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34、バルメルク公爵家①

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「皇女様。私の事はどうぞエリアーナとお呼びください。今回の訪問を機にに皇女様にはドイル国の良い所を沢山知っていただけたらと思います。行きたい所、やりたい事。食べたい物…なんでもおっしゃってくださいね。至らぬ部分もあるかと思いますが、何かございましたら手を尽くしますから何なりとお申し出ください。」

グイグイ来ますね…

「いえっ…そんな。今回は非公式な訪問ですし、お気遣いなく…」

「あぁ。それと…「お母様…ティナ様が混乱してしまいますのでその位に…」

お義姉様はまだまだ話が続きそうな公爵夫人を呆れ気味に制止させると、公爵夫人はお義姉様に向けてフッと優しい笑みを向ける。

「そうね。ごめんなさい。あまりの嬉しさに興奮しちゃって…フフ」


…バルメルク公爵夫人、強烈だわ。
自分で言うのも何ですが、好奇心の塊のこの私が圧倒されてしまうなんて…

バルメルク公爵夫人の強烈さで思いがけず動揺をしてしまったけど、お義姉様の静止に少し落ち着きを取り戻して、チラリとサリーとトゥイの方を確認すると、サリーは案の定、呆気に取られて固まっていた。


サリーも私との生活のなかで、突進型の人間にはある程度の抗体はあるはずですが…流石に今まで周りにいなかったタイプですからね。

トゥイは強烈なバルメルク公爵夫人を知っていたのか私の反応をみて笑いを堪えている。


知っていたなら教えておいてよっっ。
お義姉様からは想像できない母親人物にビックリしたわ。

バルメルク公爵夫人とお義姉様は見た目はそこそこ似ているけど、性格は全く真逆というか…

お義姉様は必要最低限の事を考えて、的を得てから口にして余計な事は話さない。反して公爵夫人は本人も言っていたけど、とにかく思い付いた事を直ぐに考えなしに口に出してしまう感じ。

足して2で割ればちょうどいいってまさにこんな感じかしら。



私に対して申し訳なさそうにしているお義姉様を優しく見つめるバルメルク公爵夫人…



あ…

なんとなくだけど、2人の関係性が見えた気がした。 


バルメルク公爵夫人は間違いなくお義姉様の事を大切に思っている。
けど、お義姉様は公爵夫人…母親とある程度の距離を持って接している。

そして、公爵夫人はそんなお義姉様との接し方に戸惑っている感じ。

お茶会や馬車の中でお義姉様の生立ちを聞いて複雑とは感じましたが、これは…かなり拗らせてしまっている感じですね。



それから、バルメルク公爵夫人とお義姉様に案内をされて屋敷の中に入る。

すると、広いエントランスの真ん中に金髪、青目、白い肌にすらっとした身長の綺麗な女性と、金髪青目で少しぽっちゃりとした可愛らしい女の子がカーテンシーをして待っていた。

カサドラリド王国特有の特徴をもった2人。

……誰?
高貴な感じがあるし、使用人…ではなさそうね。


「皇女様。ようこそバルメルク公爵家へ。私、アエリアの義母のユリマーリアと申します」

「義妹のマリテレスです」

……ん???

…義母?
…義妹???

私の頭がついていかなくてお義姉様の方を見ると、お義姉様は複雑な笑みを浮かべる。



えっと…私の記憶が確かなら現バルメルク公爵…お義姉様のお父様は王家の生まれで、メルトニア人の純血者。でも、王位を放棄して純血保持をしていたバルメルク公爵家に婿として入ったとお義姉様は馬車の中で仰っていた。


バルメルク公爵夫人お義姉様のお母様はドイル国特有の容姿ですから、メルトニア人の血を受け継いでいる元公爵の実娘で違いないでしょう…

で、このカサドラリド王国の容姿をもった義母は明らかに側室…第2夫人って事よね?

婿養子が第2夫人を娶るって…

待って…色々混乱して来た。

これはドイル国の普通?
元王族だから許された?
いや…メルトニア人の純血保持者だから?

そもそも、帝国では既に側室制度は撤廃されているから、側室の在り方がよく分からない。


「フフ。混乱してますわね。皇女様」

混乱する私を楽しそうに見つめるバルメルク公爵夫人。

「いえ…あの…これは…ドイル国ではよくある事なのかしら?」
「いえ。かなり特殊です…」

困惑している私を見て、お義姉様が困惑する。

「深く考えないでください。皇女様。私がフェルトン…アエリアの父を愛してた。でも、フェルトンはユリマーリアに惹かれてた。だけど、とある理由でフェルトンとユリマーリアの2人は共になる事ができなかった。だから私が間に入ってこの様な状態になっているだけなの。面白いでしょう?」

「えっ?」

面白い?状況が全く見えないのですが…
どこから突っ込んでいいかすら分からないわ。

「あぁ。でも私とフェルトンの間にもキチンと愛はあるのよ。私とユリマーリアも仲良く過ごしているし…」

「お母様…ティナ様が余計混乱してしまいますから。ティナ様。すみません…どう説明したらいいか…我が家は色々複雑で…」

複雑すぎでしょ…

どうなってるの?バルメルク公爵家。


メイル兄様…私の好奇心バロメーターが振り切れそうです。

“色々詮索するな””突っ込むな”とメイル兄様に言われていますが、流石に突っ込みたいんですが…


突っ込んではダメですかね?
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