということもあり、まだどちらもイネスより低い。
俺は少しだけ考え、彼女に向けて告げた。
「ちょうどいい。イネス、お前一人で戦ってみろ。お前の実力を、改めてここで確かめさせてもらう」
イネスは一瞬だけ驚いた顔をする。
だがすぐに、その表情は真剣なものへと変わった。
「……分かった。やってみるね」
そう告げると、イネスはゆっくりと2体の魔物へと歩み寄っていく。
イネスに気付いた魔物たちが、それぞれ牙を剥き、金属音を立てながら襲いかかった。
身軽なハイオークの方が動きが速く、いまにも肉薄してきそうだ。
しかしイネスは、恐れることなくその場に立ち続けた。
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