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Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革
75.ウェスペル家の休日8
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アイリのこと、手紙やローブ姿の魔法使いのことをすべて聞いた学院長は、終始開いた口が塞がらないといった様子だった。
「まさか、彼女が……。
学院にいた頃から少し変わってはいたけれど、努力家で有能だったのですよ。
リーリウム様やヘンリクス殿下に、そのように失礼なことをするなんて……。」
「アイリ嬢は、あの魔法使いにそそのかされたのでしょうか?」
「その可能性もなくはないでしょう。
とにかく、その手紙の鑑定をしてみましょうか?
家に入りましょう。」
学院長に言われ、絵画から出てきたような白く美しい家へ入る。
屋敷の中では、ベテランといった風情のメイドが出迎えてくれた。
「ここはね、元々魔法使いだったおじい様が住んでいたお屋敷なのよ。
建てられたのは、まだ魔法が盛んだったころ。
何代か前の宮廷魔術師長をしていたご先祖様が、隠居後の終の棲家として建てたそうよ。」
屋敷の説明をしながら、学院長は地下へと続く階段へ二人を連れて行く。
「ここが、わたくしの研究室です。」
そこは、研究室と言うには広すぎる部屋だった。
広いテーブルには、様々な魔道具のようなものが置かれ、本棚に入りきらなかった本がそこかしこに詰まれている。
「うわぁ……。魔法使いの部屋みたいだ……。」
フレエシアがそうつぶやくと、学院長は微笑む。
「そうですね。
わたくしが使う前はおじい様が、その前もずっと我が家のご先祖様が使ってきた部屋なので、魔法使いの部屋と言っても間違いではありません。
マギア家では代々、この屋敷の保有は兄弟の中で魔力が強い者と決められています。
父は一人っ子で魔法にも興味がない人でしたから、わたくしが出戻った時に、誰も使わなくなっていたこのお屋敷をくださったのです。」
「私もこのお屋敷……というか、この部屋が欲しいと言ったんだけどね。
父曰く『おじい様がユージェニーの方が魔力を保有していると言っていた。』とかで、認めてもらえなかったんだよね。」
当時のがっかりといた気持ちを表現しているような、何とも言えない情けない顔をするマギア教授。
「あら、そうだったの?
それならテオもこの部屋を使いに来ても良いのよ?
あら、でも家に帰らない理由を増やしてしまうのは、エリーが許さないかしら……。」
エリーはマギア教授の奥方、エリザベス・マギア伯爵夫人のこと。
研究しかしない夫に代わって、領地や邸宅、社交のこと、そのすべてを担う聡明な女性だという噂だ。
教授は恐妻家で、どんなに研究に熱中しても週の半分は自宅に帰っている。
そうしないと、奥方にこっぴどく叱られるそうだ。
「うう、それはそうですね……。
とにかく、手紙の鑑定をしてみましょう、姉上。」
教え子同然のフレエシアの前で妻におびえる姿を見せたくないのか、マギア教授は姉を急かすようにメインのテーブルへ移動させる。
「うふふ、そうね。」
学院長は、棚の中から丸い水晶玉のような物を取り出した。
「これは、どのような魔法が付与されているのかを見る鑑定用の魔道具です。
わたくしは“鑑定玉”と呼んでいるわ。
その手紙には、闇属性の力が込められているのよね?」
「はい。」
学院長は確認を取ると、魔道具の下についているボタンの一つを押し込む。
すると、水晶部分が紫色に変化していった。
「魔法は各属性に無数にあると言われているの。
鑑定をする前に、どの属性の魔法から検索するのかを選んでおくのよ。
ときどき、この鑑定玉に登録されていない魔法があるのだけど、その場合は他の鑑定方法を試してみましょう。」
魔法の鑑定をするための“鑑定玉”については、フレエシアも聞いたことがあったが、実物を見るのは初めてだった。
何もないところから魔法の名前を当てるのではなく、先人が登録した魔法だけが鑑定可能な道具で、通常の魔道具とは違い、使用者が魔力を送り出さないと使えない。
その送り込まれた魔力量によって、その精度が増すというのだ。
「それでは、初めましょうか。」
フレエシアは、マリーの作った薬膳チョコレートを学院長へ渡す。
学院長は「あら、おいしい」と言いながら、モグモグとチョコレートを食べた。
「あらあら、すごいわ! 魔力量が増加するのを感じる!」
学院長は手紙を左手に持ち、右手を鑑定玉に乗せた。
すると、鑑定玉の中央に何か文字が浮かび上がってきた。
「良かった。登録済みの魔法のようよ。
テオ、メモをして。」
マギア教授は鑑定玉に表示されている文字を紙に書き留める。
普段使っている文字とは違う、魔法使いのためのルーン文字だ。
マギア教授は、そばにあったルーン文字の辞書で解読をし始める。
「あら、また違う文字が浮かび上がってきたわ。」
今度はフレエシアが、その文字を紙に丁寧に書き写す。
結局、手紙から検出された魔法は全部で三種類もあったのだった。
「まさか、彼女が……。
学院にいた頃から少し変わってはいたけれど、努力家で有能だったのですよ。
リーリウム様やヘンリクス殿下に、そのように失礼なことをするなんて……。」
「アイリ嬢は、あの魔法使いにそそのかされたのでしょうか?」
「その可能性もなくはないでしょう。
とにかく、その手紙の鑑定をしてみましょうか?
家に入りましょう。」
学院長に言われ、絵画から出てきたような白く美しい家へ入る。
屋敷の中では、ベテランといった風情のメイドが出迎えてくれた。
「ここはね、元々魔法使いだったおじい様が住んでいたお屋敷なのよ。
建てられたのは、まだ魔法が盛んだったころ。
何代か前の宮廷魔術師長をしていたご先祖様が、隠居後の終の棲家として建てたそうよ。」
屋敷の説明をしながら、学院長は地下へと続く階段へ二人を連れて行く。
「ここが、わたくしの研究室です。」
そこは、研究室と言うには広すぎる部屋だった。
広いテーブルには、様々な魔道具のようなものが置かれ、本棚に入りきらなかった本がそこかしこに詰まれている。
「うわぁ……。魔法使いの部屋みたいだ……。」
フレエシアがそうつぶやくと、学院長は微笑む。
「そうですね。
わたくしが使う前はおじい様が、その前もずっと我が家のご先祖様が使ってきた部屋なので、魔法使いの部屋と言っても間違いではありません。
マギア家では代々、この屋敷の保有は兄弟の中で魔力が強い者と決められています。
父は一人っ子で魔法にも興味がない人でしたから、わたくしが出戻った時に、誰も使わなくなっていたこのお屋敷をくださったのです。」
「私もこのお屋敷……というか、この部屋が欲しいと言ったんだけどね。
父曰く『おじい様がユージェニーの方が魔力を保有していると言っていた。』とかで、認めてもらえなかったんだよね。」
当時のがっかりといた気持ちを表現しているような、何とも言えない情けない顔をするマギア教授。
「あら、そうだったの?
それならテオもこの部屋を使いに来ても良いのよ?
あら、でも家に帰らない理由を増やしてしまうのは、エリーが許さないかしら……。」
エリーはマギア教授の奥方、エリザベス・マギア伯爵夫人のこと。
研究しかしない夫に代わって、領地や邸宅、社交のこと、そのすべてを担う聡明な女性だという噂だ。
教授は恐妻家で、どんなに研究に熱中しても週の半分は自宅に帰っている。
そうしないと、奥方にこっぴどく叱られるそうだ。
「うう、それはそうですね……。
とにかく、手紙の鑑定をしてみましょう、姉上。」
教え子同然のフレエシアの前で妻におびえる姿を見せたくないのか、マギア教授は姉を急かすようにメインのテーブルへ移動させる。
「うふふ、そうね。」
学院長は、棚の中から丸い水晶玉のような物を取り出した。
「これは、どのような魔法が付与されているのかを見る鑑定用の魔道具です。
わたくしは“鑑定玉”と呼んでいるわ。
その手紙には、闇属性の力が込められているのよね?」
「はい。」
学院長は確認を取ると、魔道具の下についているボタンの一つを押し込む。
すると、水晶部分が紫色に変化していった。
「魔法は各属性に無数にあると言われているの。
鑑定をする前に、どの属性の魔法から検索するのかを選んでおくのよ。
ときどき、この鑑定玉に登録されていない魔法があるのだけど、その場合は他の鑑定方法を試してみましょう。」
魔法の鑑定をするための“鑑定玉”については、フレエシアも聞いたことがあったが、実物を見るのは初めてだった。
何もないところから魔法の名前を当てるのではなく、先人が登録した魔法だけが鑑定可能な道具で、通常の魔道具とは違い、使用者が魔力を送り出さないと使えない。
その送り込まれた魔力量によって、その精度が増すというのだ。
「それでは、初めましょうか。」
フレエシアは、マリーの作った薬膳チョコレートを学院長へ渡す。
学院長は「あら、おいしい」と言いながら、モグモグとチョコレートを食べた。
「あらあら、すごいわ! 魔力量が増加するのを感じる!」
学院長は手紙を左手に持ち、右手を鑑定玉に乗せた。
すると、鑑定玉の中央に何か文字が浮かび上がってきた。
「良かった。登録済みの魔法のようよ。
テオ、メモをして。」
マギア教授は鑑定玉に表示されている文字を紙に書き留める。
普段使っている文字とは違う、魔法使いのためのルーン文字だ。
マギア教授は、そばにあったルーン文字の辞書で解読をし始める。
「あら、また違う文字が浮かび上がってきたわ。」
今度はフレエシアが、その文字を紙に丁寧に書き写す。
結局、手紙から検出された魔法は全部で三種類もあったのだった。
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