悪役令嬢にならないための指南書

ムササビ

文字の大きさ
122 / 141
Lesson.5 物語の終わり

122.悲嘆

しおりを挟む
リナは、ユニカたちが生きた時代からすでに約五百年経っていること、アレクサンデル王はもう亡くなっていること、そしてマリアが行方不明になっていることなど、ユニカにとっては到底信じられないであろう話を丁寧に伝えていった。
ユニカは嗚咽を洩らしながらも時折頷き、その内容をしっかりと聞き取っているようだった。

「ユニカ……。」

一通り話し終わったリナは、泣き続けるユニカの背中をずっとさすり続けながら、ただ側に寄り添っていた。
どのような言葉をかけても、ユニカの気持ちが晴れないことを分かっていたからだ。
その様子を見ていた四姉妹も、思わずポロポロと大粒の涙を流し始めた。
自分たちの憧れだったユニカも、こうして一緒にいると、普通の女性なのだ。
愛する人をいつの間にか失ってしまった悲しみと、時間を超えて自分だけが残ってしまった寂しさに、細い肩を震わせて泣いている。
何故、このような残酷な状況になってしまったのか。
その場にいた全員が、原因を作った人物に怒りを覚えていた。
全員が悲しみにくれるユニカを見守り、しばらく時間が経った。
すると、まだ涙が止まらないユニカが落ち着きを取り戻すように話し始めた。

「ごめんなさいね、取り乱して……。
まだ混乱していて、分からないこともいっぱいあるのだけど……。
リナ、体内に魔力があるのに、魔法が使えなくなってしまったのはどうしてなのかしら?」

ユニカは元々、優秀な魔法使いだった。
魔力量も桁外れだったと記録に残っている。
魔法を使うことが出来ない現在も、上手に魔力を体外に放出させているようだった。
しかし、それにも限界がある。
いつ体内の魔力が暴走するかわからないのだ。

「それは……」

リナは自らの魔力で国内での魔法使用を禁じている事を説明し、謝罪した。
ユニカが教育制度を整え、魔法学校まで創設したにもかかわらず、それをふいにしてしまったのだ。

「そうだったのね。
状況を考えれば仕方がないことだったのかもしれないけれど、いつまでもこの状態というわけにもいかないわね。
国が衰退してしまうわ。」

「わかってる。
人々から魔力が吸い取られる現象が収まれば、私が闇の魔力で結界を張る必要もなくなる。
たぶん、集められた魔力はここに来ていたと思うんだけど、何か覚えていない?」

ユニカは一瞬考えて、ふと庭園の奥を見た。

「私はその時眠っていたから、詳しいことは分からないわ。
ごめんなさい。
だけどリナ、一つだけ情報が間違っているわ。
マリアは行方不明になってはいない。
ほら、すぐそこにいるでしょう?
だってあの子の光の魔力を感じるわ。
それに、その他の属性の魔力も感じる。
集められた魔力もそこにあるのではないかしら?」

ユニカは自分の視線の先、庭園の奥の壁を指さした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!

杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。 彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。 さあ、私どうしよう?  とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。 小説家になろう、カクヨムにも投稿中。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...