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35、バルメルク公爵家②
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「玄関先でどうしたんだ?」
自分の好奇心をなんとか抑えていると、後ろから少し怪訝そうな声がした。
近くにいた使用人達がその声に反応して一斉に頭を下げる。
「お父様っっ」
「「旦那様っっ」」
そこには、眉をひそめて不思議そうにこちらを見つめるバルメルク公爵の姿があった。
細身で薄い茶色い髪に赤目。
年齢の割に絶対若く見られるよねって感じの美丈夫。
同盟式典の際に、公爵とは軽く挨拶を交わしているけど纏う空気がやっぱり他の人とは違う。どう違うか説明をしろと言われたら難しいけど…なんとなく独特雰囲気をバルメルク公爵は持っている。
ここだけの話、実はちょっぴりタイプだったりする。
「予定よりお早いお帰りでしたね」
「ああ。皇女様とアエリアが来るからな。陛下が融通を利かせてくださった。そんなことよりもお客様をこんな所で立たせて…早く中へ入ってもらいなさい」
バルメルク公爵の言葉で私はすぐさま応接室へ案内された。
私はお義姉様に案内されるままソファーに座ると、隣にお義姉様が座る。
そして、バルメルク公爵、公爵夫人、お義姉様の義母ユリマーリアと義妹マリテレスがそれぞれテーブルを囲んだソファーに腰掛けた。
全員が座った事を確認してメイド達が慣れた手つきでお茶の用意をしていく。
「皇女様。ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。同盟式典では簡単にご挨拶しかできませんでしたので改めまして私バルメルク公爵・フェルトンです。この度はようこそドイル国バルメルク家へ」
「ご丁寧にありがとうございます。わたくしも改めましてご挨拶をさせて頂きます。グランドールメイル帝国第一皇女・ティナ・グランドール・グランドルドです。非公式で急なお願いでしたが、手厚い歓迎に感謝しかありません。数日間よろしくお願いします。」
私の言葉にバルメルク公爵は深々と頭を下げると視線を私からお義姉様に移す。
「アエリア…お前も元気そうで安心した。帝国ではうまくやっていけているか?」
「はい。皆様によくして頂き、毎日楽しく過ごさせていただいています」
「そうか…それはよかった。」
バルメルク公爵はお義姉様に向けて安堵の笑みを向ける。
公爵夫人同等、公爵とお義姉様の間にも溝を感じる。
けど、微笑み合う二人を見ていると互いにその溝を無くそうとしている感じがする。
メイル兄様が私にお節介を焼かない様に釘を刺した意味がわかる気がする。
複雑だからこそ第三者が興味本位で軽く口に出してはダメよね。
個人にも家にも…特に貴族であれば色々な事情はある物だわ。
私の好奇心バロメーターは振り切れたままだけどここはグッと耐えて…「そういえばフェルトン。先程、ユリマーリアとマリテレスを見て皇女様が混乱してしまって。フフッ。ドイル国では我が家の事は皆が周知の事だから久々の反応に私も戸惑ってしまったわ」
「っっ……」
ちょっ…公爵夫人っっ
せっかく私が耐えたのに話題を戻さないでっっ
「戸惑ったのではなく面白がっているだろう…全くお前は…」
「お母様…」
「エリアーナ…皇女様に失礼だわ」
「お義母様。完全に楽しんでますわよね?」
バルメルク公爵夫人の言葉に狼狽えてしまう私に反して、部屋にいる皆がそれぞれ呆れ顔をする。
「あら。また私やってしまったかしら?場を和ませようかと思ったのだけど。」
頬に手を当ててあっけらかんとするバルメルク公爵夫人。
そんなバルメルク公爵夫人を見て公爵は仕方なしに軽く息を吐いてから私の方を向いて軽く頭を下げる。
「すみません。皇女様。色々驚かれたかと思いますが我が家は色々複雑な状況にありまして…何と説明をしたらいいか…ただ、外から見たら複雑な状況かもしれませんが、私達にとってはこの状況の全てに意味があり、これが我が家の形なので深く考えずご理解いただければ幸です」
バルメルク公爵は困り顔をしながら私に話すと、公爵夫人とユリマーリア、お義姉様とマリテレスをゆっくりと見渡して微笑む。
その笑みは慈愛に満ちていて、公爵が家族をどう思っているかを物語っている。
そんな公爵に向けて公爵夫人やお義姉様達も頷き笑みを向ける。
第三者が入り込むものではない。
バルメルク家のみんなの態度を見て改めて感じる。
お義姉様から色々お話を聞いて、お義姉様はこの家に生まれた事で今まで色々あったのかもしれないけど、このバルメルク家は1人1人が色々な事をそれぞれが乗り終えて今があるのだろうと思う。
その苦労や努力を興味本位で知ろうなんて許されるものではない。
そう思うと、私の好奇心バロメーターも徐々に下がっていく。
「わかりました。素敵な家族の形ですね」
私がそう言うと、その場にいる皆が目を見開いてから安堵の笑みを浮かべる。
「素敵な家族の形だなんて…そんな事今まで言われた事なかったわ。嬉しいです。ありがとうございます。皇女様」
公爵夫人はそう言いながら私近づくと、目をキラキラとさせて手を握る。
「エリアーナっっ」
「お母様っっ」
そんな公爵夫人をバルメルク公爵とお義姉様が止める。
ユリマーリアは困り顔をして、マリテレスは呆れている。
そんな光景を見て私は思わず吹き出してしまう。
ひと回り回って私、バルメルク公爵夫人好きだわ。
自分の好奇心をなんとか抑えていると、後ろから少し怪訝そうな声がした。
近くにいた使用人達がその声に反応して一斉に頭を下げる。
「お父様っっ」
「「旦那様っっ」」
そこには、眉をひそめて不思議そうにこちらを見つめるバルメルク公爵の姿があった。
細身で薄い茶色い髪に赤目。
年齢の割に絶対若く見られるよねって感じの美丈夫。
同盟式典の際に、公爵とは軽く挨拶を交わしているけど纏う空気がやっぱり他の人とは違う。どう違うか説明をしろと言われたら難しいけど…なんとなく独特雰囲気をバルメルク公爵は持っている。
ここだけの話、実はちょっぴりタイプだったりする。
「予定よりお早いお帰りでしたね」
「ああ。皇女様とアエリアが来るからな。陛下が融通を利かせてくださった。そんなことよりもお客様をこんな所で立たせて…早く中へ入ってもらいなさい」
バルメルク公爵の言葉で私はすぐさま応接室へ案内された。
私はお義姉様に案内されるままソファーに座ると、隣にお義姉様が座る。
そして、バルメルク公爵、公爵夫人、お義姉様の義母ユリマーリアと義妹マリテレスがそれぞれテーブルを囲んだソファーに腰掛けた。
全員が座った事を確認してメイド達が慣れた手つきでお茶の用意をしていく。
「皇女様。ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。同盟式典では簡単にご挨拶しかできませんでしたので改めまして私バルメルク公爵・フェルトンです。この度はようこそドイル国バルメルク家へ」
「ご丁寧にありがとうございます。わたくしも改めましてご挨拶をさせて頂きます。グランドールメイル帝国第一皇女・ティナ・グランドール・グランドルドです。非公式で急なお願いでしたが、手厚い歓迎に感謝しかありません。数日間よろしくお願いします。」
私の言葉にバルメルク公爵は深々と頭を下げると視線を私からお義姉様に移す。
「アエリア…お前も元気そうで安心した。帝国ではうまくやっていけているか?」
「はい。皆様によくして頂き、毎日楽しく過ごさせていただいています」
「そうか…それはよかった。」
バルメルク公爵はお義姉様に向けて安堵の笑みを向ける。
公爵夫人同等、公爵とお義姉様の間にも溝を感じる。
けど、微笑み合う二人を見ていると互いにその溝を無くそうとしている感じがする。
メイル兄様が私にお節介を焼かない様に釘を刺した意味がわかる気がする。
複雑だからこそ第三者が興味本位で軽く口に出してはダメよね。
個人にも家にも…特に貴族であれば色々な事情はある物だわ。
私の好奇心バロメーターは振り切れたままだけどここはグッと耐えて…「そういえばフェルトン。先程、ユリマーリアとマリテレスを見て皇女様が混乱してしまって。フフッ。ドイル国では我が家の事は皆が周知の事だから久々の反応に私も戸惑ってしまったわ」
「っっ……」
ちょっ…公爵夫人っっ
せっかく私が耐えたのに話題を戻さないでっっ
「戸惑ったのではなく面白がっているだろう…全くお前は…」
「お母様…」
「エリアーナ…皇女様に失礼だわ」
「お義母様。完全に楽しんでますわよね?」
バルメルク公爵夫人の言葉に狼狽えてしまう私に反して、部屋にいる皆がそれぞれ呆れ顔をする。
「あら。また私やってしまったかしら?場を和ませようかと思ったのだけど。」
頬に手を当ててあっけらかんとするバルメルク公爵夫人。
そんなバルメルク公爵夫人を見て公爵は仕方なしに軽く息を吐いてから私の方を向いて軽く頭を下げる。
「すみません。皇女様。色々驚かれたかと思いますが我が家は色々複雑な状況にありまして…何と説明をしたらいいか…ただ、外から見たら複雑な状況かもしれませんが、私達にとってはこの状況の全てに意味があり、これが我が家の形なので深く考えずご理解いただければ幸です」
バルメルク公爵は困り顔をしながら私に話すと、公爵夫人とユリマーリア、お義姉様とマリテレスをゆっくりと見渡して微笑む。
その笑みは慈愛に満ちていて、公爵が家族をどう思っているかを物語っている。
そんな公爵に向けて公爵夫人やお義姉様達も頷き笑みを向ける。
第三者が入り込むものではない。
バルメルク家のみんなの態度を見て改めて感じる。
お義姉様から色々お話を聞いて、お義姉様はこの家に生まれた事で今まで色々あったのかもしれないけど、このバルメルク家は1人1人が色々な事をそれぞれが乗り終えて今があるのだろうと思う。
その苦労や努力を興味本位で知ろうなんて許されるものではない。
そう思うと、私の好奇心バロメーターも徐々に下がっていく。
「わかりました。素敵な家族の形ですね」
私がそう言うと、その場にいる皆が目を見開いてから安堵の笑みを浮かべる。
「素敵な家族の形だなんて…そんな事今まで言われた事なかったわ。嬉しいです。ありがとうございます。皇女様」
公爵夫人はそう言いながら私近づくと、目をキラキラとさせて手を握る。
「エリアーナっっ」
「お母様っっ」
そんな公爵夫人をバルメルク公爵とお義姉様が止める。
ユリマーリアは困り顔をして、マリテレスは呆れている。
そんな光景を見て私は思わず吹き出してしまう。
ひと回り回って私、バルメルク公爵夫人好きだわ。
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