【完結】はい、かしこまりました。婚約破棄了承いたします。

はゆりか

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15.

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学園は我が家から馬車で1時間ほどの王都の外れにある。

学園に隣接する森を抜けて山を一つ越えればそこはもう隣国マキタイ王国。

言うだけなら近い感じがするけど、実際行くとなれば深い森、高い山で馬車は使えないし、危険も多い。徒歩でしか進めず最低でも半月は掛かる険しい道のりになる。

マキタイ王国へ行くには舗装されている安全な道もあるけど、山を迂回した遠回りになるので馬車でも10日程掛かる。それに途中、通行手当や交通料が必要になる為、この学園に隣接している森と山を越えて国境を越えようとする人は少なくない。

故に行方不明者も後を立たない。



そんな辺鄙な国の外れに学園があるには意味がある。

国から隔離されるようにある学園は生徒達が勉学に励める様に俗世から離れて学園そのものが一つの国の様になっている。

国王陛下ですら介入する事は許されていない。

貴族、平民関係なく国民から選出された学園長が仕切り有能な指導者先生の元、生徒達は自分の能力を伸ばすために切磋琢磨する。

世の中、どれだけ平等を謳っても家の爵位や階級など関係はしてしまうのは仕方ない事。それでも学園は一貫して実力主義を貫いていると聞く。

まぁ…とは言っても学園に入るまでの基本的な学習量や元々持っている能力は高貴貴族の方が高いのは事実。実力主義といってもそこまで今までと周りの環境に大きな違いはないと思われる。

実際入ってみないとわからない事ではあるけど、何よりも個々の能力が重んじられている学園での生活は今とは違ってはくるでしょう。


そんな学園内で現在トップの成績をおさめて学生代表をしているのは4学年のサムル王太子殿下。

私がマルク様との婚約が決まった際には既にサムル王太子殿下は学園に入っていたので、一度もお会いした事はないけど、サムル王太子殿下の有能さはこの国で知らない人がいないくらい周知の事実。

そんなサムル王太子殿下と学年が異なるながらも学友というくらいだからアロンも優秀なんだと思う。


学園の生活に…色々な問題が出てくる中で、今後の自分の動向をどうして行くべきか不安がないと言ったら嘘になる。

アロンと久々に会う事に対しても何となく怖くて抵抗があるのも事実。


でも、そんな中でも妃教育から離れ全く新しい世界に入る事には当初の気持ちと変わらずワクワクする。


「リナ…私は学園で上手くやっていけるかしら?」
「カロリーナ様は何も心配もございません。私が知る限り誰よりも一番完璧な御令嬢ですから」

私の問いかけにリナは自信満々な笑みを私に向ける。

「リナは私に甘すぎるわ…」
「当たり前の事を言っているまでです。例え学園で何かあったとしてもがお守りしますのでご安心して学園生活をお過ごしください」


「…私達?」

私が聞き返すとリナは再びピタッと動きを止めるとニッコリ笑みを浮かべる。

「私は元より、旦那様や奥様も屋敷の使用人も皆、カロリーナ様の味方です。例え学園内で何かあっても全力でお守りします」
「…そういうことね。頼もしいわ」

納得いくようないかないような…
度々リナはこの様な時がある。

リナ自身、信頼できる侍女だし、優秀だし、姉のように頼りになる人でもある。でも時々、リナの考えが全く読めない事がある。

気にし過ぎかしら…


「カロリーナ様。そろそろ学園に到着します」

リナの言葉で馬車の外を見るとそこには王都との景色とは異なる緑に囲まれた美しい建物が見えてきた。

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