一宮君と幽霊ちゃん

へたまろ

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寂しがりやさん

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「あー、疲れた」

 荷ほどきも終わって、ある程度整理もすんだ。
 なんで、こんなもの持ってきたんだろうというのもあったけど。

 まっ、大事な思い出の品ってことで、ご愛敬か。

 初日は豪勢にいったけど、二日目にしてすでにコンビニ弁当と缶ビール。
 まあ、調理器具も無いし、明日買いにいこう。
 で、落ち着いたら自炊を始めよう。

 冷蔵庫からビールを取り出して、ぐいっと。
 美味しい。

 することもないし、布団に入る。
 昨日の幽霊ちゃん可愛かったな。
 名前は、なんていうんだろう。

 そんなことを考えながらウトウト。

 シクシク……

 あっ、いたんだ。
 取り敢えず、電気を点ける。

「あっ」 

 という可愛らしい、しょんぼりした声が。
 ふふ……
 やっぱり、消そう。
 てか、驚かす側が驚くとか。

「寂しいよ」

 うんうん。

「苦しいよ」

 うんうん。

「辛いよ」

 触れることができたら、頭撫でてあげるのに。
 語尾が変わってから、ちょっと親近感が。

「恨めしいよ」

 何があったのかな?

「憎いよ」

 苛められてたり、まさか事件に巻き込まれたり?

「寂しいよ」

 無視してたら、最初に戻った。

「苦しいよ」

 それ、さっきも聞いた。

 ……

「寂しいよ」

 また一周した。
 ボキャブラリー少ないのかな。

 あと、暗闇になれてぼんやりと表情が分かるようになったけど。
 あんまり、恨めしいって顔してない。
 ちょっと、楽しそう。

 けど、明日は朝から買い出しの予定だし。
 いつまでも付き合ってないで、いい加減寝ないと。

 寝返りをうって横を向く。

「寂しいよ」

 何周するのかな?

「寂しいよ」

 ん?

「寂しいよ」

 無視してたら、寂しいよしか言わなくなった。
 ナニコレ、可愛くね?

「寂しいよ」

 不意にすぐ側で声が聞こえたので、うっすら目を開ける。

「あっ!」

 目があった。
 やっぱり、可愛らしい顔してる。
 そして、なぜお前が驚く。

 ボンッという音が聞こえそうなくらい分かりやすく顔を紅く染めて、消えていなくなった。
 いや、顔色はあれだけど、そんな幻覚まで見えた。
 彼女がすでに幻覚かもしれないけど。

 でも、これでやっと寝られる。

 ……
 うーん、トイレ行きたい。
 面倒臭いなー。
 でも、いかないと眠れないやつだこれ。
 よしっ!

「えっ?」
「あっ!」

 目を開けたら目の前にまたいた。
 今度は、顔を両手で覆って消えてった。

 トイレトイレ。
 3本は飲みすぎたなー。

「あっ」

 トイレの便座に顔を両手で覆って、俯いてる幽霊が座ってた。
 
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