いつかサクラの木の下で…… -乙女ゲームお花畑ヒロインざまぁ劇の裏側、ハッピーエンドに隠されたバッドエンドの物語-(アルファ版)

やみなべ

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第4章

28.『神』をぶん殴る!!(side:エクレア)

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 外部から入り込んだ異分子である“私”に追い出された後、悪魔と契約を交わして一体化した本来のエクレア。

 それが“キャロット”の正体。


 そう考えれば“キャロット”がエクレアと瓜二つな姿をしているのもわかる。悪魔でありながらもエクレアに協力的なのもわかる。初めて会った時からどことなく他人のように思えなかったのもわかる。
 正体を隠そうとする意図まではわからないが……

(まぁ“キャロット”……本来のエクレアちゃんはすでに死んでるのかもね。元が死者なら死神が定期的にやってくるのにもつながるし、現世に残る条件の一つが“私”に正体を悟らせないということもありうる。それなら私はあえて知らない振りしといた方がいいかも)

 ただ、これらはあくまで仮説。“キャロット”の言葉を真に受けない事を前提とした仮説だが、もしそうなら……





 今の“私”はエクレアではない事になる。




「それこそ今更な話か。少なくともこの世界に放り込むだけ放り込んで後はもうほったらかしな『神』と違って“キャロット”はこの3年間私の中でずっと付き添ってきた。多少食えないところあっても3年間付き合ってれば人柄……いや、悪魔柄もわかる。
 築き上げた絆があるからこそ私は『神』じゃなく『悪魔』の言葉を受け入れる。元々前世の“私”は『毒花畑』のごとき逝かれた性格だもん。“深淵”なんてどうやって手に入れたかわからない物騒なものを自分の内に宿して無数の悪魔を支配下に置いてたぐらいなんだし、『神』や『教会』の権力や報復が怖くて大人しく縮こまるなんて“私”自身の否定につながる。だから“私”はエクレアを演じながら“私”の誇りにかけて好きに生きる。そのために邪魔となる要素は排除する……といっても『毒花畑ヒロイン』のような全方位に喧嘩吹っ掛けるような人格で動くのはやばすぎる。今の私もそうだけど、さすがの“キャロット”も無関係な者を多数巻き込むような復讐劇を希望してるわけじゃないみたいだし、無差別に害する『毒草畑』ではなく指向性を持たせた『薬草畑』……『お花畑ヒロイン』の長所である天真爛漫な癒しを持ちつつ、『毒草畑ヒロイン』の毒を薬として必要個所だけに効力を発揮させる『薬草畑ヒロイン』。その方向で改めて……ぶつぶつ」

「エクレアちゃん……独り言してるところ悪いけど、もう少しわかりやすく説明してもらえない?」

「あっ、ごめん。ちょっと頭を整理してたところでね。とりあえず……私は偽物といっても、ちゃんと生まれた時から今までの記憶は持ってるよ。例えば……」

 エクレアはにやりっと笑いながら8歳以前の記憶を語る。ローインと初めて顔合わせした時に愚痴ってた内容から、ローイン本人すら忘れてる恥ずかしい思い出まで様々だ。

「わ、わかった……わかったからもう勘弁して」

 放っておけば黒歴史をどんどん掘り返されかねないのがわかったようだ。ローインは降参するかのごとく静止を懇願。
 エクレアも一瞬どうしようかと……興に乗ってるからこのまま続けようかなっと悪魔的思考が覗くも、元々暴露話は本題とは無関係。脱線はこの程度にして本題へ戻ることにした。

「っとまぁ、こんな感じで私はなり替わる前の8歳以前の記憶や想いは引き継いでるし、本物のエクレアちゃんと思わしき魂も“私”が“エクレア”としてなり替わる事を許してくれてる。だから私は今後もを歩む……つもりなんだけど、それは『神』が許さないと思う。時期が来たら本来の役目を果たせっと使命を強制してくるだろうから……その時がきたらぶん殴る!!」

「ぶ、ぶん殴るぅ……?!神様を……ぶん殴る?」

 暴露が止まってほっとしたのもつかの間、次は驚きの声を上げる羽目となったローイン。それもそうだろう。
 『神』は絶対的な存在。教会が崇める絶対不変の法そのものだ。
 そんな『神』をただの人間がぶん殴るなんて“狂気”の沙汰もいいところ。

 だが、エクレアは元々狂ってるのだ。
 正気のまま狂っているエクレアに常識なんて通用しない。よって


「そう、『神』をぶん殴る!!『私の生きざまは私で決める!!』っという想いを拳に乗せて徹底的にぶん殴る!なんなら神様の座から引きずり落とす勢いでぶん殴る!!人の意思を無視して都合の良い駒のように扱おうとする神様なんていなくなってもらった方が世のため人のためでしょ!!!だからぶん殴る!!!!」


 拳を握りしめながら宣言した。
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