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Lesson.3 学園生活の始まりが、悪役令嬢の始まり
18.とっても素敵な驚き
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エリザとジョンは、さまざまな授業を見学させてくれた。
ヘンリクスとリーリウムは学生たちの学ぶ意欲に圧倒されながら、教師と生徒に聞き取り調査をしていく。
生徒たちは、学校でさまざまなことを学べば学ぶほど、将来に役立つことをよくわかっていた。
さらに、知識を蓄えることに喜びや楽しさを見出している。
そして、授業を受け持つ教師たちは口々に、教師になった後も勉強を続けていると言うのだ。
そうしなければ、すぐに生徒たちに知識も実力もすぐに追い越されてしまうおそれがあるらしい。
生徒たちと教師たちの学ぶことへの熱量に、驚くばかりのヘンリクスたち。
二人は、このような理想の学校を作り上げた学院長の話を聞くのが楽しみになっていった。
魔法の時代からある学院の一階の片隅にある学院長室へ行くと、
歴史を感じる重厚な作りの部屋に、さまざまな魔道具が所せましと置かれていた。
物が多く、小さな応接セットが一つあるだけなので、護衛たちは部屋の外へ待機させ、学院長室にはヘンリクスとリーリウム、そして学院長の三人だけがいる。
「すごいですね……。」
リーリウムがぼそりとつぶやくと、ヘンリクスもうなずいた。
「すでに壊れてしまったものも多いのですが、ちゃんと今も現役のものもあるのですよ。」
にこやかに学院長が魔道具の説明をしてくれる。
実は、彼女の家系は代々この学院の学院長をしているそうで、その歴史は魔法学術院設立まで遡るそうだ。
魔道具も彼女の私物で、代々受け継がれてきたものだった。
「わたくしの姉が魔道具の研究をしているのですが、学院長様の話を姉にしてもよろしいでしょうか?」
フレエシアに話せば喜びそうだと思ったリーリウムは、思わずそんなことを口にしていた。
「もちろん、存じ上げております。
フレエシア様の研究は、わたくしも気になっておりました。
ぜひ、お話ください。
それから、これをフレエシア様にお贈りしたいのです。」
学院長は手のひらに入るサイズの魔法石が三つ入った木箱を、リーリウムに手渡した。
「これは……?」
その魔法石はサイズこそ大きくはないが、リーリウムの知っている魔法石より輝きが強いように感じた。
「魔法使いが魔力を吹き込んだ魔法石です。」
「え……!?」
魔法使いが絶えて100年ほど経っているので、人の魔力が入った魔法石はかなり貴重なものだ。
「どなたの魔力ですか?」
キラキラと輝く魔法石が入った木箱を大事に抱えながら、学院長へ問うリーリウム。
「祖父です。
この国最後の魔法使いでした。
晩年、強い魔法は使用できませんでしたが、手持ちの魔法石すべてに魔力を注ぐことに没頭していました。
国の魔法使いが絶えてしまっては、今後は魔道具を使うのも難しくなるだろうと……。
後世の人々の生活を心配していたのです。」
そう言うと、自分の机の引き出しから、もう一つ魔法石を持ってきた。
その魔法石も、さきほどの魔法石よりはやや弱くではあるが、輝きを放っていた。
「そして、これが私の魔力を注いだ魔法石です。」
ヘンリクスとリーリウムは顔を見合わせた。
「あなたは魔法使いなのか?」
ヘンリクスが恐る恐る尋ねると、学院長は首を横に振った。
「残念ながら、そうではありません。
わたくしは魔法は使えないのです。
祖父の話ですと、人間は誰しも魔力を体内に持っているそうです。
ただ、その量や質、さらに外へ出す能力があるかどうかで魔法使いになれるかどうかが決まるそうで……。
わたくしは魔法使いになるには魔力が少なすぎるのですが、外へ出す修行だけは祖父に教わりました。
それで、魔法石へ魔力を注ぐことだけはできたのです。
魔力が注がれた魔法石があれば、フレエシア様の研究に役立つのではないかと思い、
リーリウム様に託そうと思ったのですよ。」
学院長が魔力を注いだ魔法石を受け取ると、大切にハンカチに包むリーリウム。
「わたくしは魔法について詳しくはありませんが、おそらく姉の研究にあなたは必要な方だと存じます。
姉には、必ず学院長様のお話を伝えます。」
「よろしくお願いいたします。
ただ、わたくしが魔力を注ぐことができるというのは、殿下とリーリウム様、フレエシア様だけのお心にとどめておいてほしいのです。
魔法使いだと勘違いされると、いろいろと危険が伴いますので……。」
リーリウムとヘンリクスは、真剣な顔でうなずく。
その様子を見てにっこりと笑うと、学院長は驚きの発言をした。
「話は変わりますが、実はわたくしとリーリウム様とヘンリクス様は、遠い遠い親戚なのですよ。」
「え?」
「私たちの家系は“ユニカ魔法学術院”設立時から、学院長をしてきていると言ったでしょう?
リーリウム様なら、初代の学院長をご存じなのでは?」
「たしか、ユニカ様の弟君だったかと……。」
と言いながら、リーリウムは思い至った。
ユニカ様の弟は優秀な魔術師だった。
しかし自由が無くなるのを嫌い、宮廷魔術師の長の仕事を辞職し、自ら魔法使いギルドを設立。
さらに、ユニカに依頼され、ギルド長と“ユニカ魔法学術院”の学術院長も兼任したという変わった貴族だった。
「はい。その子孫です。
公爵家はユニカ様の兄の直系、私はユニカ様の弟の直系の子孫です。
そして王家はユニカ様の子孫にあたりますね。
だから、遠い遠い親戚なのです。」
「まあ! とっても素敵な驚きです!」
リーリウムは、温和な笑顔で二人を見つめる学院長に親近感を覚え、新しい親戚が見つかったことが、素直にうれしかった。
ヘンリクスも同様だったようで、二人で見つめ合いながらほほ笑みを交わした。
ヘンリクスとリーリウムは学生たちの学ぶ意欲に圧倒されながら、教師と生徒に聞き取り調査をしていく。
生徒たちは、学校でさまざまなことを学べば学ぶほど、将来に役立つことをよくわかっていた。
さらに、知識を蓄えることに喜びや楽しさを見出している。
そして、授業を受け持つ教師たちは口々に、教師になった後も勉強を続けていると言うのだ。
そうしなければ、すぐに生徒たちに知識も実力もすぐに追い越されてしまうおそれがあるらしい。
生徒たちと教師たちの学ぶことへの熱量に、驚くばかりのヘンリクスたち。
二人は、このような理想の学校を作り上げた学院長の話を聞くのが楽しみになっていった。
魔法の時代からある学院の一階の片隅にある学院長室へ行くと、
歴史を感じる重厚な作りの部屋に、さまざまな魔道具が所せましと置かれていた。
物が多く、小さな応接セットが一つあるだけなので、護衛たちは部屋の外へ待機させ、学院長室にはヘンリクスとリーリウム、そして学院長の三人だけがいる。
「すごいですね……。」
リーリウムがぼそりとつぶやくと、ヘンリクスもうなずいた。
「すでに壊れてしまったものも多いのですが、ちゃんと今も現役のものもあるのですよ。」
にこやかに学院長が魔道具の説明をしてくれる。
実は、彼女の家系は代々この学院の学院長をしているそうで、その歴史は魔法学術院設立まで遡るそうだ。
魔道具も彼女の私物で、代々受け継がれてきたものだった。
「わたくしの姉が魔道具の研究をしているのですが、学院長様の話を姉にしてもよろしいでしょうか?」
フレエシアに話せば喜びそうだと思ったリーリウムは、思わずそんなことを口にしていた。
「もちろん、存じ上げております。
フレエシア様の研究は、わたくしも気になっておりました。
ぜひ、お話ください。
それから、これをフレエシア様にお贈りしたいのです。」
学院長は手のひらに入るサイズの魔法石が三つ入った木箱を、リーリウムに手渡した。
「これは……?」
その魔法石はサイズこそ大きくはないが、リーリウムの知っている魔法石より輝きが強いように感じた。
「魔法使いが魔力を吹き込んだ魔法石です。」
「え……!?」
魔法使いが絶えて100年ほど経っているので、人の魔力が入った魔法石はかなり貴重なものだ。
「どなたの魔力ですか?」
キラキラと輝く魔法石が入った木箱を大事に抱えながら、学院長へ問うリーリウム。
「祖父です。
この国最後の魔法使いでした。
晩年、強い魔法は使用できませんでしたが、手持ちの魔法石すべてに魔力を注ぐことに没頭していました。
国の魔法使いが絶えてしまっては、今後は魔道具を使うのも難しくなるだろうと……。
後世の人々の生活を心配していたのです。」
そう言うと、自分の机の引き出しから、もう一つ魔法石を持ってきた。
その魔法石も、さきほどの魔法石よりはやや弱くではあるが、輝きを放っていた。
「そして、これが私の魔力を注いだ魔法石です。」
ヘンリクスとリーリウムは顔を見合わせた。
「あなたは魔法使いなのか?」
ヘンリクスが恐る恐る尋ねると、学院長は首を横に振った。
「残念ながら、そうではありません。
わたくしは魔法は使えないのです。
祖父の話ですと、人間は誰しも魔力を体内に持っているそうです。
ただ、その量や質、さらに外へ出す能力があるかどうかで魔法使いになれるかどうかが決まるそうで……。
わたくしは魔法使いになるには魔力が少なすぎるのですが、外へ出す修行だけは祖父に教わりました。
それで、魔法石へ魔力を注ぐことだけはできたのです。
魔力が注がれた魔法石があれば、フレエシア様の研究に役立つのではないかと思い、
リーリウム様に託そうと思ったのですよ。」
学院長が魔力を注いだ魔法石を受け取ると、大切にハンカチに包むリーリウム。
「わたくしは魔法について詳しくはありませんが、おそらく姉の研究にあなたは必要な方だと存じます。
姉には、必ず学院長様のお話を伝えます。」
「よろしくお願いいたします。
ただ、わたくしが魔力を注ぐことができるというのは、殿下とリーリウム様、フレエシア様だけのお心にとどめておいてほしいのです。
魔法使いだと勘違いされると、いろいろと危険が伴いますので……。」
リーリウムとヘンリクスは、真剣な顔でうなずく。
その様子を見てにっこりと笑うと、学院長は驚きの発言をした。
「話は変わりますが、実はわたくしとリーリウム様とヘンリクス様は、遠い遠い親戚なのですよ。」
「え?」
「私たちの家系は“ユニカ魔法学術院”設立時から、学院長をしてきていると言ったでしょう?
リーリウム様なら、初代の学院長をご存じなのでは?」
「たしか、ユニカ様の弟君だったかと……。」
と言いながら、リーリウムは思い至った。
ユニカ様の弟は優秀な魔術師だった。
しかし自由が無くなるのを嫌い、宮廷魔術師の長の仕事を辞職し、自ら魔法使いギルドを設立。
さらに、ユニカに依頼され、ギルド長と“ユニカ魔法学術院”の学術院長も兼任したという変わった貴族だった。
「はい。その子孫です。
公爵家はユニカ様の兄の直系、私はユニカ様の弟の直系の子孫です。
そして王家はユニカ様の子孫にあたりますね。
だから、遠い遠い親戚なのです。」
「まあ! とっても素敵な驚きです!」
リーリウムは、温和な笑顔で二人を見つめる学院長に親近感を覚え、新しい親戚が見つかったことが、素直にうれしかった。
ヘンリクスも同様だったようで、二人で見つめ合いながらほほ笑みを交わした。
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