処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ

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紅に消ゆ

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断罪の雷が地に残した焦げ痕の上で、レオンは沈黙していた。
その足元には、命を絶たれたオーギュストの亡骸。
冷たい風が吹き抜け、戦場に僅かな静寂をもたらす。

その背後から、ゆらりと炎のような揺らぎが現れた。

「……坊や、もういいでしょう?」

飄々とした声。
和装の裾を揺らしながら、九尾の妖狐――シズカが姿を現す。

レオンは何も言わず、ただ静かに頷いた。
そして、シズカが開いた炎の門《狐火の扉》へと歩き出す。

その時。

「待ってください!」

少年の叫びが戦場に響いた。

「レオンさんっ……!」

振り返ることなく歩を進める背中に、シリル・アーデンが叫ぶ。

「あなたは……英雄だったじゃないですか! 
本当に、復讐しか道はないんですか……?」

続いて、もう一つの声が重なる。

「レオン……!」

矢のように鋭く、けれどどこか震える声――ソフィア・アルバート。

「あなたは……あたしたちを守ってくれた。
その手で……人を、救ったのに。
……どうして、そんなに……悲しい目をするの……?」

レオンの足が一瞬だけ止まる。

風が吹き、血に濡れたマントが揺れた。
だが、彼は振り返らない。

「……俺は、もう英雄じゃない」

静かな声が、風に乗って響く。

「ただの亡霊だ。“正義”を踏みにじられた亡霊が、
“断罪”という名の墓標を建て歩いてるだけだ」

「だったら……!」

シリルが一歩踏み出す。

「だったら、またやり直しましょうよ――!」

レオンは何も返さず、扉の中へと消えた。

シズカだけが、にやりと艶やかに笑って、
「またね、可愛い騎士くん」と言い残し、彼に続いた。

紅蓮の炎の門が閉じる。
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