34 / 58
第2部 第一章 お転婆令嬢、海賊になる!
2-1-21.マダガスカル島 弐
しおりを挟む
第二十一話
マダガスカル島 弐
「よし、飯だ!」
「飯だ」
「飯」
マダガスカル島のタマタブ港に着いた海賊団は、ギニア以来の陸の飯にあり付けた。
ちなみに、ここには、船の調整も含めて一ヶ月いることになる。
出港は早ければ四月中、おそくても五月だ!
この時期は、インドへの季節風があるため、多くの船がこの時期にインドへ向かうのである。
さて、この二人は、アインス商会からの移籍型出向者で、父を海軍にさらわれた二人。
マリーとノエルである。
そんな二人は、ゾロゾロと海賊団の後方をついて歩いていた。
その時、「お父さん?」と言ったのは、マリーの方だ。
男数人が角を曲がっていったのだが、そのうち一人が、父に似ているような気がした。
しかしである。
父の他にも仲間がいたのだ。イングランドの海軍関係者だろうか?
今は海賊団の一員のマリー。
イングランド王国の私掠船をしているとは言え、“海軍関係者に会うことは避けた方が良い”と直感した。
だから、
『仲間が厄介事に巻き込まれたら』と思うと、追い掛けるのを躊躇ってしまった。
「マリーッ!」
「アッ、すぐ行くわ」と、海賊団のところに戻ってしまった。
そして、女海賊団はレストランで盛大に食事をした。
やはり、二代目キーナも個室を借切る。
平等が原則の海賊だが、襲撃対策として、見張りは交代で立たせている。
まあ、最後の方の見張りは、酔っているんだけれど。
「あぁ、それで見張りなのかい?」
「ウィッ! ご主人んん。そうでれす」
海賊団は、見張りに忙しい。
船の見張りも必要だ。
商品や支払うための銀を取られる訳には行かない。
この時代、振込みも出来なければ、全世界共通の貨幣などないので、銀で支払うのだ。
さて、宿屋の玄関の見張りをマリーがしていたが、暇なので玄関の外に出て、新鮮な空気を吸おうとした時のことだ!
「ん? 酔っぱらいか?」と、マリーは呟いたが、なんかおかしい。
先の男たち三人は、酒臭くないような?
「止せばの良いかもしれないが、気になるので跡を付けてみよう」と思い、酔っぱらいのあとを付けて行くことにした。
日も沈み、暗闇の中を進む三人の酔っぱらいだが、いつの間にか、普通に歩いていた。
酔いが冷めたのか?
それとも、初めから酔っていなかったのか?
しかし、マリーには問題があった。
尾行の知識が無かったことだ。
実は、尾行にはやり方もあれば、巻き方も、逃げ方も基本がある。
例えるなら、複数人で網を張ると言えば良いだろうか?
そして、尾行者を仕留める場合、背後から歩調を併せられるので、気配に気付かず刺されるわけだ。
そう!
だから!
マリーは、背後から襲われた。
「怪しい女だ」
「ウウウゥー」
前を歩いていた酔っぱらいは、
「おい、捕まえたか?」と、こちらへ寄ってきた。
『そんな、こんなところで、お父さんに会えずに』
宿屋では、次の見張りが交代しようと、降りてきたのだが、マリーがいないので、騒ぎになっていた。
「これは、宿の外に出ていったと?」
「ミーナちゃん、探した方が良いわね」
「よし! 三人一組になって捜索だ。クリスちぃは残って連絡担当になって」
「分かったわ」
「地図を出して、区分けするわ……」
担当も決まり、出掛けようとした際、ジャスミンがヴィルヘルミーナを呼び止めた。
「お頭、これを! 役に立つかも知れない」
「これは、なに?」
「試作品のハンドカノンだよ。マスケット銃の片手版だな。一発撃てば弾込めをしないとイケないけど、その一発を上手く使ってほしいんだ」
「わかったわ。活用させてもらうわ。ありがとう」
そういうと、私はアガーテとアンナを連れて、夜の闇に出撃して行くのであった。
次回の女海賊団は、ハンドカノンが炸裂です。
マダガスカル島 弐
「よし、飯だ!」
「飯だ」
「飯」
マダガスカル島のタマタブ港に着いた海賊団は、ギニア以来の陸の飯にあり付けた。
ちなみに、ここには、船の調整も含めて一ヶ月いることになる。
出港は早ければ四月中、おそくても五月だ!
この時期は、インドへの季節風があるため、多くの船がこの時期にインドへ向かうのである。
さて、この二人は、アインス商会からの移籍型出向者で、父を海軍にさらわれた二人。
マリーとノエルである。
そんな二人は、ゾロゾロと海賊団の後方をついて歩いていた。
その時、「お父さん?」と言ったのは、マリーの方だ。
男数人が角を曲がっていったのだが、そのうち一人が、父に似ているような気がした。
しかしである。
父の他にも仲間がいたのだ。イングランドの海軍関係者だろうか?
今は海賊団の一員のマリー。
イングランド王国の私掠船をしているとは言え、“海軍関係者に会うことは避けた方が良い”と直感した。
だから、
『仲間が厄介事に巻き込まれたら』と思うと、追い掛けるのを躊躇ってしまった。
「マリーッ!」
「アッ、すぐ行くわ」と、海賊団のところに戻ってしまった。
そして、女海賊団はレストランで盛大に食事をした。
やはり、二代目キーナも個室を借切る。
平等が原則の海賊だが、襲撃対策として、見張りは交代で立たせている。
まあ、最後の方の見張りは、酔っているんだけれど。
「あぁ、それで見張りなのかい?」
「ウィッ! ご主人んん。そうでれす」
海賊団は、見張りに忙しい。
船の見張りも必要だ。
商品や支払うための銀を取られる訳には行かない。
この時代、振込みも出来なければ、全世界共通の貨幣などないので、銀で支払うのだ。
さて、宿屋の玄関の見張りをマリーがしていたが、暇なので玄関の外に出て、新鮮な空気を吸おうとした時のことだ!
「ん? 酔っぱらいか?」と、マリーは呟いたが、なんかおかしい。
先の男たち三人は、酒臭くないような?
「止せばの良いかもしれないが、気になるので跡を付けてみよう」と思い、酔っぱらいのあとを付けて行くことにした。
日も沈み、暗闇の中を進む三人の酔っぱらいだが、いつの間にか、普通に歩いていた。
酔いが冷めたのか?
それとも、初めから酔っていなかったのか?
しかし、マリーには問題があった。
尾行の知識が無かったことだ。
実は、尾行にはやり方もあれば、巻き方も、逃げ方も基本がある。
例えるなら、複数人で網を張ると言えば良いだろうか?
そして、尾行者を仕留める場合、背後から歩調を併せられるので、気配に気付かず刺されるわけだ。
そう!
だから!
マリーは、背後から襲われた。
「怪しい女だ」
「ウウウゥー」
前を歩いていた酔っぱらいは、
「おい、捕まえたか?」と、こちらへ寄ってきた。
『そんな、こんなところで、お父さんに会えずに』
宿屋では、次の見張りが交代しようと、降りてきたのだが、マリーがいないので、騒ぎになっていた。
「これは、宿の外に出ていったと?」
「ミーナちゃん、探した方が良いわね」
「よし! 三人一組になって捜索だ。クリスちぃは残って連絡担当になって」
「分かったわ」
「地図を出して、区分けするわ……」
担当も決まり、出掛けようとした際、ジャスミンがヴィルヘルミーナを呼び止めた。
「お頭、これを! 役に立つかも知れない」
「これは、なに?」
「試作品のハンドカノンだよ。マスケット銃の片手版だな。一発撃てば弾込めをしないとイケないけど、その一発を上手く使ってほしいんだ」
「わかったわ。活用させてもらうわ。ありがとう」
そういうと、私はアガーテとアンナを連れて、夜の闇に出撃して行くのであった。
次回の女海賊団は、ハンドカノンが炸裂です。
0
あなたにおすすめの小説
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる