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5章

23話《疑惑》

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 仕事場は入口も奥の部屋のドアも鍵が開いたままで、誰もいなかった。
 
 「雅斗さん……どこいったんだろ……」

 どこを探しても彼の姿はない。
 やはり、それほど傷つけてしまったのだろうか。
 
 「帰ってきてくれるのかな……」 
 
 奥の部屋に入りベッドに座って足をパタパタさせ、彼の帰りを待つ。
 だが、一向に彼の来る気配はない。
 
「ごめんなさい雅斗さん……お願いだから帰ってきて……」 

 なんて、小さな声で呟いてみた。
 それから数分たった頃だ、入口のドアが開く音がした。
 俺は立ち上がって、ドアの方まで歩いて行った。  
 開けるとそこまで、雅斗さんが来ていた。

 「雅斗さん……」

 「あ、愁里君。帰ってきてたんだ」

 「はい……きちんと謝っときたくて……」

 「そう?大丈夫だよ。こっちも言いすぎたし」

 「え、本当ですか……?」

 「うん。もうほとんど気にしてないよ」

 彼は笑顔で言った。
 それを信じたくないわけではないのだが俺はその笑顔に裏があるように思えた。
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