18 / 92
16.
しおりを挟む
学園の敷地内に入ると、今までの景色とは一変して厳粛な空気が漂う。
「これがマキシマス国立学園…」
馬車が止まると御者が扉を開けて私をエスコートしてくれる。
私はそのエスコートを受けて馬車を出るとその景色に圧倒される。
「凄い…素敵…」
緑の中に白を基調とした趣のある建物。
その建物には沢山の蔦が絡まり、年代を感じるけれども決して古いわけではない。
どこかの国の古城と言われても疑わない程、立派な建物。
「ようこそマキシマス国立学園へ」
学園の景色に見惚れていると、突然背後から声を掛けられてびっくりして振り返る。
そこにはロマンスグレーの長い髪を一つにまとめた身なりが整った中年男性が姿勢良く立って笑みを向けている。
「御令嬢。失礼ですがお名前をお伺いしても?」
「え?えっと…」
「おっと失礼。御令嬢には私から先に名乗らなくてはですね。私はこの学園で理事をしておりますトーマス・ウィストンと申します」
トーマス…ウィストン?
ウィストンって確かこの国の筆頭公爵家の?
私はビシッと背筋を正して胸に手を当てると敬意の姿勢を取る。
「し…失礼いたしました。私はミスドナ伯爵家カロリーナと申します」
私が頭を深く下げるとウィストン公爵はフフッっと笑う。
「畏まらないでください。学園の敷地に一歩でも入ったら爵位など関係ありませんよ。ようこそマキシマス国立学園へ。ミスドナ嬢」
「…あ…ありがとうございます」
「えっと。ミスドナ嬢の案内役は…あぁ。ココットか。」
ココット?
ココットってあのエリー・ココット?
ウィストン公爵は名簿らしきものを確認すると、チラリと後ろを見て右手を上げて誰かに合図をだす。
「この学園では今までの生活とは全く異なる生活を送る事となります。その為、生徒一人一人に上級生の案内役…教育係が付きます」
「教育係?」
「入学以前の社交界の当たり前はこの学園内では通用しませんからね。案内役から色々学んでください」
「か…かしこまりました」
ウィルソン公爵の言っている意味がいまいち理解できずにいるとそれに気づいたウィルソン侯爵は楽しげに笑みを浮かべる。
「今は分からなくとも、学園内で生活をすればすぐに私の言葉の意味がわかるでしょう。おっと…次の新入生が来ましたね。それでは私はこれで…じき案内役の生徒が来ますからお待ちください」
それだけ言うとウィルソン公爵は軽く頭を下げて、今来た馬車の所までゆっくりと歩き出す。
「カロリーナ・ミスドナさん?」
ウィルソン公爵の後ろ姿を呆然と眺めていたら、可愛らしい声で名前を呼ばれた。
振り返ると私は絶句してしまった。
綺麗なストレートブロンドの髪を肩口で切り揃えたクリッとした瞳の小柄な可愛らしい女性。
この国では女性はロングヘアが定番。
それなのに彼女の髪型は彼女に似合っていて…
異端なのに異端に感じられない。
なんというか…小動物的な可愛さが意味も無く抱きしめたくなるような…そんな女性。
私も見た目には自信があるけど、なんだか女性として“負けた…”と感じてしまう。
「はじめまして。私は4年のエリー・ココットです」
そう言って微笑む姿は天使の様…
ん?4年?という事は、19歳?私より3歳も年上?
この可愛らしさで???
「カロリーナさんとはずっとお会いしたかったんですっっ聞いていた通りとても可愛らしくて綺麗な方。これからよろしくお願いしますね」
興奮気味に私の手を握り目をキラキラと輝かせるその姿に私は全ての事が頭から吹き飛んで固まってしまった。
「これがマキシマス国立学園…」
馬車が止まると御者が扉を開けて私をエスコートしてくれる。
私はそのエスコートを受けて馬車を出るとその景色に圧倒される。
「凄い…素敵…」
緑の中に白を基調とした趣のある建物。
その建物には沢山の蔦が絡まり、年代を感じるけれども決して古いわけではない。
どこかの国の古城と言われても疑わない程、立派な建物。
「ようこそマキシマス国立学園へ」
学園の景色に見惚れていると、突然背後から声を掛けられてびっくりして振り返る。
そこにはロマンスグレーの長い髪を一つにまとめた身なりが整った中年男性が姿勢良く立って笑みを向けている。
「御令嬢。失礼ですがお名前をお伺いしても?」
「え?えっと…」
「おっと失礼。御令嬢には私から先に名乗らなくてはですね。私はこの学園で理事をしておりますトーマス・ウィストンと申します」
トーマス…ウィストン?
ウィストンって確かこの国の筆頭公爵家の?
私はビシッと背筋を正して胸に手を当てると敬意の姿勢を取る。
「し…失礼いたしました。私はミスドナ伯爵家カロリーナと申します」
私が頭を深く下げるとウィストン公爵はフフッっと笑う。
「畏まらないでください。学園の敷地に一歩でも入ったら爵位など関係ありませんよ。ようこそマキシマス国立学園へ。ミスドナ嬢」
「…あ…ありがとうございます」
「えっと。ミスドナ嬢の案内役は…あぁ。ココットか。」
ココット?
ココットってあのエリー・ココット?
ウィストン公爵は名簿らしきものを確認すると、チラリと後ろを見て右手を上げて誰かに合図をだす。
「この学園では今までの生活とは全く異なる生活を送る事となります。その為、生徒一人一人に上級生の案内役…教育係が付きます」
「教育係?」
「入学以前の社交界の当たり前はこの学園内では通用しませんからね。案内役から色々学んでください」
「か…かしこまりました」
ウィルソン公爵の言っている意味がいまいち理解できずにいるとそれに気づいたウィルソン侯爵は楽しげに笑みを浮かべる。
「今は分からなくとも、学園内で生活をすればすぐに私の言葉の意味がわかるでしょう。おっと…次の新入生が来ましたね。それでは私はこれで…じき案内役の生徒が来ますからお待ちください」
それだけ言うとウィルソン公爵は軽く頭を下げて、今来た馬車の所までゆっくりと歩き出す。
「カロリーナ・ミスドナさん?」
ウィルソン公爵の後ろ姿を呆然と眺めていたら、可愛らしい声で名前を呼ばれた。
振り返ると私は絶句してしまった。
綺麗なストレートブロンドの髪を肩口で切り揃えたクリッとした瞳の小柄な可愛らしい女性。
この国では女性はロングヘアが定番。
それなのに彼女の髪型は彼女に似合っていて…
異端なのに異端に感じられない。
なんというか…小動物的な可愛さが意味も無く抱きしめたくなるような…そんな女性。
私も見た目には自信があるけど、なんだか女性として“負けた…”と感じてしまう。
「はじめまして。私は4年のエリー・ココットです」
そう言って微笑む姿は天使の様…
ん?4年?という事は、19歳?私より3歳も年上?
この可愛らしさで???
「カロリーナさんとはずっとお会いしたかったんですっっ聞いていた通りとても可愛らしくて綺麗な方。これからよろしくお願いしますね」
興奮気味に私の手を握り目をキラキラと輝かせるその姿に私は全ての事が頭から吹き飛んで固まってしまった。
54
あなたにおすすめの小説
病弱な幼馴染を守る彼との婚約を解消、十年の恋を捨てて結婚します
佐藤 美奈
恋愛
セフィーナ・グラディウスという貴族の娘が、婚約者であるアルディン・オルステリア伯爵令息との関係に苦悩し、彼の優しさが他の女性に向けられることに心を痛める。
セフィーナは、アルディンが幼馴染のリーシャ・ランスロット男爵令嬢に特別な優しさを注ぐ姿を見て、自らの立場に苦しみながらも、理想的な婚約者を演じ続ける日々を送っていた。
婚約して十年間、心の中で自分を演じ続けてきたが、それももう耐えられなくなっていた。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。
藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。
学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。
そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。
それなら、婚約を解消いたしましょう。
そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。
幼馴染の王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
一度完結したのですが、続編を書くことにしました。読んでいただけると嬉しいです。
いつもありがとうございます。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる