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苦しみと愛に満ちた我が生涯。 後編

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 掠れた声でリャナンシーに縋る。

「一生、俺だけを見てくれよ…!」
「リャナンシー、君がいなけりゃ、俺はとっくに死を選んだというのに……!」

 自分でもわかる。俺は今、ひどく歪んだ表情をしている。
 それでも、せめて、貴女のために生き続けたこの身を憐れんでくれ。
 そしてこの身が終わるまでは「俺だけを愛してる」とうそぶいてくれ。

 意外にも、リャナンシーは惚れ惚れとした表情をして、「あなたがそう望むのなら」と言った。
 __そういえば、リャナンシーが声をかけた時も、俺はこのような表情をしていたにちがいない。
 このような、苦しみの中にもがく表情を。


「あぁ、リャナンシー……」
 ベッドの横で、椅子に座る彼女を見つめる。
 彼女はにこりと微笑んだ。

「リャナンシー、まだいるか?」
 目が霞む。
 ほとんど何も見えなかった。
「ええ、ここに」

「りゃ、にゃ」
「貴女のそばにおりますよ」

 それを何度も繰り返し、「幸せ」を噛み締めた。
 彼女の今後を縛り付けられたかどうかは重要でなかった。
 今、俺が生きている間、そばにいてくれるだけで十分だった。
 俺の一生が終わるまで、俺だけを見てくれさえすれば。



 リャナンシーという妖精は生きる生き物である。
 しかし、彼女は恋人がこの世を去った後も、彼の側で彼を見つめ続けた。
 彼女の全身から緩やかに、力が抜けていった。
 恋人の埋葬を見届けるべく、力の入らない脚を無理矢理動かした。
 今にでも倒れ込みそうな状態であるのを我慢し、埋葬されようとしている恋人の墓穴に寄り添うように倒れ込んだ。

 そして、以後リャナンシーは観測されなくなった。
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