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第十二章:感性という多様性(まじめ編)
第六十五話:初詣1
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12月30日・部署グループライン
男性社員:
おつかれさまです。
1/1なんですが、有志だけで初詣とか行きませんか?
イタリア:
お、いいね。
神社のマナーとか、案内してくれるかい?
女性社員:
参加しまーす。
MtF:
アタシも行くわ。
韓国さん:
すみません。国に帰省中ですので、今回は欠席で。
私:
ごめん、年末年始は妻の実家に行くんだ。
男性社員:
じゃあ四人っすね。
集合場所は――
ムスリム:
礼拝はできませんガ、私もご一緒してよろしいデスカ。
全員:
!?
~~ 1月1日・神社前 ~~
女性社員:
あけましておめでとうございまーす……寒っ。
MtF:
あけましておめでとう。
ふふ、振袖いいじゃない。
女性社員:
へへ、祖母に着付けして貰いました。
男性社員:
おお……眼福がすぎる。
あけましておめでとうございます。
イタリア:
ジャパニーズ民族衣装かい?
とても素敵だね。
ムスリム:
كل عام وأنتم بخير(クル・アーム・ワ・アントゥム・ビハイル)
おはようございマス、今年も、皆さんが元気でありますヨウに。
男性社員:
あの……宗教行事的なやつって、大丈夫なんですか?
ムスリム:
その辺りは、こちらで判断して避けマス。
同僚との親睦を深めるため、という認識で構いませんヨ。
男性社員:
う、うーん。どうにかなれ(´・ω・)
~~ 神社境内 ~~
MtF:
神社の道は、真ん中を歩いちゃダメよ。
正中っていって、神様が通る場所とされているの。
女性社員:
本当は入り口で手水を使って、手と口を清めるんですけど……
ここ数年で感染症が流行してしまった以降は、廃止されてる所も多いですね。
男性社員:
なるほど。
イタリア:
いや、お前も知らなかったのかい。
ムスリム:
道の真ん中を避けるくらいナラ、問題アリマセーン。
MtF:
本殿では、二礼二拍手一礼が基本ね。感謝と敬意を表す作法よ。
ムスリムさんは、少し離れた所で待ってて頂戴。
イタリア:
エキゾチックだね。でもどこか美しい。
男性社員:
これ、毎年聞くのにすぐ忘れるんだよな。
女性社員:
まあ、型が崩れても大丈夫です。
大切なのは、敬意ですから。
ムスリム:
……
(とても緩い信仰ダ。しかし信心が無いわけではナイ。興味深いデース)
・新年
あけましておめでとうございます。零細ショートショートではございますが、今年も宜しくお願い致します。
さて、日本では「おせち/お雑煮/初詣」がテンプレになりがちな元旦だが、国が違えば新年の重みも扱いも当然変わる。
たとえばイタリアでは、年越しは「サン・シルヴェストロ(12/31)の夜」として友人や家族で食事をし、カウントダウンや花火で賑やかに迎えるのが定番だ。 そして縁起担ぎとしてレンズ豆(レンティッキエ)を食べる習慣があり、形がコインに似ていることから金運の象徴として語られる。
一方で「最重要の宗教行事」という意味では、やはりクリスマスの方が比重が大きい。新年は信仰というより "世俗の年越しイベント"として受け取られやすい傾向があるようだ。
一方イスラム圏において西暦1月1日は、多くの場合「宗教の新年」ではなく、社会・ビジネス上の暦が切り替わる日に過ぎない。彼らは西暦(グレゴリオ暦)とヒジュラ暦(イスラム暦)を使い分けており、ビジネス以外の面では後者が重視されるためである。
そしてムスリムと一口に言っても、反応は一様ではない。1/1を祝うこと自体を避ける厳格な人もいれば、共存の礼節として挨拶や交流を肯定する立場もある(ドバイなどの観光都市では年越し花火が国際イベントとして定着していたりもする)。同じムスリムでも温度差があるというのが現実だ。
多様性はまさに多種多様、共存とは興味深くも、時に摩擦を伴う物なのだろう。
男性社員:
おつかれさまです。
1/1なんですが、有志だけで初詣とか行きませんか?
イタリア:
お、いいね。
神社のマナーとか、案内してくれるかい?
女性社員:
参加しまーす。
MtF:
アタシも行くわ。
韓国さん:
すみません。国に帰省中ですので、今回は欠席で。
私:
ごめん、年末年始は妻の実家に行くんだ。
男性社員:
じゃあ四人っすね。
集合場所は――
ムスリム:
礼拝はできませんガ、私もご一緒してよろしいデスカ。
全員:
!?
~~ 1月1日・神社前 ~~
女性社員:
あけましておめでとうございまーす……寒っ。
MtF:
あけましておめでとう。
ふふ、振袖いいじゃない。
女性社員:
へへ、祖母に着付けして貰いました。
男性社員:
おお……眼福がすぎる。
あけましておめでとうございます。
イタリア:
ジャパニーズ民族衣装かい?
とても素敵だね。
ムスリム:
كل عام وأنتم بخير(クル・アーム・ワ・アントゥム・ビハイル)
おはようございマス、今年も、皆さんが元気でありますヨウに。
男性社員:
あの……宗教行事的なやつって、大丈夫なんですか?
ムスリム:
その辺りは、こちらで判断して避けマス。
同僚との親睦を深めるため、という認識で構いませんヨ。
男性社員:
う、うーん。どうにかなれ(´・ω・)
~~ 神社境内 ~~
MtF:
神社の道は、真ん中を歩いちゃダメよ。
正中っていって、神様が通る場所とされているの。
女性社員:
本当は入り口で手水を使って、手と口を清めるんですけど……
ここ数年で感染症が流行してしまった以降は、廃止されてる所も多いですね。
男性社員:
なるほど。
イタリア:
いや、お前も知らなかったのかい。
ムスリム:
道の真ん中を避けるくらいナラ、問題アリマセーン。
MtF:
本殿では、二礼二拍手一礼が基本ね。感謝と敬意を表す作法よ。
ムスリムさんは、少し離れた所で待ってて頂戴。
イタリア:
エキゾチックだね。でもどこか美しい。
男性社員:
これ、毎年聞くのにすぐ忘れるんだよな。
女性社員:
まあ、型が崩れても大丈夫です。
大切なのは、敬意ですから。
ムスリム:
……
(とても緩い信仰ダ。しかし信心が無いわけではナイ。興味深いデース)
・新年
あけましておめでとうございます。零細ショートショートではございますが、今年も宜しくお願い致します。
さて、日本では「おせち/お雑煮/初詣」がテンプレになりがちな元旦だが、国が違えば新年の重みも扱いも当然変わる。
たとえばイタリアでは、年越しは「サン・シルヴェストロ(12/31)の夜」として友人や家族で食事をし、カウントダウンや花火で賑やかに迎えるのが定番だ。 そして縁起担ぎとしてレンズ豆(レンティッキエ)を食べる習慣があり、形がコインに似ていることから金運の象徴として語られる。
一方で「最重要の宗教行事」という意味では、やはりクリスマスの方が比重が大きい。新年は信仰というより "世俗の年越しイベント"として受け取られやすい傾向があるようだ。
一方イスラム圏において西暦1月1日は、多くの場合「宗教の新年」ではなく、社会・ビジネス上の暦が切り替わる日に過ぎない。彼らは西暦(グレゴリオ暦)とヒジュラ暦(イスラム暦)を使い分けており、ビジネス以外の面では後者が重視されるためである。
そしてムスリムと一口に言っても、反応は一様ではない。1/1を祝うこと自体を避ける厳格な人もいれば、共存の礼節として挨拶や交流を肯定する立場もある(ドバイなどの観光都市では年越し花火が国際イベントとして定着していたりもする)。同じムスリムでも温度差があるというのが現実だ。
多様性はまさに多種多様、共存とは興味深くも、時に摩擦を伴う物なのだろう。
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