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学園の敷地内に入ると、今までの景色とは一変して厳粛な空気が漂う。
「これがマキシマス国立学園…」
馬車が止まると御者が扉を開けて私をエスコートしてくれる。
私はそのエスコートを受けて馬車を出るとその景色に圧倒される。
「凄い…素敵…」
緑の中に白を基調とした趣のある建物。
その建物には沢山の蔦が絡まり、年代を感じるけれども決して古いわけではない。
どこかの国の古城と言われても疑わない程、立派な建物。
「ようこそマキシマス国立学園へ」
学園の景色に見惚れていると、突然背後から声を掛けられてびっくりして振り返る。
そこにはロマンスグレーの長い髪を一つにまとめた身なりが整った中年男性が姿勢良く立って笑みを向けている。
「御令嬢。失礼ですがお名前をお伺いしても?」
「え?えっと…」
「おっと失礼。御令嬢には私から先に名乗らなくてはですね。私はこの学園で理事をしておりますトーマス・ウィストンと申します」
トーマス…ウィストン?
ウィストンって確かこの国の筆頭公爵家の?
私はビシッと背筋を正して胸に手を当てると敬意の姿勢を取る。
「し…失礼いたしました。私はミスドナ伯爵家カロリーナと申します」
私が頭を深く下げるとウィストン公爵はフフッっと笑う。
「畏まらないでください。学園の敷地に一歩でも入ったら爵位など関係ありませんよ。ようこそマキシマス国立学園へ。ミスドナ嬢」
「…あ…ありがとうございます」
「えっと。ミスドナ嬢の案内役は…あぁ。ココットか。」
ココット?
ココットってあのエリー・ココット?
ウィストン公爵は名簿らしきものを確認すると、チラリと後ろを見て右手を上げて誰かに合図をだす。
「この学園では今までの生活とは全く異なる生活を送る事となります。その為、生徒一人一人に上級生の案内役…教育係が付きます」
「教育係?」
「入学以前の社交界の当たり前はこの学園内では通用しませんからね。案内役から色々学んでください」
「か…かしこまりました」
ウィルソン公爵の言っている意味がいまいち理解できずにいるとそれに気づいたウィルソン侯爵は楽しげに笑みを浮かべる。
「今は分からなくとも、学園内で生活をすればすぐに私の言葉の意味がわかるでしょう。おっと…次の新入生が来ましたね。それでは私はこれで…じき案内役の生徒が来ますからお待ちください」
それだけ言うとウィルソン公爵は軽く頭を下げて、今来た馬車の所までゆっくりと歩き出す。
「カロリーナ・ミスドナさん?」
ウィルソン公爵の後ろ姿を呆然と眺めていたら、可愛らしい声で名前を呼ばれた。
振り返ると私は絶句してしまった。
綺麗なストレートブロンドの髪を肩口で切り揃えたクリッとした瞳の小柄な可愛らしい女性。
この国では女性はロングヘアが定番。
それなのに彼女の髪型は彼女に似合っていて…
異端なのに異端に感じられない。
なんというか…小動物的な可愛さが意味も無く抱きしめたくなるような…そんな女性。
私も見た目には自信があるけど、なんだか女性として“負けた…”と感じてしまう。
「はじめまして。私は4年のエリー・ココットです」
そう言って微笑む姿は天使の様…
ん?4年?という事は、19歳?私より3歳も年上?
この可愛らしさで???
「カロリーナさんとはずっとお会いしたかったんですっっ聞いていた通りとても可愛らしくて綺麗な方。これからよろしくお願いしますね」
興奮気味に私の手を握り目をキラキラと輝かせるその姿に私は全ての事が頭から吹き飛んで固まってしまった。
「これがマキシマス国立学園…」
馬車が止まると御者が扉を開けて私をエスコートしてくれる。
私はそのエスコートを受けて馬車を出るとその景色に圧倒される。
「凄い…素敵…」
緑の中に白を基調とした趣のある建物。
その建物には沢山の蔦が絡まり、年代を感じるけれども決して古いわけではない。
どこかの国の古城と言われても疑わない程、立派な建物。
「ようこそマキシマス国立学園へ」
学園の景色に見惚れていると、突然背後から声を掛けられてびっくりして振り返る。
そこにはロマンスグレーの長い髪を一つにまとめた身なりが整った中年男性が姿勢良く立って笑みを向けている。
「御令嬢。失礼ですがお名前をお伺いしても?」
「え?えっと…」
「おっと失礼。御令嬢には私から先に名乗らなくてはですね。私はこの学園で理事をしておりますトーマス・ウィストンと申します」
トーマス…ウィストン?
ウィストンって確かこの国の筆頭公爵家の?
私はビシッと背筋を正して胸に手を当てると敬意の姿勢を取る。
「し…失礼いたしました。私はミスドナ伯爵家カロリーナと申します」
私が頭を深く下げるとウィストン公爵はフフッっと笑う。
「畏まらないでください。学園の敷地に一歩でも入ったら爵位など関係ありませんよ。ようこそマキシマス国立学園へ。ミスドナ嬢」
「…あ…ありがとうございます」
「えっと。ミスドナ嬢の案内役は…あぁ。ココットか。」
ココット?
ココットってあのエリー・ココット?
ウィストン公爵は名簿らしきものを確認すると、チラリと後ろを見て右手を上げて誰かに合図をだす。
「この学園では今までの生活とは全く異なる生活を送る事となります。その為、生徒一人一人に上級生の案内役…教育係が付きます」
「教育係?」
「入学以前の社交界の当たり前はこの学園内では通用しませんからね。案内役から色々学んでください」
「か…かしこまりました」
ウィルソン公爵の言っている意味がいまいち理解できずにいるとそれに気づいたウィルソン侯爵は楽しげに笑みを浮かべる。
「今は分からなくとも、学園内で生活をすればすぐに私の言葉の意味がわかるでしょう。おっと…次の新入生が来ましたね。それでは私はこれで…じき案内役の生徒が来ますからお待ちください」
それだけ言うとウィルソン公爵は軽く頭を下げて、今来た馬車の所までゆっくりと歩き出す。
「カロリーナ・ミスドナさん?」
ウィルソン公爵の後ろ姿を呆然と眺めていたら、可愛らしい声で名前を呼ばれた。
振り返ると私は絶句してしまった。
綺麗なストレートブロンドの髪を肩口で切り揃えたクリッとした瞳の小柄な可愛らしい女性。
この国では女性はロングヘアが定番。
それなのに彼女の髪型は彼女に似合っていて…
異端なのに異端に感じられない。
なんというか…小動物的な可愛さが意味も無く抱きしめたくなるような…そんな女性。
私も見た目には自信があるけど、なんだか女性として“負けた…”と感じてしまう。
「はじめまして。私は4年のエリー・ココットです」
そう言って微笑む姿は天使の様…
ん?4年?という事は、19歳?私より3歳も年上?
この可愛らしさで???
「カロリーナさんとはずっとお会いしたかったんですっっ聞いていた通りとても可愛らしくて綺麗な方。これからよろしくお願いしますね」
興奮気味に私の手を握り目をキラキラと輝かせるその姿に私は全ての事が頭から吹き飛んで固まってしまった。
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