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第2部 第ニ章 黄金郷を求めて
2-2-25.許すまじ!
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第二十五話
許すまじ!
「許すまじ! 出撃だ」と、若旦那と呼ばれる男は言い放った。
そんな頃、私たち女海賊団は、初めて見るインドの都市に興奮していた。
「遂にインド! 遂にボンベイ! 遂に、遂に、私のお婿さんのいるぅ。インドだ」
「お頭、港からスループ船です。武装している可能性があります」と、頭上のロイヤルマストの見張りから声がした。
「なんだ? こちらに向かってくるぞ」
すると、
「敵艦発砲ッ」
我がガレオン船の左水面が、大きく飛沫を上げた。
「どういう事だ? こちらは国の許可書を持って入港するのだぞ」
しかし、相手は発砲を続けている。
「『停戦せよ』と、取り敢えずは信号で伝えろ。しかし、このまま港へ入っても、そこで発砲されたら、船に傷をつけられる。ジャスミン! 戦闘用意ッ」
「お頭、待ってました!」
そして、私は団員を鼓舞するためにも大声を張り上げた。
「甲板のカルバリン砲は撃てるように準備せよ!
手の空いているものは、海賊刀、マスケット銃、クロスボウで武装せよ」
「若旦那ッ、奴ら『停戦せよ』とか言っています。しかも、『キーナ・コスペル海賊団』を名乗っています」
「何だと! ふざけるなッ。伯爵様がお亡くりになったと言うのに、悪ふざけが過ぎる。沈めても良い。やってしまえ」
スループ船が高速で向かってくる。
高速のガレオン船より、さらに速いスループ船である。
スループ船は、機動力を活かして、ガレオン船を包囲殲滅するのが得意だ。
だが、それは通常のガレオン船の話だ。
重武装のこの船とすれ違うことは、スループ船としてハイリスクなのだ。
船側には、片側、合計17門ものカノン砲と半カノン砲を、後部には3門ずつ、カノン砲と半カノン砲を装備している上、甲板にもカルバリン砲を装備している。
さて、すれ違うということは、お互い腹を見せて殴り合うわけだ!
船側に大砲を貼り付けているのだから。
しかし、相手が、まだ正面を向けている攻撃力の弱い時に、取舵で船側を向けて、全力攻撃をする。
「アンナ、取舵だ」
「とぉりかぁじッ」と、アンナが舵輪を回す。
「撃てぇ!」と言うジャスミンの声が甲板まで、聞こえる。
半カノン砲が効いている。
一隻、付いてこれないようだ。
こちらが取舵を取ったため、スループ船4隻が、こちらの後方に付く形だ。
スループ船に取っては、願ってもない。
普通、スループ船の方が速いのだから!
しかし!
それは、普通の話だ!
この白いガレオン船は、超高速船なのだ。
イギリスからインドまで、12ヶ月から18ヶ月掛かるところを10ヶ月で航行する速さなのだ。
「あのガレオン船、まったく追いつけない」と、スループ船のクルーがぼやいていた頃。
ジャスミンが甲板に上がってきた。
「お頭ッ、半カルバリン砲を二門用意できる。後方甲板で使って欲しいんだ」
???
「半カルバリン砲?」
「威力は皆無だが、カルバリン砲より、さらに射程が長い。今なら、後ろのスループ船のマストを狙えるッ」
「わかったッ! やってくれ」
「了解だ!」
半カルバリン砲とは、カルバリン砲が18ポンドの砲弾を使うのに対し、半カルバリン砲は9ポンドと半分の砲弾なので、威力は無いが、6キロを超える有効射程距離は使い道があるというものだ。
「よし、私の合図で、左右交互に撃って行くぞ」
「了解! ジャスミン砲術長」
「てぇー!」
ドオーーン
「てぇー!」
ドォーーン!
そして、また一隻、スループ船が脱落していった。
「若旦那ッ!」
「見ていられん。ガレオン船を出す。BKG号を出撃させる」
その頃、港のシュベルツ商会の事務所では、エルハルト・シュベルツが立ち上がった。
「また、やっているのか? 白いガレオン船のレプリカでも寄港してくるのか?」と、エルハルトは、若旦那達が戦っているガレオン船を見た時、なにか違和感を感じた。
そこに、60歳代の男が、慌てて駆け込んでくる。
「会長ッ、あれはレプリカではない。本物の白いガレオン船、つまり、“Der Schlüssel zur Zukunft”号だ」
「ヨーゼフさん、本当なのですか?」
「間違うものか! あれは、ヴィルヘルミーナさんの“Der Schlüssel zur Zukunft”号だ。それにあの時計と反対にまわり、カノン砲で仕留めるやり方は、キーナ・コスペル海賊団の戦い方だ。
あれでスペインの戦列艦と戦ってきたのを何度も見ている」
「となると息子たちが危ない」
「止めさせないと死傷者が出るぞ! 会長ッ」
次回の女海賊団は、なんと、お前があのシュベルツさんの孫なのか?
許すまじ!
「許すまじ! 出撃だ」と、若旦那と呼ばれる男は言い放った。
そんな頃、私たち女海賊団は、初めて見るインドの都市に興奮していた。
「遂にインド! 遂にボンベイ! 遂に、遂に、私のお婿さんのいるぅ。インドだ」
「お頭、港からスループ船です。武装している可能性があります」と、頭上のロイヤルマストの見張りから声がした。
「なんだ? こちらに向かってくるぞ」
すると、
「敵艦発砲ッ」
我がガレオン船の左水面が、大きく飛沫を上げた。
「どういう事だ? こちらは国の許可書を持って入港するのだぞ」
しかし、相手は発砲を続けている。
「『停戦せよ』と、取り敢えずは信号で伝えろ。しかし、このまま港へ入っても、そこで発砲されたら、船に傷をつけられる。ジャスミン! 戦闘用意ッ」
「お頭、待ってました!」
そして、私は団員を鼓舞するためにも大声を張り上げた。
「甲板のカルバリン砲は撃てるように準備せよ!
手の空いているものは、海賊刀、マスケット銃、クロスボウで武装せよ」
「若旦那ッ、奴ら『停戦せよ』とか言っています。しかも、『キーナ・コスペル海賊団』を名乗っています」
「何だと! ふざけるなッ。伯爵様がお亡くりになったと言うのに、悪ふざけが過ぎる。沈めても良い。やってしまえ」
スループ船が高速で向かってくる。
高速のガレオン船より、さらに速いスループ船である。
スループ船は、機動力を活かして、ガレオン船を包囲殲滅するのが得意だ。
だが、それは通常のガレオン船の話だ。
重武装のこの船とすれ違うことは、スループ船としてハイリスクなのだ。
船側には、片側、合計17門ものカノン砲と半カノン砲を、後部には3門ずつ、カノン砲と半カノン砲を装備している上、甲板にもカルバリン砲を装備している。
さて、すれ違うということは、お互い腹を見せて殴り合うわけだ!
船側に大砲を貼り付けているのだから。
しかし、相手が、まだ正面を向けている攻撃力の弱い時に、取舵で船側を向けて、全力攻撃をする。
「アンナ、取舵だ」
「とぉりかぁじッ」と、アンナが舵輪を回す。
「撃てぇ!」と言うジャスミンの声が甲板まで、聞こえる。
半カノン砲が効いている。
一隻、付いてこれないようだ。
こちらが取舵を取ったため、スループ船4隻が、こちらの後方に付く形だ。
スループ船に取っては、願ってもない。
普通、スループ船の方が速いのだから!
しかし!
それは、普通の話だ!
この白いガレオン船は、超高速船なのだ。
イギリスからインドまで、12ヶ月から18ヶ月掛かるところを10ヶ月で航行する速さなのだ。
「あのガレオン船、まったく追いつけない」と、スループ船のクルーがぼやいていた頃。
ジャスミンが甲板に上がってきた。
「お頭ッ、半カルバリン砲を二門用意できる。後方甲板で使って欲しいんだ」
???
「半カルバリン砲?」
「威力は皆無だが、カルバリン砲より、さらに射程が長い。今なら、後ろのスループ船のマストを狙えるッ」
「わかったッ! やってくれ」
「了解だ!」
半カルバリン砲とは、カルバリン砲が18ポンドの砲弾を使うのに対し、半カルバリン砲は9ポンドと半分の砲弾なので、威力は無いが、6キロを超える有効射程距離は使い道があるというものだ。
「よし、私の合図で、左右交互に撃って行くぞ」
「了解! ジャスミン砲術長」
「てぇー!」
ドオーーン
「てぇー!」
ドォーーン!
そして、また一隻、スループ船が脱落していった。
「若旦那ッ!」
「見ていられん。ガレオン船を出す。BKG号を出撃させる」
その頃、港のシュベルツ商会の事務所では、エルハルト・シュベルツが立ち上がった。
「また、やっているのか? 白いガレオン船のレプリカでも寄港してくるのか?」と、エルハルトは、若旦那達が戦っているガレオン船を見た時、なにか違和感を感じた。
そこに、60歳代の男が、慌てて駆け込んでくる。
「会長ッ、あれはレプリカではない。本物の白いガレオン船、つまり、“Der Schlüssel zur Zukunft”号だ」
「ヨーゼフさん、本当なのですか?」
「間違うものか! あれは、ヴィルヘルミーナさんの“Der Schlüssel zur Zukunft”号だ。それにあの時計と反対にまわり、カノン砲で仕留めるやり方は、キーナ・コスペル海賊団の戦い方だ。
あれでスペインの戦列艦と戦ってきたのを何度も見ている」
「となると息子たちが危ない」
「止めさせないと死傷者が出るぞ! 会長ッ」
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