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〜第4章〜
95.『旧トンネルの隠れ家』
しおりを挟むみつれとしおんは事務所で話をはじめた。
みつれは鍵を取り出してテーブルに置いた。
しお「何の鍵?変わった鍵だね。」
みつ「・・・スイと暮らしていた旧トンネルの隠れ家の鍵だ。」
しお「ッ!?」
みつれが出した鍵は旧トンネルの隠れ家の鍵だった。
みつ「スイのポケットに入っていた。中には入ろうとしたんだが……なかなか踏ん切りがつかなかった。」
みつれは鍵を見つめながらそう言った。
みつ「・・・今日中に入ろうと思ってる。しおん、お前にも来て欲しい。」
しお「僕も?」
みつ「頼む。もし私がおかしくなったりしたらその時は頼みたい。」
みつれ自身、気持ちの整理はついてるもののその隠れ家にはいることで正気を失うんじゃないかと考えていた。
しおんはそのためのストッパー。
しお「わかったよ。行こう。それに組織の情報がなにか分かるかもしれないしね。」
しおんは旧トンネルの詳細をみつれに話した。
旧トンネルの施工会社はあのテロリスト シロサキの祖父の建設会社であること。
シロサキはその隠れ家を所有していたがスイに明け渡した可能性があること。
しおんがみつれを助け出すために調べたこと全てを話した。
みつ「・・・そうだったのか…。まさかシロサキが絡んでるとはな。」
みつれはソファから腰を上げた。
みつ「行こう。」
しお「うん。」
2人は支度をし、旧トンネルへむかった。
1ヶ月前にみつれが旅に出る前に旧トンネルのわきに添えていた花のところまで到着した。
みつ「・・・着いた。」
みつれ達はバイクを降り、トンネルの中央付近にある別の通路は歩いていく。
しお「確かこの辺だったよね。」
しおんは僅かに色が違う壁を見つける。
その壁の窪みに手を引っかけると壁が動き出した。
すると下に続く階段が出現した。
みつ「・・・ここまで辿り着けていたんだな。」
しお「けどここから先は鍵が無いとダメだったよ。」
みつれは鍵を取り出した。
みつれは階段の下から4段目の蹴込板の部分の小さな鍵穴に鍵を差し込んだ。
すると行き止まりだった壁が動き出した。
先には廊下が続いていた。
しお「す、凄い…」
みつ「この先だ。行こう。」
みつれは先陣を切って前に歩き出した。
みつれは懐かしい気持ちになっていた。
みつれがいた部屋。
スイと一緒に食べた食事。
スイと一緒に入った風呂。
スイと一緒に愛し合った布団。
全てがその時のままだった。
しお「旧トンネルにこんな隠れ家が……凄い。」
みつ「・・・」
みつれは自分が居た部屋をじっとみつめる。
みつ「・・・帰ってきたよ。スイ。」
みつれはボソッと呟いた。
みつれは優しい顔になっていた。
みつ「スイの部屋…入らせてもらうね。」
みつれは自分の部屋を出てスイの部屋に向かう。
ガチャっとドアを開け、みつれは初めてスイの部屋の中を見た。
そこはみつれの部屋よりも狭く、独房のようだった。
みつれは思わず笑う。
みつ「ふふっ、私の部屋より狭いじゃないか…。まるで独房だな。」
しおんも後ろから中を確認する。
しお「ここがスイの部屋ですか。めちゃくちゃ狭いね。なんかこっちのほうが監禁部屋っぽいよ。」
みつ「・・・まったくだな。…きっとスイは自分より私を優先したんだろ…。」
みつれとしおんはスイの部屋に入っていく。
中は布団と机、収納棚があった。
みつれは収納棚を開ける。
中には書類や武器が入っていた。
しおんが書類を確認していく。
しお「この隠れ家の見取り図か……こっちはテロの新聞の切り抜き。…組織に関するものは……」
しおんは書類を物色し始める。
みつれは収納棚の中にもう1つ引き出しがあることに気がついた。
みつれがそこを開けると、中に手帳と写真が入っていた。
みつ「なんだこれは……」
みつれは手帳を手にする。
中をひらくと、そこには日記が記されていた。。。
みつ「スイの……日記!?」
みつれは記されていた日記を読んだ。。。
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