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第2部 第一章 お転婆令嬢、海賊になる!
2-1-15.テムズ川と海軍
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第十五話
テムズ川と海軍
ドーバー港を出て、テムズ川下流近くまで来た。
いつもと様子が違う。
どうも、おかしい様だ。
あまりにも海軍艦の出入りが多いと!
「やはりイングランドは海戦を、どこぞでやるようだね」
「戦争ですか?」
「まあ、フランスかスペインだろうね」
そうなのだ!
イングランドとしては、一発かましたい相手は、フランスかスペインしかない。
王位継承問題に、必ず首を突っ込んでくるこの二国にだ。
エリザベス女王を君主として認めなかったのもこの二国だ。
スコットランド女王のメアリーがイングランドの女王だと言ったものだから、メアリーはエリザベス女王に処刑された。
そして、今、エリザベス女王に子供がいなかったので、そのメアリーの息子のジェームズ一世が、スコットランドとイングランドの君主をしている。
いわゆる、同君連合と言うやつだ。
同君連合は、うまくいく場合もあるし、ダメな場合もある。
まあ、イングランドは上手く行ったようで、イングランド&スコットランド王国から、グレートブリテン王国へとなるわけだ。
実は、エリザベス女王のチューダー朝も、このジェームズ一世のスチュアート朝もルーツは、ヘンリ七世なのだから、親戚なんだけどな。
さて、ジェームズ一世はメアリーの息子だからか、英西戦争終戦のロンドン条約で、スペインに有利な内容で締結してしまう。
当然、イングランドの中では不満が積もっている。
うれしいことに、そのジェームズ一世が死んだのだ。
新しい君主のチャールズ一世は、分かっているのだろう。やるべきことを。
「これは、あのときと同じだ。間違いない。
イングランドはやる様だ。我々にかまっている暇はないはずだ。素早く終わらせるよ」と、イリーゼが言った。
あの時とは、英西戦争勃発時だろう。
さて、アインス商会の小型船は、テムズ川を登っていった。
我々は、下流にある入江で身を隠していた。
船の中では、静かに食事も終えた。
アナとヘマは、食堂で働いていただけあって、それなりの食事を出す。
無論、豪華ではないが、工夫しているようだ。
ちなみに、船の食事とは、貧しいものだ。
それは、お祖母様から聞いていたので、驚きはしない。
基本は、塩肉と乾パンだ。
野菜が無いから、壊血病などになる。
日持ちする野菜というのは、海の上では手に入れるのは難しいのだ。
なら、どこぞの漫画みたいに船で栽培をすれば? というなかれ。
海水で育つ野菜など無いわい。
真水は海の上では、すごい貴重品なのだから、飲まずに野菜にやるなんてあり得ないのだよ。
また、乾パンも虫が湧くし、塩肉も塩漬けなら、日持ちしそうで、実はしない。
冷蔵庫がない時代、何をしてもダメなのだ。
海軍ならカレーに肉じゃがだろうなどと言うのは、もっとあとの時代なのだよ。
それに、煮込むなど薪の無駄だ!
「うーん、固くないお肉にパンは無いの?」と、ベネディクタが文句を垂れている。
まあ、無理を言いなさんな。
さて、テムズ川下流に到着した。
小型船は川を登りロンドンへと向かう。
戻ってきた時に、どこで待ち合わせをするのかと、私は考えていた。
隠れる場所は満載なのだ。
どうやら、二手に分かれるようだ。
一隻の輸送型ガレオン船が先行し、島の中に隠れてしまった。
「これは、わからないわ」と、私は感心してしまった。
次はこの船かと思いきや、海上で待機だ!
いや、ここは目立つでしょう。
すると、イリーゼが、
「三十分後から、演習を開始する。カノン砲、半カノン砲、カルバリン砲を用意」
それって、見つけて下さいって、こちらから言っているようなものでは?
そう思ったが、アインス商会の者は、別に驚きもない。
どうしたものか?
「イリーゼさん、これは? あえて見つかるような事をしていますが?」
「見つかる? 私達がドーバー港を出た時点で、陸から連絡が行っているよ」と、イリーゼは笑った。
さらに、
「それから、近づく漁船に気を付けて。海軍だから」と、イリーゼは付け加えた。
「漁船に……」
あぁ、心休まる暇なしだな。
三十分後、演習の時間になる直前に、何やら小型船が近付いてきた。
「やはり、しびれを切らしたか。微速前進だ」とのイリーゼの指示で、船は動き出した。
そして、実弾演習が始まった。
ドォーーーン!
まるで、そこに小型船など、いないかのようだ。
また、ドォーーーン!
流石に、「これはマズイ」と思ったのか、隠れていた海軍艦が数隻ほど出てきた。
私は、大爆笑した。
「これでは海軍艦の炙り出しだ」
何やら手旗信号で通信している。
まあ、おそらく止めろとでも、言っているんだろう。
しかし、こちらは武装した大型のガレオン船。
海軍でもこのクラスは、三十隻程度しか保有していないだろう。
それだけ、この船は破壊力があるのだ。
そして、サッサと我らは立ち退くことにした。
着いた先には、小型船に引き連れられたダルマ船が待っていたのだ。
「支店長。無事に運び出せました」
「ご苦労さんね」
「これは?」
「上手く囮になったと言う事だよ。私達は」
「先行したガレオン船は?」
「演習中に引き返したよ、見張りの海兵を巻いて」
今回の航海で、どこの海軍も味方では無いことは理解した。
次回の女海賊団は、マジかよ? あれ、ヴァイキングなの?
テムズ川と海軍
ドーバー港を出て、テムズ川下流近くまで来た。
いつもと様子が違う。
どうも、おかしい様だ。
あまりにも海軍艦の出入りが多いと!
「やはりイングランドは海戦を、どこぞでやるようだね」
「戦争ですか?」
「まあ、フランスかスペインだろうね」
そうなのだ!
イングランドとしては、一発かましたい相手は、フランスかスペインしかない。
王位継承問題に、必ず首を突っ込んでくるこの二国にだ。
エリザベス女王を君主として認めなかったのもこの二国だ。
スコットランド女王のメアリーがイングランドの女王だと言ったものだから、メアリーはエリザベス女王に処刑された。
そして、今、エリザベス女王に子供がいなかったので、そのメアリーの息子のジェームズ一世が、スコットランドとイングランドの君主をしている。
いわゆる、同君連合と言うやつだ。
同君連合は、うまくいく場合もあるし、ダメな場合もある。
まあ、イングランドは上手く行ったようで、イングランド&スコットランド王国から、グレートブリテン王国へとなるわけだ。
実は、エリザベス女王のチューダー朝も、このジェームズ一世のスチュアート朝もルーツは、ヘンリ七世なのだから、親戚なんだけどな。
さて、ジェームズ一世はメアリーの息子だからか、英西戦争終戦のロンドン条約で、スペインに有利な内容で締結してしまう。
当然、イングランドの中では不満が積もっている。
うれしいことに、そのジェームズ一世が死んだのだ。
新しい君主のチャールズ一世は、分かっているのだろう。やるべきことを。
「これは、あのときと同じだ。間違いない。
イングランドはやる様だ。我々にかまっている暇はないはずだ。素早く終わらせるよ」と、イリーゼが言った。
あの時とは、英西戦争勃発時だろう。
さて、アインス商会の小型船は、テムズ川を登っていった。
我々は、下流にある入江で身を隠していた。
船の中では、静かに食事も終えた。
アナとヘマは、食堂で働いていただけあって、それなりの食事を出す。
無論、豪華ではないが、工夫しているようだ。
ちなみに、船の食事とは、貧しいものだ。
それは、お祖母様から聞いていたので、驚きはしない。
基本は、塩肉と乾パンだ。
野菜が無いから、壊血病などになる。
日持ちする野菜というのは、海の上では手に入れるのは難しいのだ。
なら、どこぞの漫画みたいに船で栽培をすれば? というなかれ。
海水で育つ野菜など無いわい。
真水は海の上では、すごい貴重品なのだから、飲まずに野菜にやるなんてあり得ないのだよ。
また、乾パンも虫が湧くし、塩肉も塩漬けなら、日持ちしそうで、実はしない。
冷蔵庫がない時代、何をしてもダメなのだ。
海軍ならカレーに肉じゃがだろうなどと言うのは、もっとあとの時代なのだよ。
それに、煮込むなど薪の無駄だ!
「うーん、固くないお肉にパンは無いの?」と、ベネディクタが文句を垂れている。
まあ、無理を言いなさんな。
さて、テムズ川下流に到着した。
小型船は川を登りロンドンへと向かう。
戻ってきた時に、どこで待ち合わせをするのかと、私は考えていた。
隠れる場所は満載なのだ。
どうやら、二手に分かれるようだ。
一隻の輸送型ガレオン船が先行し、島の中に隠れてしまった。
「これは、わからないわ」と、私は感心してしまった。
次はこの船かと思いきや、海上で待機だ!
いや、ここは目立つでしょう。
すると、イリーゼが、
「三十分後から、演習を開始する。カノン砲、半カノン砲、カルバリン砲を用意」
それって、見つけて下さいって、こちらから言っているようなものでは?
そう思ったが、アインス商会の者は、別に驚きもない。
どうしたものか?
「イリーゼさん、これは? あえて見つかるような事をしていますが?」
「見つかる? 私達がドーバー港を出た時点で、陸から連絡が行っているよ」と、イリーゼは笑った。
さらに、
「それから、近づく漁船に気を付けて。海軍だから」と、イリーゼは付け加えた。
「漁船に……」
あぁ、心休まる暇なしだな。
三十分後、演習の時間になる直前に、何やら小型船が近付いてきた。
「やはり、しびれを切らしたか。微速前進だ」とのイリーゼの指示で、船は動き出した。
そして、実弾演習が始まった。
ドォーーーン!
まるで、そこに小型船など、いないかのようだ。
また、ドォーーーン!
流石に、「これはマズイ」と思ったのか、隠れていた海軍艦が数隻ほど出てきた。
私は、大爆笑した。
「これでは海軍艦の炙り出しだ」
何やら手旗信号で通信している。
まあ、おそらく止めろとでも、言っているんだろう。
しかし、こちらは武装した大型のガレオン船。
海軍でもこのクラスは、三十隻程度しか保有していないだろう。
それだけ、この船は破壊力があるのだ。
そして、サッサと我らは立ち退くことにした。
着いた先には、小型船に引き連れられたダルマ船が待っていたのだ。
「支店長。無事に運び出せました」
「ご苦労さんね」
「これは?」
「上手く囮になったと言う事だよ。私達は」
「先行したガレオン船は?」
「演習中に引き返したよ、見張りの海兵を巻いて」
今回の航海で、どこの海軍も味方では無いことは理解した。
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