『ブラックボックス』

うどん

文字の大きさ
186 / 197
〜最終章〜

180.『睨み合い』

しおりを挟む



シロサキはリカに自分の『犬』であるハナがみつれを始末し損ね、挙句の果てにエトを拉致られたことを告げられる。

緊急事態と言われ、リカの元に戻るよう命令を受けたシロサキはふつふつと怒りが込み上がっていた。



シロ「・・・」


通話が切れたスマホをポッケに入れながらハナを睨むシロサキ。


シロ「ハナ、お前しくじったね。みつれを殺し損ねてるぞ。」


ハナは驚いたと同時にサッと顔色が悪くなった。


ハナ「そ、そ、そんな……確かにですかそれは……」


ハナはリンを離し、シロサキの元へ走った。



リン「((今だッ!))」


リンはずっとハナが離れる瞬間を待っていた。

リンは髪留めを指で変形させ、手錠のロックを解除した。
気付かれないように慎重に手錠を外し、隠し持っていた銃に手をかけようとする。



シロ「リカさんから聞いたんだ間違いない。クソっ!さっさと終わらせて戻るぞ!リカさんの命令……ッ!?」



シロサキはその瞬間、リンが銃を構えているのに気がついた。


リンはシロサキの頭を狙って発砲した。


だが弾丸はシロサキのこめかみを掠める。


シロ「どけっ!」


シロサキはハナを突き飛ばし、リンに発砲した。


リンはすぐ近くの車の陰に隠れて被弾を避けた。


シロ「おい!クソ刑事!!余程このガキを死なせたいらしいなァ!!」


シロサキはカエデの頭に銃口を突きつける。


カエ「ひっ…」


先程発砲した銃口はほのかに熱をおびていた。



するとバイクのエンジン音が埠頭に鳴り響く。


コンテナの上からバイクに乗ったみつれとよつばが現れた。


シロ「ッ!?」


みつれはシロサキ目掛けてバイクのスロットルをまわす。


シロサキはカエデを手放し、バイクの衝突を回避した。


見えない左側に避けたシロサキは体勢を崩してしまい転倒する。


シロサキはすぐにみつれに銃口を向けようとしたが銃は弾詰まりを起こしてしまっていた。


シロ「くっ、くそが!!」


タンデムシートから飛び降りたよつばはすぐにカエデの元へ駆け寄った。


よつ「もう大丈夫だよカエデちゃん!」


よつばはカエデの目隠しと拘束具を外した。



カエ「あ、ありがとうございます。」



小刻みに震えてはいるが、目線はハッキリとしていた。



みつ「シロサキ……」


みつれはバイクから降り、サバイバルナイフを取り出す。


するとハナがみつれの前に立ち塞がり、みつれに蹴りを入れる。


しかしみつれはその蹴りを受け止めた。


ハナ「なんでお前が……なんで生きている!?」



みつ「・・・あの時防弾チョッキの一部を身につけていた。ハナさんが運良く防弾チョッキの位置に撃ってくれたから今こうして生きている。」


みつれはハナの蹴りをはらい、ナイフを構える。


ハナ「じゃあ……次は頭をぶち抜く!!!」


ハナは銃を取り出し、みつれの頭を狙って発砲した。

しかしみつれは屈んで銃弾をかわし、銃を持つハナの右腕をナイフで切りつける。


ハナ「ぐっ……!」


おもわず銃を手放してしまったハナ。
みつれはその瞬間を逃さず銃を手に入れようとする。


だが、ハナはそれを阻止するために地面に落ちた銃をシロサキの方に蹴飛ばして身体を横に逸らした。


みつ「ッ!?」


ハナの後ろにいたシロサキはニヤリと笑う。


シロ「上出来だハナ!」


シロサキはハナの銃を拾い上げ、みつれに銃口を向けた。


シロ「お前もスイの元に送ってやるよッ!!」



引き金を引くその瞬間、シロサキの手から銃が弾き飛んだ。


シロ「ッ!?」


銃を弾き飛ばしたのはリンが撃った銃弾だった。


リン「終わりだシロサキ!!!」


リンの声が響き渡る。


シロ「く……くそ刑事ぃ………ッ!!」


睨み合うリンとシロサキ。


ハナ「シロサキ様!!」


ハナはリンからかばうようにシロサキの前に出ようとするがみつれに身を抑えられた。


みつ「動くな。」


リンは銃を構えながらゆっくりとシロサキに近づく。


リン「お前を逮捕する。覚悟しろ。」


シロ「逮捕?お前が?私を?……ハッ!冗談じゃないよ!!」


シロサキはビー玉サイズの玉をリンに向かって放り投げた。


その瞬間、玉は爆竹のように爆発し、リンを怯ませた。


リン「うっ!!」


怯んでいる隙をついてシロサキはリンから銃を奪う。


シロ「ここで死ぬお前が!!私を逮捕出来るわけないだろ!!」


リンに銃口を突きつけ、引き金を引く。

しかしリンは躊躇無く踏み込み、シロサキを殴り飛ばした。


リン「元々さっきので弾切れだったんだよ。まんまと騙されてくれたね。」


リンが持っていた銃はシロサキの銃を弾き飛ばした時の弾が最後の弾だった。


みつ「・・・ふっ、無茶なことしやがって。」


ハナ「シロサキ様ァァァ!!!」


ハナはみつれの制止を力いっぱいに振り切って倒れたシロサキの元へ駆け寄る。


みつ「くっ……なんて馬鹿力だ………」


リン「みっちゃん大丈夫!?」


リンはみつれに駆け寄った。



リン「・・・みっちゃん、ここは私に任せて。カエデちゃんを安全な所へ。」


みつ「リン………ダメだ。1人で仕留めれる相手じゃない。私もやる。それにカエデはよつばさんに任せた。」


リン「そう………わかった。」


みつれとリンは身を構える。


シロ「・・・ハナ、最後のチャンスだ。今度こそあの女を殺せ。次は無いぞ。」


ハナ「はい!シロサキ様!」


シロサキはゆっくり立ち上がる。


お互い睨み合いがはじまる。



みつ「決まりだな。私はハナさん、リンはシロサキだ。」


リンは頷く。


リン「決着をつけよう……シロサキ。」


シロ「左眼の借りは…お前の命で返してもらう!クソ刑事ぃ!!」



因縁の対決が始まる。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

処理中です...