悪役令嬢にならないための指南書

ムササビ

文字の大きさ
48 / 141
Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革

48.長い一日の終わりに1

しおりを挟む
リーリウムが王宮から、フレエシアが学園から帰宅すると、すぐに夕食の時間となった。
学園初日からハードスケジュールをこなしたリーリウムは、くたくたに疲れていたが、就寝前に姉妹会議が行われることになっている。
今日の議題は主に三つ。
ヴィオラがユニカ様の日記を読んで見つけたこと、アイリとマリーの件、そして、アンドレアスの問題だ。
特にアンドレアスについては、リーリウムもフレエシアも考えるだけで気が重い。
思わず二人は同時に、食事中に「はぁー」と大きなため息をついてしまった。
それを「はしたないですわよ」と咎めるヴィオラ。
自然と背筋がピンとしてしまう、そのヴィオラの声を聞いて、さらに気が重くなってしまった。

「リーリウム、今日は大丈夫だったかい?」

リーリウムにまだ元気が戻っていないと感じた公爵が、声をかける。

「はい、お父さま。
ローラ様やサラ様も心配してくださって、力づけてくださいましたので。」

リーリウムは笑顔で父親に答える。

「何かあったら、僕に言うんだよ。」

「はい、お父さま。」

リーリウムは、素直にうなずく。
もっとも公爵に報告すると大ごとになってしまいそうなので、本当にどうしようもない時だけ頼ることになるだろう。

「フレエシアも、かわいい妹のことだからといって無理してはいけないよ。」

リーリウムといっしょにため息をついていたフレエシアにも声をかける。

「はい。肝に銘じます。」

無理はしたくないが、今からヴィオラにアンドレアスのことを告げる役目は妹にはさせられない。
フレエシアは、公爵の言葉に弱々しく返事をするしかなかった。


食後しばらくして、四姉妹がヴィオラの部屋に集まってきた。
もはや定番のようにお茶とお菓子が用意してある。
プリムラは無邪気にマカロンなどを頬張っていたが、リーリウムとフレエシアはやたらと口が渇き、ソファに座ったとたんお菓子には手を付けずにお茶をやたらと飲んでいた。

「あなたたち、どうしたのかしら?」

不信に思ったヴィオラが問うが、二人は目を見合わせる。

「学園で起こったことはあとでお話ししますので、先にお姉様から日記の話をしていただいてもよろしいですか?」

フレエシアはヴィオラにそう話し、やはりお茶をすすった。

「おかしな子ね。
それではリーリウム、お願いできる?」

ヴィオラは該当のページを開くと、音読係のリーリウムに日記帳を手渡した。
リーリウムはページが閉じないようにしっかりと日記帳を持つと、そのページを読み始める。

『ヒロインは、王子たちや上位貴族の子息たちのことを“攻略対象”と呼びます。
本当に好きになった殿方へ近づこうとする子もいれば、“逆ハーエンド”といって、すべての攻略対象者に近づこうとする子もいます。
前者の場合は以前お伝えした王弟をそそのかしたヒロインように成功する場合もありますが、後者の場合は大体失敗して自滅するヒロインが多いように思います。
“逆ハーエンド”を狙うヒロインたちに共通しているのは、私たち、この世界に住んでいる人物を“生身の人間”ではなく“キャラクター”として認識していること。
私たちが考えをもって生きていることや、大切な人を愛するということが分かっていません。
“逆ハーエンド”を達成する前に、男性同士がけんかをしてしまったり、怒りだしてヒロインに別れを告げたりすることが多いのです。

しかし、男性たちがヒロインに惹かれてしまうのは事実で、攻略対象者がヒロインと別れたとしても、もともとの婚約者だった令嬢たちと元の関係に戻れるわけではありません。
やはり、令嬢たちが悲しい思いをすることは避けられないのです。』

日記帳からは、ヒロインから令嬢たちを救えなかったユニカ様の悲痛な叫びが伝わってきた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!

杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。 彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。 さあ、私どうしよう?  とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。 小説家になろう、カクヨムにも投稿中。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...