9 / 22
08:セフィラさん仕事してるの?
しおりを挟む
ある日の昼休み。お腹いっぱいごはんを食べてご機嫌な顔で希樹は友達と別れて裏庭のベンチで日向ぼっこしていた。
勿論日向ぼっこだけではなく、片手にはちゃんと教科書を持っている。
というのも来月には早速テストもあり、出来れば赤点など取りたくないからだ。
黙々と教科書を読んでいると頭上から絹を裂くような悲鳴が聞こえて
ゆっくりと頭上を見上げると
「そ、空から男の子が!!!???」
「うわあああにゃああああああああああああああ!!!!」
希樹の後ろの校舎から落ちてきたであろう少年を教科書を放り投げてキャッチする。
必然的にお姫様抱っこになってしまい、少年は恐怖で身体をプルプルさせながら
希樹の首にキツく抱きしめてくる。
なんだか、とってもデジャヴだなぁと希樹は苦笑しながら考えた。
恐る恐る少年の顔をみると、やはりこの間子犬に追い掛け回されていた少年だった。
今日は半裸ではないけれどYシャツの前部分が濡れていて、まるで桜のような乳首が透けてしまっている。
まだ恐怖が収まらないようなので、されるがまま抱きしめられている。
どこかバラのようなとても素敵な香りが彼の肌からして、あれ?と希樹は目を見張る。
もしかしたらと、よく香ってみようと顔を近づけると
「うわあ!!へ、変態っ!!!」
ようやく現実に戻ったのか、希樹が顔を近づけたタイミングで
大きなメガネでも隠せないほど目元や頬をさくらんぼのように赤くさせて暴れだした。
それに苦笑しつつ、ゆっくりと下ろしてあげると脱兎のごとく駆け出した。
「な、なんだったんだろう…」
結局今回も変態のレッテルを貼られてしまい
困惑した表情をしながら希樹はつぶやいた。
◇◆◇
学校帰りにセフィラのお家に寄ることにして、希樹はいちご大福を買った。
甘党だからいちご大福で喜んでくれるだろう、それに家にお邪魔するのに手ぶらは居心地が悪い。
あたりはもう薄暗く、セフィラ様の家もオレンジ色の明かりがついている。
それもこれも、今日はついに小テストの点が悪かったことで放課後先生に呼び出されてしまったのだ。
頑張って復習をしているが、勉強の基礎を忘れているため未だにみんなのレベルに追い付いていない。
ため息をつきつつ、家には友達と遊んで帰るから遅くなると連絡を入れておき、セフィラの家に入った。
「セフィラさん、なにしてるんですか?」
「おお、勇者様ちょうど良いところに」
セフィラはTシャツジーパンというラフな服装で座布団に正座をしテレビを見ている。
希樹は靴を揃えた後にセフィラに見せるように手持ちの大福を軽く持ち上げた。
「えぬえいちけーという放送のドラマが面白いのですよ」
彼は希樹に近づくと手持ちの袋を軽くのぞく。
「おお!なんと面妖な菓子を!ありがとうございます。今お出しいたします。」
わくわくが抑え切れない様子でセフィラはいちご大福を皿に盛り付け緑茶を出してくれた。
希樹とセフィラ様はドラマをいちご大福をつまみながら見る。
「ねえセフィラさん」
「なんでしょうか?」
2人は画面から目を離さず会話をする。
「魔の反応って本当にないんですか?」
一瞬の静寂が長く感じるが前のように殺気が出ているわけではなくのんびりとした空気が流れる。
セフィラは一度お茶を口に含むと、ふうと息を吐きだした。
「勇者イツキよ」
まるで神託を伝えるような深い声色で名前を呼んだ。
そしてセフィラはテレビから目を離し、希樹を見据えた。
「私は生まれてから神殿で修行を積んでまいりました。
来る日も来る日も修行と仕事の毎日…ですがとても実りのある毎日でした。
……賢い貴女様ならば私の心情を察してくださいますね?」
セフィラは神々しい笑顔をして、希樹に訴え、圧力をかけた。
希樹はそれに汗をかきつつもうなづいた。
「…まぁ本当に魔の反応がないのですが」
「あ、本当にないのですね」
セフィラは大福のもち部分をびよーんと伸ばしつつも神妙な顔で答える。
「いくつか考えられることはありますが、推測の域をでないですね。
有力な点としては力が弱すぎて発見できていない。
ですが最悪なケースとしては誰かが魔を管理している、などです。」
もちはべちっとセフィラのほっぺたを攻撃し、そのまま張り付いた。
それを希樹は眺め、自分の伸ばしていた大福はそこそこの長さで留めておく。
「うーん…前の例もありますし魔を管理しているほうがありそうな気はしますが」
「ですがこちらの世界に魔法がないとなるとその線は薄いです。」
「……そうですね」
一瞬嫌な予感がした希樹だったけれど今は考えても無駄だと思い
お茶をすすりつつドラマをみることに専念しようとした時だった。
「!」
「ようやくきましたね」
その瞬間魔の気配があたりを覆った。
粘着くような生暖かいような気配に、希樹は確信する。
セフィラも希樹もお互い軽く微笑むと家から出てその反応がある方向へと駆け出した。
希樹は塀を軽く上り、家の屋根を音を立てず飛び越えていく。
セフィラは自信を白い鳥へと姿を変えその横を羽ばたく。
「なにか情報が得られるといいですが」
セフィラの思案した声と風を切る音だけが聞こえた。
勿論日向ぼっこだけではなく、片手にはちゃんと教科書を持っている。
というのも来月には早速テストもあり、出来れば赤点など取りたくないからだ。
黙々と教科書を読んでいると頭上から絹を裂くような悲鳴が聞こえて
ゆっくりと頭上を見上げると
「そ、空から男の子が!!!???」
「うわあああにゃああああああああああああああ!!!!」
希樹の後ろの校舎から落ちてきたであろう少年を教科書を放り投げてキャッチする。
必然的にお姫様抱っこになってしまい、少年は恐怖で身体をプルプルさせながら
希樹の首にキツく抱きしめてくる。
なんだか、とってもデジャヴだなぁと希樹は苦笑しながら考えた。
恐る恐る少年の顔をみると、やはりこの間子犬に追い掛け回されていた少年だった。
今日は半裸ではないけれどYシャツの前部分が濡れていて、まるで桜のような乳首が透けてしまっている。
まだ恐怖が収まらないようなので、されるがまま抱きしめられている。
どこかバラのようなとても素敵な香りが彼の肌からして、あれ?と希樹は目を見張る。
もしかしたらと、よく香ってみようと顔を近づけると
「うわあ!!へ、変態っ!!!」
ようやく現実に戻ったのか、希樹が顔を近づけたタイミングで
大きなメガネでも隠せないほど目元や頬をさくらんぼのように赤くさせて暴れだした。
それに苦笑しつつ、ゆっくりと下ろしてあげると脱兎のごとく駆け出した。
「な、なんだったんだろう…」
結局今回も変態のレッテルを貼られてしまい
困惑した表情をしながら希樹はつぶやいた。
◇◆◇
学校帰りにセフィラのお家に寄ることにして、希樹はいちご大福を買った。
甘党だからいちご大福で喜んでくれるだろう、それに家にお邪魔するのに手ぶらは居心地が悪い。
あたりはもう薄暗く、セフィラ様の家もオレンジ色の明かりがついている。
それもこれも、今日はついに小テストの点が悪かったことで放課後先生に呼び出されてしまったのだ。
頑張って復習をしているが、勉強の基礎を忘れているため未だにみんなのレベルに追い付いていない。
ため息をつきつつ、家には友達と遊んで帰るから遅くなると連絡を入れておき、セフィラの家に入った。
「セフィラさん、なにしてるんですか?」
「おお、勇者様ちょうど良いところに」
セフィラはTシャツジーパンというラフな服装で座布団に正座をしテレビを見ている。
希樹は靴を揃えた後にセフィラに見せるように手持ちの大福を軽く持ち上げた。
「えぬえいちけーという放送のドラマが面白いのですよ」
彼は希樹に近づくと手持ちの袋を軽くのぞく。
「おお!なんと面妖な菓子を!ありがとうございます。今お出しいたします。」
わくわくが抑え切れない様子でセフィラはいちご大福を皿に盛り付け緑茶を出してくれた。
希樹とセフィラ様はドラマをいちご大福をつまみながら見る。
「ねえセフィラさん」
「なんでしょうか?」
2人は画面から目を離さず会話をする。
「魔の反応って本当にないんですか?」
一瞬の静寂が長く感じるが前のように殺気が出ているわけではなくのんびりとした空気が流れる。
セフィラは一度お茶を口に含むと、ふうと息を吐きだした。
「勇者イツキよ」
まるで神託を伝えるような深い声色で名前を呼んだ。
そしてセフィラはテレビから目を離し、希樹を見据えた。
「私は生まれてから神殿で修行を積んでまいりました。
来る日も来る日も修行と仕事の毎日…ですがとても実りのある毎日でした。
……賢い貴女様ならば私の心情を察してくださいますね?」
セフィラは神々しい笑顔をして、希樹に訴え、圧力をかけた。
希樹はそれに汗をかきつつもうなづいた。
「…まぁ本当に魔の反応がないのですが」
「あ、本当にないのですね」
セフィラは大福のもち部分をびよーんと伸ばしつつも神妙な顔で答える。
「いくつか考えられることはありますが、推測の域をでないですね。
有力な点としては力が弱すぎて発見できていない。
ですが最悪なケースとしては誰かが魔を管理している、などです。」
もちはべちっとセフィラのほっぺたを攻撃し、そのまま張り付いた。
それを希樹は眺め、自分の伸ばしていた大福はそこそこの長さで留めておく。
「うーん…前の例もありますし魔を管理しているほうがありそうな気はしますが」
「ですがこちらの世界に魔法がないとなるとその線は薄いです。」
「……そうですね」
一瞬嫌な予感がした希樹だったけれど今は考えても無駄だと思い
お茶をすすりつつドラマをみることに専念しようとした時だった。
「!」
「ようやくきましたね」
その瞬間魔の気配があたりを覆った。
粘着くような生暖かいような気配に、希樹は確信する。
セフィラも希樹もお互い軽く微笑むと家から出てその反応がある方向へと駆け出した。
希樹は塀を軽く上り、家の屋根を音を立てず飛び越えていく。
セフィラは自信を白い鳥へと姿を変えその横を羽ばたく。
「なにか情報が得られるといいですが」
セフィラの思案した声と風を切る音だけが聞こえた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる