『よつばのクローバー』

うどん

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10.『奇襲』

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羽曇組本家をあとにしたカオリとよつば。
組長の孫娘 犬木みずきに無礼をはたらいたよつばはただ俯いてカオリの後ろを歩いていた。


本家を離れ、しばらく歩いているとカオリが立ち止まった。

「・・・よつば。」

カオリはよつばのほうに振り向いた。

「はい。」

よつばはビクッとしてこわばった返事をする。

「私はあの時、『気持ちを落ち着けてきなさい。』とあなたに言いましたね?」

「・・・はい。」

「何故、それが出来なかったのですか?」

「申し訳ございません。」
よつばは泣きそうな表情でカオリに謝る。
しかし、カオリの表情は普段と変わらない表情。
ただ、声のトーンは下がっていて静かな威圧感を感じる。

「私の質問に答えなさい。何故、気持ちを落ち着けることが出来なかったのですか?」

「・・・みずきが居たからです。」

「そうですね。では何故掴み合いになったか話しなさい。」

よつばはカオリに洗いざらい話した。
自分のその時の心情も包み隠さず話す。

するとなぜか徐々に気持ちがラクになってきたことに気付いたよつば。



「・・・分かりました。どうですか?少しスッキリしたでしょう?」

カオリはよつばに歩み寄り、頭を撫でた。

「次からは気持ちを落ち着かせて行動しなさい。」

「・・・はい!」

よつばの表情に光がはいる。
主人の命令に背き、組長の孫娘に無礼まではたらいたペット。
主人に捨てられるかもしれないと内心怯えていたよつばは深く安堵した。

カオリはフッと微笑む。

「食事でも行きましょうか。ついてきなさい。」

「はい!!」

カオリとよつばは再び歩き出した。


小さな喫茶店で食事を済ませたあと、帰宅しようとしていた二人。

「さて、帰りましょうか。よつば、タクシーを捕まえてきてくれますか?」

よつばは二つ返事をし、タクシーを探しに走って行った。

カオリは建物の陰でよつばの戻りを待っていた。
しかし次の瞬間、頭に痛みが走る。

「ッ!?」
カオリはその場に倒れ込んだ。
頭からは血が出ている。

カオリはすぐさま後ろを振り返った。
そこにはバットを持った5人がいた。

「おぉー今のはいい振りだったぜぇ」
バットを持った一人が嬉しそうにはしゃいでいる。
「んなことどーでもいいから早く金目のもの探せ。」
茶色のロングヘアの女が男に指示する。

「・・・まさか組のシマで襲われるとは」
カオリが呟く。それを聞いていたバットを持った男は嘲笑しながら言った。

「組ぃ?時代遅れのヤクザのことかぁ?おい!」

男はバットをカオリに勢いよく振り下ろした。

「アンタ、ヤクザの繋がってんのか?悪りぃけどヤクザはもうおしまいだ。これからは俺たちの時代だぜぇ!」

男がもう一度カオリにバットを振り下ろそうとしたその時、どこからか飛んできた看板が男を吹き飛ばした。

「ッ!?」
突然のことにその場にいた一同は驚いた。

飛んできた方向に皆が目をやる。
そこには鋭い目をしたよつばが立っていた。

よつばは勢いよく走り出した。
よつばが投げた看板に吹き飛ばされた男は起き上がるが、走り込んできたよつばに顔面を蹴られてその勢いのまま地面に叩きつけられた。

「お前ら・・・ぶっ殺す。」

よつばはカオリを襲った5人の顔を見る。

「凄いなお前。あそこからあの看板を投げ飛ばしたのか。」
よつばが投げ飛ばした看板。軽く見積もっても二十キロくらいはあるであろう重さの看板を投げ飛ばしたことに拍手しながら感動する茶髪の女。

「・・・アキお姉ちゃん、私がやっていい?」

茶髪の女の後ろにいたフードを被った赤髪の女は言った。

「いいよ。殺しちゃ駄目だよ?めんどくさいから。分かった?レア。」

アキお姉ちゃんと呼ばれる茶髪の女はにやけ顔で答えた。
どうやら姉妹のようだ。
レアと呼ばれる赤髪の女は前に出る。

よつばはカオリの元に駆け寄った。
「・・・ご主人様、遅くなり申し訳ございません。立てますか?」

カオリはこくりと頷いた。
頭からは血が流れ滴って、カオリの白髪が赤く染まっていた。

駄目だ。この状態では走るどころか歩くことも難しい。
カオリの様子を見てそう判断したよつばは逃がすことを諦めた。

「ご主人様、ここに座っててください。すぐ終わらせます。」

よつばはカオリをそっと壁にもたれさせる。
すると背を向けていた間にレアが近づいてきた。

レアが背を向けているよつばの頭に蹴りをいれようとするが、よつばはその蹴りを片手で受けとめる。

「慌てんなよ。ちゃんとぶっ殺してやるからさぁ・・・なぁッ!!!」

よつばは振り返ってレアの顔面を殴り、吹き飛ばした。

主人を傷付けられて怒りが頂点に達しているよつばは拳を強く握り締め、咆哮した。
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