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第14話
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ロージーの大好きなイチゴをいつも取り寄せてくれて、ロージーのお話を聞いてくれて、遊んでくれる、ロージーが大好きなお父様。
『とーしゃま!』
その嬉しそうなロージーの声を聞くたびに、弱気になっていた気持ちが、揺れ動いてしまっていた決意が、一瞬にして顔を隠す。
旦那様に抱き上げられたロージーは、ローリーを指差して一生懸命お話している。
そんな愛らしいロージーを大切そうに見つめる旦那様は・・・・・・
ロージーのお父様で、私の旦那様だ。
「ディクソン侯爵、昨夜はありがとうございました」
「私は、ただ従妹とダンスを踊っただけですよ」
「それでも、助けられました。
私が不甲斐ないばかりに」
二人がわからない話を始めたのがつまらないのか、ロージーは私はに抱きついて、またピンクのお花の所へ行けと言う。
お気に入りの椅子に座らせれば、大好きなお花に囲まれて大満足の様子だった。
昨夜はローリーとのダンスが終わると、私は旦那様に断りを入れて先にお屋敷へ帰り、早くに休んだ。
そして、今日の朝食の席で旦那様に、夜会でひとりにした事の謝罪をされた。
どうやら昨夜、ブルージェ王国の国王様が『この国はあんな美しい夫人をひとりにしておくのか。信じられない』と呟かれたらしかった。
多くの貴族が耳にし、また国王様が私に話しかけられているのを目にしていた。
ブルージェ王国は、わが国とは比べられないほどの大国。
そんな大国の国王様の気分を害したのではないかと誰もが不安に駆られた。
結局は何事もなく、そのひと言以外は和やかな雰囲気のまま過ごされけれど、旦那様は自身の行動を反省したらしかった。
きっと誰かから、私が噂話の的になっていたのを聞いたのかもしれない。
ローリーとダンスを踊ったことも。
自分が役目を果たさせなかったのを悔いているようにも見えた。
今日、スタンリー伯爵家でローリーにロージーを紹介する話をすると、自分も会って直接お礼を言いたい。と話していた。
でも、王太子殿下の側近という仕事だってある。
だから、本当に来るとは思わなかった。
走り出すロージーを追いかけると、ちょうどブルージェ王国の護衛騎士がローリーに何かを告げていた。
そろそろ、時間なのかもしれない。
「時間みたいだ・・・・・・」
ロージーを抱き上げてローリーとのお別れを教えると、何故かまたローリーの頭を撫でて「よちよち」と繰り返していた。
「ローリー、そういえば、さっき何か言いかけてなかった?」
「・・・いや、たいした話じゃないから。
時間も無いし、そろそろ行くよ」
「そう・・・・・・」
「じゃあ、またな」
歩き出すローリーにロージーと手を振っていると、ローリーの足が止まってこちらを振り返った。
その目は、私でもロージーでもなく、旦那様に向けられていた。
「エヴァンス公爵。
夫人は・・・私の従妹はとても魅力的だ。
余所見をしていると、攫われれるかもしれませんよ」
それだけ言うとローリーは歩きだし、今度は振り返ることも無く、行ってしまった。
『とーしゃま!』
その嬉しそうなロージーの声を聞くたびに、弱気になっていた気持ちが、揺れ動いてしまっていた決意が、一瞬にして顔を隠す。
旦那様に抱き上げられたロージーは、ローリーを指差して一生懸命お話している。
そんな愛らしいロージーを大切そうに見つめる旦那様は・・・・・・
ロージーのお父様で、私の旦那様だ。
「ディクソン侯爵、昨夜はありがとうございました」
「私は、ただ従妹とダンスを踊っただけですよ」
「それでも、助けられました。
私が不甲斐ないばかりに」
二人がわからない話を始めたのがつまらないのか、ロージーは私はに抱きついて、またピンクのお花の所へ行けと言う。
お気に入りの椅子に座らせれば、大好きなお花に囲まれて大満足の様子だった。
昨夜はローリーとのダンスが終わると、私は旦那様に断りを入れて先にお屋敷へ帰り、早くに休んだ。
そして、今日の朝食の席で旦那様に、夜会でひとりにした事の謝罪をされた。
どうやら昨夜、ブルージェ王国の国王様が『この国はあんな美しい夫人をひとりにしておくのか。信じられない』と呟かれたらしかった。
多くの貴族が耳にし、また国王様が私に話しかけられているのを目にしていた。
ブルージェ王国は、わが国とは比べられないほどの大国。
そんな大国の国王様の気分を害したのではないかと誰もが不安に駆られた。
結局は何事もなく、そのひと言以外は和やかな雰囲気のまま過ごされけれど、旦那様は自身の行動を反省したらしかった。
きっと誰かから、私が噂話の的になっていたのを聞いたのかもしれない。
ローリーとダンスを踊ったことも。
自分が役目を果たさせなかったのを悔いているようにも見えた。
今日、スタンリー伯爵家でローリーにロージーを紹介する話をすると、自分も会って直接お礼を言いたい。と話していた。
でも、王太子殿下の側近という仕事だってある。
だから、本当に来るとは思わなかった。
走り出すロージーを追いかけると、ちょうどブルージェ王国の護衛騎士がローリーに何かを告げていた。
そろそろ、時間なのかもしれない。
「時間みたいだ・・・・・・」
ロージーを抱き上げてローリーとのお別れを教えると、何故かまたローリーの頭を撫でて「よちよち」と繰り返していた。
「ローリー、そういえば、さっき何か言いかけてなかった?」
「・・・いや、たいした話じゃないから。
時間も無いし、そろそろ行くよ」
「そう・・・・・・」
「じゃあ、またな」
歩き出すローリーにロージーと手を振っていると、ローリーの足が止まってこちらを振り返った。
その目は、私でもロージーでもなく、旦那様に向けられていた。
「エヴァンス公爵。
夫人は・・・私の従妹はとても魅力的だ。
余所見をしていると、攫われれるかもしれませんよ」
それだけ言うとローリーは歩きだし、今度は振り返ることも無く、行ってしまった。
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