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Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革
76.ウェスペル家の休日9
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フレエシアは、マギア教授と学院長を伴って公爵家へと戻った。
アイリの手紙から見つかった闇属性の魔法の残滓、さらに怪しげな魔法使いの存在について、この国の宰相であるウェスペル公爵へ報告した方が良いと判断したからだった。
魔法がまだ使えた時代でも、火や水、風や土などの属性とは違い、闇や光の属性を持つ魔法使いは、二人以上同時に存在することがないと言われるほど、特別な存在だったからだ。
「閣下、突然訪問をしてしまい、申し訳ありません。」
マギア教授と学院長は、応接間で公爵と面会すると、まずは非礼を詫びる。
「お父様、アイリ嬢の背後には闇属性の魔法使いがいるのかもしれません。」
フレエシアは、マギア教授と学院長の手を借りて分かったことを、すべて公爵に報告した。
「闇属性の魔法使いとなると、放ってはおけませんね。
その魔法使いの目的が何であれ、アイリ嬢に力を貸しているのであればなおさらです。
すぐに陛下に報告しなくては。
お二人にはその魔法使いがなぜこの国で魔法を使えるのかを突き止めてほしいのですが、可能でしょうか?」
「わたくしの師匠である、貴族学園の前学園長が『魔法が使えなくなった原因』についてずっと研究されていたので、何かご存知かもしれません。」
マギア教授がそう言うと、公爵は静かにうなずく。
「閣下、そのことについて、一つ推論があるのですが……」
学院長が話始めると、勢いよくドアを開けて公爵夫人とヴィオラが部屋に飛び込んできた。
「二人ともそんなに慌ててどうした?」
公爵が二人を落ち着かせようとする。
「今、王宮から使いが来て、リーリウムが突然苦しみだして倒れたそうなの。」
「なんだって!? それで容態は?」
「まだ意識が戻っていなくて、侍医に診てもらったそうなのだけど、原因がわからないの……。」
「倒れる前に何か食べたとか、毒物の可能性はないのか?」
「それが、実は、倒れる直前にマリー嬢のチョコレートを食べたそうなの。
一緒に食べていたヘンリクス殿下は何事もなかったのだけど、リーリウムだけが倒れたって!」
公爵夫人は、珍しく取り乱していた。
ヴィオラが公爵夫人を後ろから支えながら、話し出す。
「マリー嬢のチョコレートなら、わたくしも食べましたが何もありませんでした。
むしろ、体調や気分が良くなったくらい。
彼女がリーリウムのチョコレートに毒物を仕込むのも考えづらいですし、マリー嬢のチョコレートが原因だとは思えませんが……。」
「私も食べましたし、マギア先生も学院長先生も食べたけど、特に何もなかった。
リーリウムに何が起こったんだろう……。」
二人の姉は冷静になろうとするも、リーリウムが倒れたことに動転してしまって、考えがまとまらない。
「しかし、可能性は捨てきれん。
ヴィオラは、マリー嬢をこの家に留め置いて監視すること。
ただし、このことをマリー嬢とプリムラには気づかれないように。
私は王宮へ行ってくる。
フレエシアも来なさい。
陛下に先ほどの話を報告しなくてはいけない。」
公爵がてきぱきと指示を出し始める。
「わたくしも共に参ります。」
公爵夫人は居ても立っても居られず、名乗りを上げる。
「もちろんかまわないよ。でも、無理はしないで。」
公爵は、夫人の体調を心配する。
ヴィオラの問題で領地からやってきてから、ほとんど体を休めていないのだ。
「大丈夫よ。
このまま家で情報を待っているだけの方が、わたくしには耐えられないもの。」
「恐れながら、閣下、わたくしも同行してもよろしいでしょうか?」
ずっと何かを考えこんでいた学院長が、口を開く。
「もしかすると、魔法が使えなくなった原因と、リーリウム様がお倒れになった原因に因果関係があるかもしれません。」
「どういうことですか?」
「まだ、推論の域を脱してはいないのですが、リーリウム様は魔力酔いを起こしている可能性があります。
実際に見てみないことには分からないのですが……。」
フレエシアの問いかけに、学院長は申し訳なさそうに答える。
「それは治せるのですか?」
リーリウムの体に何が起こっているのか、王宮の侍医ですら原因を見つけられなかったのだ。
公爵夫人は、藁にも縋る思いで学院長へ尋ねる。
「もし、魔力酔いであれば、わたくしの家に治療できる魔道具があります。
それを弟に取って来させますので、わたくしにリーリウム様の診断をさせていただけないでしょうか?」
「わかりました。同行を許可いたします。」
「ありがとうございます、閣下。」
学院長は手持ちのメモ帳に必要なものをすべて書き出し、弟であるマギア教授に手渡す。
「それでは閣下、わたくしは姉の家へ向かいます。」
「わかりました。
王宮の方へは話を通しておきますので、なるべく早くお願いします。」
マギア教授は公爵に向かって会釈をすると、部屋を出ていった。
「では、私たちも向かおう。
ヴィオラ、留守を頼んだぞ。」
「はい、お父様。リーリウムをよろしくお願いいたします。」
アイリの手紙から見つかった闇属性の魔法の残滓、さらに怪しげな魔法使いの存在について、この国の宰相であるウェスペル公爵へ報告した方が良いと判断したからだった。
魔法がまだ使えた時代でも、火や水、風や土などの属性とは違い、闇や光の属性を持つ魔法使いは、二人以上同時に存在することがないと言われるほど、特別な存在だったからだ。
「閣下、突然訪問をしてしまい、申し訳ありません。」
マギア教授と学院長は、応接間で公爵と面会すると、まずは非礼を詫びる。
「お父様、アイリ嬢の背後には闇属性の魔法使いがいるのかもしれません。」
フレエシアは、マギア教授と学院長の手を借りて分かったことを、すべて公爵に報告した。
「闇属性の魔法使いとなると、放ってはおけませんね。
その魔法使いの目的が何であれ、アイリ嬢に力を貸しているのであればなおさらです。
すぐに陛下に報告しなくては。
お二人にはその魔法使いがなぜこの国で魔法を使えるのかを突き止めてほしいのですが、可能でしょうか?」
「わたくしの師匠である、貴族学園の前学園長が『魔法が使えなくなった原因』についてずっと研究されていたので、何かご存知かもしれません。」
マギア教授がそう言うと、公爵は静かにうなずく。
「閣下、そのことについて、一つ推論があるのですが……」
学院長が話始めると、勢いよくドアを開けて公爵夫人とヴィオラが部屋に飛び込んできた。
「二人ともそんなに慌ててどうした?」
公爵が二人を落ち着かせようとする。
「今、王宮から使いが来て、リーリウムが突然苦しみだして倒れたそうなの。」
「なんだって!? それで容態は?」
「まだ意識が戻っていなくて、侍医に診てもらったそうなのだけど、原因がわからないの……。」
「倒れる前に何か食べたとか、毒物の可能性はないのか?」
「それが、実は、倒れる直前にマリー嬢のチョコレートを食べたそうなの。
一緒に食べていたヘンリクス殿下は何事もなかったのだけど、リーリウムだけが倒れたって!」
公爵夫人は、珍しく取り乱していた。
ヴィオラが公爵夫人を後ろから支えながら、話し出す。
「マリー嬢のチョコレートなら、わたくしも食べましたが何もありませんでした。
むしろ、体調や気分が良くなったくらい。
彼女がリーリウムのチョコレートに毒物を仕込むのも考えづらいですし、マリー嬢のチョコレートが原因だとは思えませんが……。」
「私も食べましたし、マギア先生も学院長先生も食べたけど、特に何もなかった。
リーリウムに何が起こったんだろう……。」
二人の姉は冷静になろうとするも、リーリウムが倒れたことに動転してしまって、考えがまとまらない。
「しかし、可能性は捨てきれん。
ヴィオラは、マリー嬢をこの家に留め置いて監視すること。
ただし、このことをマリー嬢とプリムラには気づかれないように。
私は王宮へ行ってくる。
フレエシアも来なさい。
陛下に先ほどの話を報告しなくてはいけない。」
公爵がてきぱきと指示を出し始める。
「わたくしも共に参ります。」
公爵夫人は居ても立っても居られず、名乗りを上げる。
「もちろんかまわないよ。でも、無理はしないで。」
公爵は、夫人の体調を心配する。
ヴィオラの問題で領地からやってきてから、ほとんど体を休めていないのだ。
「大丈夫よ。
このまま家で情報を待っているだけの方が、わたくしには耐えられないもの。」
「恐れながら、閣下、わたくしも同行してもよろしいでしょうか?」
ずっと何かを考えこんでいた学院長が、口を開く。
「もしかすると、魔法が使えなくなった原因と、リーリウム様がお倒れになった原因に因果関係があるかもしれません。」
「どういうことですか?」
「まだ、推論の域を脱してはいないのですが、リーリウム様は魔力酔いを起こしている可能性があります。
実際に見てみないことには分からないのですが……。」
フレエシアの問いかけに、学院長は申し訳なさそうに答える。
「それは治せるのですか?」
リーリウムの体に何が起こっているのか、王宮の侍医ですら原因を見つけられなかったのだ。
公爵夫人は、藁にも縋る思いで学院長へ尋ねる。
「もし、魔力酔いであれば、わたくしの家に治療できる魔道具があります。
それを弟に取って来させますので、わたくしにリーリウム様の診断をさせていただけないでしょうか?」
「わかりました。同行を許可いたします。」
「ありがとうございます、閣下。」
学院長は手持ちのメモ帳に必要なものをすべて書き出し、弟であるマギア教授に手渡す。
「それでは閣下、わたくしは姉の家へ向かいます。」
「わかりました。
王宮の方へは話を通しておきますので、なるべく早くお願いします。」
マギア教授は公爵に向かって会釈をすると、部屋を出ていった。
「では、私たちも向かおう。
ヴィオラ、留守を頼んだぞ。」
「はい、お父様。リーリウムをよろしくお願いいたします。」
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