拝啓 愛しの部長様

鏡野ゆう

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第四章 海藤ベイビーがやってきたの巻

ある日の黒子達

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 世の中、大器晩成型というタイプの人間がいる。ああ、別にナニが大きいという意味ではないと、念のために申し添えておく。いや、一度、愛海ちゃんに言ったら盛大に誤解してくれたので念のためだ。

 半年以上の期間、二つの部署の人間を総動員して働きかけた結果、海藤と愛海ちゃんはやっとのことで結ばれた。この努力には金一封ぐらい欲しいのだが、実際のところ愛海ちゃんの爆弾が最後の一押しとなったことだし、こちらはきっかけを作っただけなので結婚式と披露宴の両方に招待してもらうことで勘弁しておいてやろう。うちの嫁も今から楽しみにしているからな。

「皆の衆、なにやら今日は動きがありそうだ」

 いつものメンバーで廊下奥の自販機の前に集う。今日は朝から何故か愛海ちゃんがそわそわしていて、何やら海藤の机の上にメモ書きを置いていた。

「もしかして、あれは護符なのか?」
「はやく部長、来ないかな」
「早く一緒に暮らせばいいのにね」
「カッチカチなんだよ、部長の脳みそ」

 正直言って俺はさっさと同棲なり結婚なりして欲しいと思っている。と言うのも溢れ出る二人の甘い雰囲気に砂吐き人間が大量に発生しているからだ。本人達は公私のけじめをつけているつもりなのだろうが、生憎とピンク色の空気がダダ洩れだ。努力は認めるが現実が伴っていないので会社のためにも早くしろというのが俺の意見。

 偵察に出ていた一人が小走りに戻ってきた。なにやら途中でヒャッホ~イとか叫んでいるが何事か。

「さあ、さっさと仕入れた情報を吐け」

 鵜飼いの鵜じゃねーしと言う相手を囲んでやる。さあ心置きなく吐きやがれ。

「部長、メモ書きを見て直ぐに愛海ちゃんのところに行ったんだ。んで、二人してこそこそと資料室で話をしていたんだけど、急にそこから雄叫びが聞こえてさ。もう何か違うものでも召喚したのかと思ったよ。当分は部長」

 そう言って鵜は俺を見た。

「使い物にならないと思いますから長野部長が二人分頑張らないと」

 げっ、俺はまだあの二人のために働かなければならないのか。

「「「「それはつまり?」」」」
「お・め・で・た・です!! きゃー!」
「「「「きゃーーーっ!!」」」」

 自販機の前で奇声あげながら怪しげな踊りを踊る集団がいるらしいと噂になったのは言うまでもない。
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