【完結】ヴィルヘルミーナの白い海賊船 ―自由と冒険を愛する貴方へ― (海賊令嬢シリーズ1&2)

SHOTARO

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第2部 第一章 お転婆令嬢、海賊になる!

2-1-22.マダガスカル島 参

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第二十二話
マダガスカル島 参


「怪しい女を捕まえた。閉じ込めて見張っていろ」
「はい、少佐」


 部屋と言っても、大した鍵など無いので、見張りの男が付くようだ。

 そして、先程、酔っぱらいのフリをしていた男たちは、また、出て行った。

 さて、見張りの男なのだが、
「スペインの者か? あるいはポルトガルか?」と、聞いてきた。
 この聞き覚えのある声は、
「お父さん? マリーよ」
「え?……マリー?」

 男は、明かりを近づけ、しっかりと顔を確認した。
「マリー!」
「お父さん、よく無事で」
「おぉ、マリー! みんな無事か? 元気か?」
「えぇ、みんな元気よ」

 いくら人さらいの海軍とはいえ、手紙を書くことは出来たようだ。
 脱走は重罪で、寄港した街で逃げ出した者がいたが、五十叩きの刑に処せられた。
 まず死刑にはならないが、数日後、その脱走者は死んだ。

 また、家族のいる者は、「家族がやばいのではないのか」と考えたようだった。
 なので、父は脱走をした訳では無いが「みんな無事か?」と聞いたのだ。

 しかし、娘は、
「父さん、逃げよう!」
「……」
「ねぇ、父さんてば」
「マリー、脱走は重罪だ」
「死刑なの?」
「いや、死刑ではないが、似たようなものだ」

 しかし、この日の娘は強引だった。

 父を建物から連れ出そうとしていたのだ。
「マリー、あと二年だ。二年の契約で解放される」
「ウソよ。海軍の言う事なんて、アテにはならないわ」

 すると、そこにヴィルヘルミーナたちがやって来た。
「マリーか?」
「キャプテン!」
「マリー、どうしたんだ?」
「あっ、アガーテさんとアンナさん」

 マリーは言った。
「うちの父です。探していた父です」と。

 父は驚いたのだ。
「か、海賊? マリー、アインス商会に勤めていたのでは、なかったのか?」

 そうだった!
 私は、真紅の上着を来て、ここまで来てしまったのだ。
 これは、海賊に見られても仕方がない。

「えぇ、アインス商会が出資している海賊よ。イングランドには私掠船登録しているわ」

 あちゃー!
 海軍に……
 
 まあ、アインス商会とは、民間の海賊みたいなものだ。いや、この時代、商人は民間の海賊で、海軍が国営の海賊だからな(笑)


「詳しい話は宿で聞きましょうか」とアンナが言うと、この場を立ち去ることにした。


 宿屋の奥の部屋にて。

「ということは、マリーのお父さんなの?」
「ええ、父です」
「マリーは、アインス商会からの出向社員という立場と言えば良いかな?」

「出向社員???」
「一時的にこちらに籍を移しているみたいな」
「そんなことが出来る訳は……」

「まあ、お嬢様とイリーゼ支店長の間で」
「えっ? お嬢様?」と、マリーの父は訪ねた。
「まあ、そこは……聞かなかったことに。ワハハ」

「さて、本題に入ろう」と、私は話を変えた。
「お父上は、海軍を抜け出しますか? それとも残りますか?」
 マリーが、息を呑んだ。

「海軍を抜ければ、本国の家族に迷惑がかかる。三年、我慢した。あと、二年耐えれば……」

 誰も何も言えなかった。
 その二年で、死ぬかもしれない。
 それは、家族も同じ。

「お父さん」と言ったマリーは、次には驚いたようだ。

 何故なら、
「では、私がお父上をさらった事にすれば良いのですね」と、私が言ったからだ。

「ちょっと、待って下さい。考えさせて下さい」
「キャプテン、それは。キャプテンや皆に迷惑をかける訳には……」

 私以外にも、数人、苦笑したようだ。

「お時間を下さい。娘とも話し合いますので」と言うと、この場はお開きになった。

 しかし、手ぶらで帰ると、娘を逃したことになるので、襲撃されたと言うことにするため、先の建物のガラスをハンドカノンで撃ち抜いておいた。

バキューン!
バリーン


「クリスちぃ!」
「うん?」
「マリーの父親、あの様子だと海軍に残るよね?」
「うーん、恐らく」
「家族を心配していたけど、そこまで海軍はやるのかな?」
「わからないわ」

「なら、さらうか? 今度は私達が」
「すると、お尋ね者になるわね。私たち」
「「ふふふ」」


 次回の女海賊団は、マリーの親父をさらいますわ!
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