【完結】ヴィルヘルミーナの白い海賊船 ―自由と冒険を愛する貴方へ― (海賊令嬢シリーズ1&2)

SHOTARO

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第2部 第ニ章 黄金郷を求めて

2-2-44.アーサー王の復讐

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第四十四話
アーサー王の復讐

 白いガレオン船は、思っていた。
 私を傷つけた!
 許すまじ!


***


 アガーテの前には、数人の海兵がいた。
 剣の勝負では、海兵では相手にならなかった。
 しかし、後ろの兵に銃や弓を持たれると話が変わってくる。

 私たちも、負けじと弓などで後ろの兵を威嚇していた。

「もたもたするな。相手は少数だ」
「ハッ、大佐ッ」

 と言っていらところに、被弾したロイヤルマストの破片が落ちてきた。

 なんと、大佐と呼ばれる男の胸は、マストの破片が貫通していた。

 誰もが目を見開いた!
 その時、アガーテが踊り出た。
 また、海兵が駆られたのだ。

「おい、大佐が殺られた」
 敵のトップをやったのか?
 なら退却するのか?


 いや、大佐の代わりは、いくらでもいるようだ。
 64門鑑から、誰か来るようだ。
「阻止しろ」というも、敵もそうはさせまいとする。

 少しずつ、削られていく!
 そんな感じだ。

「中佐、こちらへ」

 その時、私はもう、気がおかしくなっていたのだろうか?

 はるか彼方から、大砲の音が聞こえたような気がした。
“ドォーン”と、カルバリン砲の音がしたような。
 空耳だろう。

 また、“ドォーン”としたような。
 苦笑するしかないな。
 先程まで、目の前で大砲を打ちまくっていたのだ。耳に音がごベリ付いたのだろう。

 すると、隣の64門鑑のロイヤルマストが見張台ごと、吹っ飛んだ。
「はぁ? なんだ?」

“ドォーン”
“ドォーン”
 また、
“ドォーン” と。

 中佐は自艦に戻って行くのを、海兵たちが見て、慌てている。
「俺たち、どうすれば?」

 なので、
「お前らも、戻りやがれ!」と蹴り飛ばしてやったわ!
 ガハハ!

 遥か彼方から、ガレオン船と小型船がこちらへ向かってくるようだ。

 スペイン海軍の戦列艦たちが動き出す。

「一体、誰が?」
「キャプテン、あれはイリーゼ支店長の船です。“アーサー王の復讐”号です」

 はあ?
 “アーサー王の復讐”号って、イリーゼさん、貴女は誰の味方なんだよ!

 しかし、ガレオン船はその“アーサー王の復讐”号しかなく、後はスループ船のように見える。
 戦列艦相手に大丈夫なのだろうか?

 しかし、スペイン海軍とは、学習しないのだな。
 いつも、カルバリン砲によるアウトレンジ攻撃で撃たれている。

 大口径のカノン砲しか積んではイケないのだろうか?
 そして、カノン砲の射程に入る頃には、帆がボロけている。
 当然、速度は落ちる。

 そこに、小型で高速のスループ船が一斉に散らばった。

 なんと、一隻のスループ船が、戦列艦の前を蛇行している。
 さらに、戦列艦の速度が落ち、他のスループ船の砲撃を食らっているでは!

 他のスループ船は、時計回りと時計回りと反対周りの二隻の船が砲撃している。

 たった10門しか積んでいない小型船に戦列艦が四苦八苦している。

 やがて、スループ船は数を増やし、時計回りと反対周りというより、8の字に動いているようだ。
 そうやって、装填の時間を稼いでいるのだ。

 すると、一隻のスループ船が、こちらに近づいてきた。
 マストの修理とダブルカノン砲の砲弾の補給をしてくれた。

 助かる。

 補修程度とはいえ、ロイヤルマストが使えれば、動かせる。

 しかし、補給をしても砲術長のジャスミンが倒れている。
 これでは、正確な射撃が出来ない。

「なら、オレがやります」と、スループ船の男が手伝ってくれるようだ。

 これまた、助かる!

「修理完了です!」
「よし! Zukunft号、発進だ」

 私は、白いガレオン船が、やる気になっているのが、手にとるように分かった。

「ふふふ、もうこの船も私と一体なのね。これもマルよ」

 すると、100門鑑がもたついているのが見えた。

 そして、私は、吠えた!
「獲物はあれだ、100門鑑だ」と。
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